ポーランドのカスタムIEMメーカーLimeearsの創設者Emil(エミール)にインタビューをしてみました。音楽に対して熱い情熱を持つ男の話をお見逃しなく。

はじめに

Limeearsって?

 

サウンドエンジニアのEmil Stoleckiによって設立されたポーランドのカスタムIEMメーカーです。サウンドエンジニアの知恵と技術を活かし、ミュージシャン、サウンドエンジニア、プロデューサーの用途に合わせたカスタムIEMを提供します。少ないドライバー数ながら音質の完成度は高く、ユニークな音質を変えられる“スイッチ”が付属したデザインを得意としています。アナログスピーカーやモニターのサウンドにインスパイアされたアコースティックチューニングにフォーカスしたサウンドを再現しています。

e☆イヤホンでは特にフラグシップ機のAetherが大人気です。スイッチで低域の量感を切り替える事ができるのが魅力で、スタッフからもお客様からも愛されているカスタムIEMです。Aetherについてのインタビューも掲載しておりますので、最後までお見逃しなく。

 

プロローグ

2017年某日、その人はひょこっとやってきました。

LimeEars Emil(エミール)

 

LimeEarsの創業者であるEmilさんが、e☆イヤホンに遊びにきたので急遽インタビューを決行することになりました。秋葉原カスタムIEM専門店の元マネージャー兼店長、メタル好きのカイヤがいろいろ質問をしてみました。熱い対談を是非お楽しみください。

 

左⇒Emil(エミール) 右⇒カイヤ

 

 

Emil自身について

━日本に遊びに来てみてどうですか?

Emil: 数年前から、黒澤明の映画や、マキシマムザホルモンの音楽、ホンダのシビックタイプRを楽しんでるよ。これらが日本に対する漠然としたイメージだったんだけど、滞在中はほんとに驚かされることが多かった!伝統が近代的な文化と混ざり合った場所のような感じ!アキバのクレイジーなアニメショップを通り過ぎて、2分後には何百年も前の神社を見ることが出来るとか、今どきのショッピングモールを通り過ぎたと思ったら、何百年もの技術を受け継いだ包丁のお店があるし、、そして人!eイヤホンのスタッフはみんな仲間に入れてくれてすごく感謝してる!日本にいた全部の時間楽しかった!次は絶対に長期で来るよ。

 

━日本食はどうでしたか?

Emil: 最高だね。寿司と刺身が美味しかったよ!刺身なんて毎食食べれる!ちょっと違うタイプの寿司ならポーランドにもあるよ。寿司って刺身も含まれるよね?これあってる?寿司はポーランドでめちゃくちゃ人気だよ。200店舗以上あるらしいし。でも東京で食べた寿司ほどおいしいのはない!

 

━趣味について教えてください。

Emil: 昔はいくつかのロックバンドでベースギターを弾いていた。本当に、アンプやケーブル、エフェクター、弦楽器とかそういったギアのすべてが好きかな。あとサウンドエンジニアリングをしたりレコーディングしたりすることも好きだよ!しばらく楽器から離れていたので、最近はまたアンプや楽器を探しているよ。また音楽をやりたいから今はドラムを練習中。凄くいい感じだよ。とにかく音と音楽が好きってことさ。他に挙げるとしたら…読書(哲学や心理学)、料理も好きだし、サイクリング、トレッキング、キャンプなどのアウトドアな事も好き。最近は都市から逃げて、田舎の自然が多いところでのんびり時間を過ごすのが好きさ。これは趣味と呼べるか分からないけどね笑。

ハイキング時の写真を送ってきてくれました。

 

━好きな音楽について教えてください。

Emil: 正直な音楽が好き!!良い歌詞で感情と歌を捕える音楽がジャンル関係なく好き。歌を聴くとき、私はその製作者に会っているように感じるんだ。だから試聴しているときはその人が自分に何を言いたいのか考えながら聴いている。90年代後半に人気だったニュー・メタルを聴いて育った。バンドでいうとSoulfly, Slipknot, Sepultura,Fear Factory, Korn, Limp Bizkitなど。今の生活が忙しくなって、アグレッシブ過ぎないロックを聴くようになったよ。RivalSons, The Black Keys, Mumford&Sons, Audioslave, King’s X, Soundgardenとか。好きなのはロックだけじゃないよ!!クラシック音楽のEdvard Griegはいつの時代もお気に入り。サウンドトラックとAwolnationとMatisyahuみたいなエレクトリック/アルタネイティブも最近は聴いてる。もしアコースティック/ジャズを追加するとすれば、Beck とか Jose Jamesもいいよね。

 

━一番好きなアーティストは?

Emilたくさんいすぎるよ笑。でも数年前に自分で彼がレジェンドだって決めた人がいる。アメリカのハードコア/メタルコアバンドなんだけど、彼らの曲はビートルズを思い出させる感じ。とっても味わい深いんだ。もうすぐアルバムもでるし、すごそうな気がする!

 

━最初に使っていたイヤホン、プレイヤーはなんですか?

Emil: 初めてプレーヤーを買ったのは10歳の頃だったよ。SONYのWM-EX552使っていた。イヤホンもSONYをいくつか変えたりして持っていた。モデルは覚えてないけど、音が凄くクリアだったのは覚えてる。今思うと、その音(クリアな音)が僕の作るイヤホンに繋がってるのかもね!

 

━DAP/earphones/headphones試聴するときの曲リストは?

Beck – Paper Tiger
Korn – Here To Stay
Korn – Dead Bodies Everywhere
Nine Inch Nails – Only
Awolnation – Soul Wars
Jose James – It’s All Over Your Body
Jose James – Heaven On The Ground
Adele – Rolling in the deep
Eric Clapton – My Fathers Eyes
Eric Clapton – Circus
Alter Bridge – Bleed It Dry
Black Stone Cherry – Blind Man
Black Keys – Tighten Up
King’s X – Black The Sky
A Perfect Cirle – The Package
Justice – Genesis
Stone Temple Pilots – Down

 

━カスタムIEMブランドを立ち上げた理由は?

Emil: サウンドエンジニアの大学を卒業して数年経って、音響デザイナーとして映画館やコンサートホール、傍聴席のデザインをしてたんだ。仕事とは別に、いくつかのロックバンドでベースやギターを弾いていて、その中の一つのバンドが、リハーサルでヘッドホンを使っていたんだけどその時にやられたね笑。ヘッドホンだから遮音性はそこまで良くなかったけど、今までで一番よく音が聴こえた!そこで、モニタリングの方法についてインターネットですごく調べて、カスタムIEMのことにたどり着いたんだよね。でも、そんなの周りにはどこも売ってなかった。だから本当は自分のために作ったのが最初さ。ドライバーや材料の仕入れに奮闘しながらも、なんとかプロトタイプを作ったんだよね!それがブランドの第一歩だったよ。前職を続け、そこでキャリアをそのまま積んでいたら自分自身でブランドを立ち上げようなんて考えなかっただろうね。

 

語り合う二人

 

 

Lime earsについて

━何故Lime earsという名前になったんですか?

Emil: 一緒に会社を始めた人が決めたんだよね!ライムのようにフレッシュで爽やかな音を目指していたらから、、ぴったしだね笑。

 

━ Lime earsのモットーはなんですか?

Emil: Do your work properly, relax and go to sleep.(仕事は正しくやって、リラックスして、寝ること)それの繰り返し笑。

 

━CIEMを製造する時に一番大切にしていることは?

Emil: 一番大事なことはランチをたくさん食べること。お腹すいてたら働けないでしょ!でもね、カスタムメイドで10万円のベースギターを最初に買った時の事を今でも覚えているけど、待って、受け取って、パッケージを開けて、興奮した時の事は忘れられない。そのあと何年それで楽しんだことか!この満足感をLimeearsを受け取った全ての人に与えたいし、そうなるように努力してるよ。

 

━他のブランドと一番違う点は?

Emil: 自分がジャッジできるのは分からないけど、普通じゃないところでインスピレーションを探すようにしてるよ。音響デザインとビジュアルデザインどっちもね。音は他のカスタムIEMより、スピーカーの音からインスピレーションを探すようにしてるし、ビジュアルデザインは車や、ジュエリー、時計、建築物を見るようにしてる。他のブランドのことも意識するし、そのほとんどのブランドをリスペクトするようにしてるけど、自分たちの方法でやるようにしてるよ。

 

━Lime earsのカスタムIEMをどんな人に使ってほしい?

Emil: 幸せな人たちに。自分たちのCIEMがそうさせるのを助けられればいいなと思うよ。Lime earsのカスタムIEMを必要とする人たち。あとプロのミュージシャンと音楽愛好家の間には大きな違いはないと思ってる。演奏する時やミックスをする時、シンプルに楽しむ時、みんな同じように音楽を聴いてる。確かに機材の目的はそれぞれ違うかもしれないし、ステージモニター用だったり、ハイファイリスニング用にと分けて提案はするけど最終的にはお客さんが決めるからね。これに関しては正解とか不正解はないと思うんだ。

 

━Lime earsのターゲットは?

Emil: 良い音楽とその時代の音に感謝する人たち。音楽を聴く方法がテクノロジーによって、こんなにも変わっているのはすごいことだと思う!!新しいジャンル、楽器、レコーディング技術、ストリーミング、ソーシャルメディアとロスレスフォーマット…これらすべては、経験がまい進させているものなんだ。でもその一方、他方のバイオリンは300年の間まだ同様に製造されている。真新しいデジタルギターアンプのシミュレーションをしつつも、まだ、50年代と60年代に作られたアンプの音を再現している。我々のターゲットはこの数十年で成し遂げたオーディオ産業の遺産をリスペクトしつつ、最新のテクノロジーを大事にする『音楽好き』さ!

 

━このオーディオ業界についてどう思いますか?

Emil: 昨今のオーディオ業界はとても多様化しているね。様々な種類のアプローチを備えたあらゆる種類のメーカーがある。誇大広告だってたくさんある。毎月のように新技術が生み出されているし、フラットな周波数帯域、フラットフェーズ、フラットインピーダンス、フラットTHD、フラット○○、なんでも名前をつけれちゃうわけ!でも、お客さんはいまだにちゃんと聴いて判断する。広告をみるだけじゃなくて。それってすごいと思う!

 

━どのモデルがお気に入りですか?

Emil: 全部好き!でも、今デザインしている最中のモデルが一番お気に入り!近いうちに発表できると思うから楽しみにしててほしいな!

 

━心に残っているエピソードを教えて下さい。

Emil: たくさんある!でも大声では言えないこともたくさんある!最近はPrimus(プライマス)のLes Claypool(レス・クレイプール)のモニターを作ったことが自分自身誇りに思っているよ。彼自身、いろんなブランドのモニターを作ってきたし、試してきたらしいけど、最終的にAethersを選んでくれたんだ。さっきも言ったけど、自分自身ベーシストだったし、高校生だったときからプライマスは聴いてきた。すごく尊敬していて、インスピレーションを与えてくれていた人が自分のプロとしての音響デザインを選んでくれて本当に光栄で名誉なことだったよ。 長い間夢見てきたことだったけど、現実になった!

 

もっと語り合う二人

 

 

Aetherについて

Aetherって?

LimeEarsのフラグシップ機。5ドライバー4WAYのカスタムIEM。フェイスプレートには音を変化させるスイッチが付いてます。スイッチを上に上げると低域がブーストされます。下に下げるとスッキリとしたサウンドになります。1粒で2度おいしいリスニング&モニター機です。

 

━なぜAetherと呼ぶの?

Emil: ずっと5ドライバーのデザインに合う名前を探していた。古代および中世の科学では、Aetherが5番目の元素と考えられているんだ。宇宙全体を満たし、完全に透明な伝達情報である要素、、透明になってあなたの心に音楽を直接届けたい想いからAether(エーテル)と名付けた。

 

━Aetherが生まれるまでどのくらい時間がかかった?

Emil: Aetherを作るための出発点はLE3S。 もちろん音は好きだったけど、3ドライバーの設計はいくつかの技術的な制限があった。もっと良く聞こえさせることができるかもしれないことを知ってはいたけど、それを理解するのに約2年かかったよ。難しかったことの1つは、カスタム設計のサブウーファーフィルター。いくつかの方法を使って作ったよ。

 

イヤホンを装着しているEmil

 

 

日本のユーザーに向けて

━ポーランドでオススメの場所は?

Emil: ポーランドの首都ワルシャワ。いろんな顔のある町で、とても面白い歴史をすべての場所から感じ取れる場所。あとLime earsのラボがあるから、コーヒーを飲みに寄れるよ。笑ポーランドの歴史的な都であるクラクフ、芸術的な雰囲気でたくさんのカフェやレストランがあるヴロツワフ、グダニスクなどの大きな都市は訪れる価値はあるよ!故郷プーラウィのすぐ隣にあるカジミエシュ・ドルニという美しい小さな村もすごく好き。よくそこで遊ぶために学校から逃げ出してたよ!

 

━ポーランドのおすすめな料理は?

Emil: “Pierogi ruskie”これがナンバーワン!ジャガイモとホワイトチーズのダンプリングだよ。絶対試してみてほしい!“Kotlet schabowy”(ジャガイモとキュウリのサラダを添えたポークチョップ)とか“Golabki”(ロールキャベツの一種)とかの古典的なメインディッシュも試す価値あり!

 

━最後に一言

Emilいつもサポートありがとうございます!音楽を聴き続けて、生き続けて、愛し続けてください。そしてもしポーランドに来ることがあれば、、コーヒーを飲みに行こう!!

 

 

まとめ

Emilさんありがとうございました!今度は僕たちが遊びに行きたいと思います。

以上、ターシーがお送りしました。

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