お久しぶりです。
前回のブログからひと月経ちました…僕にも色々あり…
なんと
「名古屋大須店の修理スタッフ」から「eイヤホンクリニックドクター」に進化しました!
ガンダムバルバトスで言うと第1形態から第5形態へ
カブトメダルで言うとサナギから飛翔成虫へ
衛人で言うと継衛から継衛改二へ
そんな感じでしょうかね。
今後も精一杯ハンダゴテを握って行きます!
そんなeクリドクターのいぺ(→Twitter)がお送り致します今回のブログ…
大変お待たせ致しました!
自作カスタム完成編!
と…言いたいところですが、今回は自作カスタムの記事ではございません。
(別に写真全然撮ってなくて記事にできないから記事用に新しく自作カスタム作ってるとかそんな訳ではないですからね、全然違いますからね。)
では自作カスタムのブログじゃないのに僕が何をしに来たのかと。
はい、今回はこれです。
「ケーブルの素材、組み合わせによる音質傾向を測定してみた」
ケーブルの音質比較ブログはよくあるので音源の試聴による感覚的なレビューだけではなく、ノイズと測定ソフトを使用して分析してみようと思います。
まず、はじめに。
ケーブルの素材として一般的には「銅」「銀」。
さらにこの何れかの素材にメッキとして「銀」「金」「錫(スズ)」などが上げられるかと思います。
(もちろんこれ以外にもレアメタル系の物がいくつかあったりしますが今回はちょっと割愛。)
そしてケーブルと言ったら欠かせないのがプラグ、コネクタ部分の素材。
この辺りも音質に差が生まれる要因です。
プラグの素材ですと「金メッキ」「ニッケルメッキ」「ロジウムメッキ」等の物は目にする機会が多いと思います。
大まかに素材を記載させて頂きましたが、同じ素材でも芯数や太さ、メッキの厚さ等様々な要因で音の印象は変わります。
ただやはり、素材による音の変化は大きく「この素材はこんな傾向がある」と、カテゴライズができるかと思います。
実際に計測に入る前に僕の経験則、感覚面から見る材質による特性をザザっと書いてみます。
・銅
銅線はイヤホンヘッドホンに関わらずオーディオでは一般的な素材です。
言っちゃうと「だいたい銅」
後述する銀と比較すると低音に厚みがあり量感も多く感じますね。
フォーカスが下方に向いている印象です。
繊細さでは抜きんでた点はないですが中域に艶感の様な特性が有り、銅線が好きな人はこの中域の艶感にやられるんではないでしょうか。
ちなみに僕がそうです。
何より銅は純度や処理等、種類が多いですからね。
自作していて最も楽しめる素材ではないでしょうか。
・銀
銅と共にイヤホンケーブルでは多く目にする線材です。
銅と比較すると高音に特性があるというのが一般的な認識ではないでしょうか。
事実、僕の感覚的な認識でも銅に比べて高域に特性…と言うか癖の様な物を感じます。
高音の繊細な表現は銀ならではで銅には作れない音だと思います。
低音に関しては量感は少なく締まっていると言う印象。
この辺りも好みが分かれる要因でしょうね。
共に信号線に使用する線材の特性に合わせ、芯数や巻き方による長さの調節をしてGNDだけに使用すると言うのも面白い使用方法です。
・金
金は線材としては一般的とは言い難いですがメッキとしてはよく見ますね。
プラグに関してはメッキ=金と言っても過言ではないレベルの普及率。
金メッキ銅線のようなケーブルも安易に入手できますし、金と銀の合金であるオーグライン等も有名ですね。
基本がこの金メッキなのでこの音を基準に他の素材のプラグがどのような音質傾向なのかを記載して行きたいと思います。
・ニッケル
eイヤホンで扱っている製品ですとノイトリックのプラグにこのメッキを使用した物があります
金メッキの製品に比べて安価です。
ニッケルメッキプラグは金メッキプラグと比べ高音が若干派手になる印象です。
中域は少し物足りなさがありますがここは金メッキと比較故の物だと思います。
比較すると金メッキが全体的にウォームであることが分かります。
銀線を使用したケーブルにシャキっとした味付けをしたい場合には特におススメします。
・ロジウム
最近はこのロジウムメッキのプラグも増えて来ました。
高価な場合が多いのが難点ではありますが解像度の高さから好んで使う方は多いです。
特に中域での変化が如実で、若干音が硬くなる印象。
そしてケーブルとの相性をかなり選ぶので、なんでもかんでもロジウムメッキにすれば効果がある訳ではないのがまた難しいポイントです。
その他、メッキにはパラジウムや白金等の物まであるのですが僕自身まだ何点も使用したことがある訳ではないので割愛させて頂きます。
さて、簡単に各差材の特徴を記載致しましたがここからは実際に各素材で何点かの実例を見て行きたいと思います。
測定はこんな環境で行います。
AK120でピンクノイズ(ザーーーーーってやつ)を再生してそのノイズをミニミニケーブルでオーディオインターフェースへ入力します。
このミニミニケーブルの線材、プラグによってどんな変化が起こるのかを検証してみたいと思います。
ちなみに基準となるがこれ
ポタアンの付属品です。
一般的な銅線に金メッキのプラグですね。
このケーブルで周波数測定用ソフトへ音を通すとこんな感じ。
なんか良く分からない
まあ基準ですのでなんとなくで見てください。
では何パターンかのケーブルで試してみましょう。
まずはこれ。
最近、僕のTwitterに出現しまくっておりますあの編み方。
【+に銀撚り線、-に銀メッキ銅撚線&金メッキ銅単線、金メッキプラグ】
青い線が繋いでるケーブルでほんのり見えるピンクっぽい線が最初に測ったポタアンの付属のケーブルです。
確実に変化がありますね。
このケーブルの特性としては信号線である銀撚線の硬い低音に銅の低域の量感、金のウォームな音質を足せないかと作ってみたケーブルなのですがGND側に使用した異なる素材の味が混ざりとてもバランスの取れた音となりました。
全体的には柔らかい印象なのですが高音の繊細さが確実に銀の味を出しています。
続いてはこちら
【+に銅撚線、-に銀メッキ銅撚線x2、金メッキプラグ】
このケーブルは今のところ試聴してくださったお客さんからの評価が一番高いケーブルです。
太めの銅撚線を信号線に使用してGNDに銀メッキ銅撚線を信号線の倍の数で編んでいます。
素材の話は一切せずに聴いて頂いたのですが他のケーブルに比べてボーカルの表現が圧倒的だと評価してくださいました。
個人的には特定の男性ボーカルとの相性が良いと感じたのでこの組み合わせでOriolus用のイヤホンケーブルを作ってみたいと思っています。
【+にオーグライン+pt、-に銅撚線&銀メッキ撚線、ロジウムメッキプラグ】
オーグライン+ptは一度は試して頂きたい線材ですね。
高音に煌びやかと言える独特の味があるのでロジウムメッキプラグと合わせた際、シャッキシャキの音になるかと思ったのですが思っていたよりも低音に個性の出ている音になりました。
GNDによる変化を感じることができるおススメケーブルです。
【オーグライン+pt、ロジウムメッキプラグ】
上記のオーグライン+ptを各2本、計8本使用したケーブル。
これぞオーグライン+ptの音!と言わしめる粒立ち良く、伸びの良い音質です。
高級ケーブルの代表格でもあるオーグライン…フルで編むことによってこの線材の特性を堪能できますのでぜひお試し頂きたいですね。
ちなみにこの編み方、丸八編みと言うらしいのですが強く編みすぎたせいか四角になりました。
加減も大事なんですね。
【銀メッキ撚線x8、金メッキプラグ】
今回紹介する中で最も安価に素材が確保できるケーブルです。
銀メッキ銅撚線らしくキックのアタック音に締まりが出た印象です。
メタル等のトリガリングされたキックはこのケーブルが最適だと思います。
このケーブルカラー…分かる人には分かる「伊達じゃないあいつ」がモチーフです。
【+に銅撚線 -に銀撚線、金メッキプラグ】
このケーブルはEffect AudioのEros ybridをカットしてミニミニにした物です。
Erosは銅を信号に銀をGNDに使用したイヤホンケーブルなのですが製品紹介でも謳っている通り「解像度の高さと低域の量の両立」が見事にできた素晴らしいケーブルです。
このケーブルを聴いてから色々と種類の異なるケーブルを作る様になりました。
個人的には女性ボーカルラウドロック等ではこれを使用しています。
このケーブルはイヤホン用も統一することで最も活かされるのではないかと思います。
いかがだったでしょうか!
今回検証に使用したケーブル以上になります。
線材、プラグの素材の変更は
「感覚のみではなくデータとしてもしっかり変化がある」
となりました。
もちろんグラフで測定できるのは周波数のみで、艶感であったりそれぞれの味は聴き手の感性に託される物となると思います。
ですがこの様に僅かでも確実に音への影響が表れるのは間違いありません。
今回は主に線、プラグの素材でお話しをしましたがこれ以外にも線材の純度や温度※、使用するハンダ等も影響があると言われています。
こういった点も今後検証してみたいですね。
皆さんもぜひ色々な線材、プラグの組み合わせで楽しんでください。
eイヤホンで取り扱いのない線材でもお持ち込み頂ければeイヤホンクリニックでオーダー可能ですので是非是非ご利用ください。
では、eクリドクターいぺ(Twitter)がお送り致しました!
※純度を表す〇Nと言う単位、これは99.99%と記載される9の数の値です。
NineのNが由来らしく、99.999%なら5N、99.9999%なら6Nと言った具合です。
もちろんこの純度も大きく影響するのですが実は純度よりもケーブルそのものの温度を下げた方が伝導抵抗は低くなるそうです。
つまり良い音は寒いところで聴け…となるのかな…
↓店舗案内↓
▼秋葉原店