どうも、皆さんこんにちは!eイヤホン大阪日本橋本店の、ののです!

 

先日始まったばかりの

【モニターイヤホン/ヘッドホンってどんなのを選んだらいいの?】

の連載ブログですが、今回で一旦予定していた内容は全て完了となります。

読んでいただいている方は、最後までお付き合いいただければ幸いです!

 

連載一覧はこちら!

 

【連載・第1回】

【モニターイヤホン/ヘッドホンってどんなのを選んだらいいの?】そもそも「モニター用」って何?

 

【連載・第2回】

【モニターイヤホン/ヘッドホンってどんなのを選んだらいいの?】ステージ用のイヤモニの選び方

 

【連載・第3回】

【モニターイヤホン/ヘッドホンってどんなのを選んだらいいの?】楽曲制作用のヘッドホンの選び方

 

 

今回のお題は”楽曲制作用のイヤホン”に関してということですが、

なぜ「選び方」ではなく直接「オススメ」とタイトルをつけたのか。

それは、だいたいのことは前回の記事で喋ったからですね。笑

「何を基準に選んだらいいか」という部分に関しては、

連載・第3回の記事に詳しいので併せてご参照ください!

 

 

 

この記事における「フラット」の定義

 

前回の連載・第3回でお話ししたことなのですが、

この記事でも「フラット」という言葉を使うので、

今回も定義をはっきりさせておきます。

 

この連載でモニター製品を説明するのに必要な単語として

以下のように「フラット」の定義を明確にしているというだけなので、

決して「フラットはこういう意味で使おうね!」といった啓蒙ではありません。

 


 

【フラット】

当該イヤホン・ヘッドホン・スピーカーで制作した楽曲が、

他の様々なスピーカーやイヤホン、ヘッドホンで再生しても

概ね製作者のイメージ通りに仕上がるような音のバランス。

 

(※本記事内においての「フラット」の定義)

 

 

 

スピーカーは併用したほうがいい?

 

さて、アマチュアの方で楽曲制作用にイヤホンを探されている方ですと、

スピーカーを併用せずイヤホンのみで行おうとするケースが大多数な模様です。

しかし、あくまでも楽曲制作の業界においては

「スピーカーを使う」ことが基本であることは事実ですね。

 

スピーカーを使ってミックスすることで、

左右間のクロスオーバーをモニターすることができます

2つのスピーカーから出た音がぶつかり合ったときにどうなるか、

という部分をモニターできるということです。

 

その点、イヤホンやヘッドホンは頭を挟んでしまっているため、

左右の音が直接にぶつかることはありません。

つまり左右間クロスオーバーのモニターはどうやってもできません。

これをモニタリングしないまま作った楽曲をスピーカーで再生すると、

クロスオーバーを考慮していないので変な音になってしまう場合があります。

 

また、スピーカーの場合は身体、耳介、外耳道、鼓膜と音が進み、

その間に反射や回折などを経た音を聴いています。

ヘッドホンの場合は身体の部分がありませんが、

イヤホンの場合は耳介もスキップしていきなり外耳道からなので、

理論的にはスピーカーと聴覚上の周波数特性がかなり異なります。

この「イヤホンの音」という概念が関わってくることも注意点なのです。

 

 

もっとも、環境的にスピーカーはどうしても鳴らせない、という需要があることも、

実際にお客様の声を聞く店頭スタッフとしては重々承知しています。

そりゃそうです…。スピーカーは大きな音を立てるので当然です。

スピーカーを使わない場合の注意点を把握していただくだけでも、

制作した結果は違ってくるのではないかと思います。

 

また、スピーカーとイヤホンを併用することは手段として非常に有効です。

というのも、昨今はイヤホンで音楽を聴く方が非常に増えたためです。

自分が作っている音源はイヤホンで聴くとどう聴こえるか

と考えながら楽曲を制作していただければ、

どんな環境で再生でもバッチリな音源になることでしょう。

 

 

楽曲制作用にオススメのイヤホン

 

ではオススメのイヤホンをご紹介していきたいと思います。

 

連載・第2回で取り上げた「ステージ用のモニターイヤホン」とは

だいぶ毛色が異なるラインナップなんじゃないかなと思います。

 

 

IE 40 PRO

 

 

1万円台のモニターイヤホンとして登場してまもなく、

多くの方からこの価格帯で革新的な製品として認識されるイヤホン。

 

このイヤホンの特徴は、「THE モニター」といえる音質。

 

キツイ音と感じにくい柔らかい立ち上がり方であるにもかかわらず、

音が鳴った後モタモタせずにさっと後退くサウンドになっており、

いろんな音が鳴っていても、一切の渋滞を感じさせません。

高音域の量感そのものも気持ち多め程度なので高域に注目しがちですが、

この特性は低音を見るときも役立つと思います。

 

あらゆる音が明瞭で、全てのフレーズを見通さんというような音です。

個人の趣味で耳コピもされる方には凄まじい威力を発揮してくれるはず。

 

 

SAVANNA

 

 

サバンナという名前から乾燥した音の印象を得るかと思いますが、

だいたい合っています。音色はカラッカラの冷静なサウンドです。

 

低音域の鳴りはタイトめになっていますが、

中音域へのフォーカスや粒の細かさのほか、レスポンスはかなり正確。

 

連載・第3回【楽曲制作用のヘッドホンの選び方】で定義した

「フラット」に十分値するような音のバランスで、

これも楽曲制作時のリファレンスイヤホンとして優秀です。

 

他のリファレンス系のイヤホンよりも少し近い音の鳴りで、

無理にスピーカーライクなサウンドづくりを目指すのではなく

しっかりと「イヤホンとしてのリファレンス」を念頭に置いて

チューニングされた製品なのかな、という印象を抱きますね。

 

 

ETYMOTIC ER3SE

 

 

こちらのイヤホンはケーブルを耳にかけて使用する形式ではなく、

そのまま耳に突っ込んで頂くだけの純粋なカナル型イヤホンです。

 

強みの部分のうち一つは先ほどの「IE 40 PRO」と少し似ていて、

曲を鳴らしたときに余計な倍音が少ないので、

ピッチを捉えやすいタイプのモニターイヤホンだと思います。

 

 

そしてIE 40 PROと異なる強みがもう一つあります。

それは信号の入力に対してわざとシビアな鳴り方になっていること。

インピーダンスが高くボリュームを引き上げないと音量が取れないので、

音源に関係のない、単純な電気信号由来のノイズは拾いにくいのですが、

入力している音源そのものが音割れしていると、

このイヤホンもピーク時に音割れを反映するようになっています。

 

このため、イヤホンで「クリップ音」をモニターしたい場合も

有効な使い方ができるモニターイヤホンです。

(※「クリップ」に関しては連載・第3回のREC用のあたりをご覧ください)

 

以前eイヤホンで働いていた、楽曲制作もするスタッフと話していた時に

「ETYMOTICのイヤホンはまるでヘッドルームを無くしたような音」

と表現していたのですが、

確かに録音するときと逆のベクトルで考えるとそうなるのかも。

 

この特徴はETYMOTICのイヤホンに共通していて、

解像度とともにクリップの見やすさという特徴をより鋭くしたものが

「ER2SE」と「ER4SE」あたりになるかなと思います。

 

 

 

AF180

 

 

こちらのAF180もかなり「フラット」。

ローからハイまでバランスがかなり良く、

他の環境とのギャップは小さい部類のイヤホンでしょう。

 

スピーカーライクな鳴り方で、サウンドステージも広めに設定されています。

 

細かいことをいうとセンター側の定位がちょっと曖昧で、

音場を円で描くと頭の左右へ楕円状に変化が大きいイメージかと思います。

このため、総合的な定位表現に関してはやや不器用かなと思いますが、

リバーブなどの空間系エフェクターを使われる方であれば

イヤホンで鳴らしたときのサウンドステージをモニターしやすいでしょう。

バランス自体はフラットでありつつ、ドラムなどの分離感も良好なので、

そういった楽器にコンプレッサーやディエッサーをかける際のチェックにもオススメ。

 

 

SE846

 

 

SHUREは【連載・第2回】でもご紹介したメーカー。

SM58でお世話になっている方も多いと思います。

 

SE846はSEシリーズの最上位クラスに相当するイヤモニで、

ローからハイまで無理に誇張した帯域がないうえに、

低音域の解像度はイヤーモニター系随一と言えるクオリティです。

 

SE846の「6」の型番はノズルインサートのシステムを指しています。

ノズルの音響フィルターを交換することで、

1kHzから8kHzまでの帯域の量感を変化させることができるので、

制作時に自分が見たい帯域に合わせてノズルを交換するのもいいですね。

 

ギュっとさせた音場が特徴の、まさに「イヤホン」な鳴り方なので

MIXの際にサウンドステージを広くして空間そのものを見たい方には

他の商品のほうが向くかもしれませんが、

「楽曲制作もするしライブでイヤモニも使う」という方には

ステージ用のイヤーモニターと兼用で非常に優秀な選択肢でしょう。

 

 

UE Reference Remastered

 

 

キャピトルスタジオのサウンドエンジニアが

チューニングに協力したことでも知られる製品。

 

キャピトルスタジオのエンジニアが考える「フラット」が反映されており、

音源に対して非常に忠実なバランスで鳴らしてくれます。

その通り、低域から高域まで非常にフラットで、

空間表現も得意と、まさにエキスパートなイヤモニ。

よく「中音域重視」といわれたりもするのですが、

マスタリングに対して忠実に再生してるからなだけな気がしますね。

※個人の感想です。

 

初期のモデルはフォーカスは甘めで定位はバッチリ、という性格でしたが、

2019年6月現在の新しい仕様となっている「To-Go」バージョンは、

定位の正確さは僅かに前モデルに譲るような気もしますが

ケーブルが更新されたおかげで解像度が向上しています。

特にドラムのアタックなどが鮮明になりました。

 

このUE Reference RemasteredのカスタムIEM版は、

僕自身も2年以上愛用しています。オススメです。

(ケーブルに関しては個人的に少し手を加えていますが)。

 

 

 

最後に

 

楽曲制作用のモニターイヤホンをお送りいたしました。

 

前回お伝えしていた通り、連載は今回で一旦終了となります!

とても長い記事になってしまったため

読みづらい部分もあったかもしれませんが

お付き合いいただき、ありがとうございました。

 

この連載の一部分でも、良い音楽を作る手助けになれば幸い。

それでは、よいミュージックライフを!

 

eイヤホン大阪日本橋本店の、ののがお送りいたしました!