ウッドハウジングのポータブルヘッドホン ATH-WP900 開発者インタビュー!
e☆イヤホンのはまちゃんです!
先日公開されました、だいせんせいの開発者インタビューはご覧いただけたでしょうか?
オーディオテクニカ、注目のフラッグシップイヤホン『ATH-IEX1』の魅力を、開発者様のインタビューを通してお伝えしております!是非ご覧ください!
さて、皆さんは、先日発表されたオーディオテクニカの新製品はもうご存知でしょうか?
今回注目すべき新製品は、イヤホンだけではございません!
フレイムメイプルを用いた伝統のウッドハウジングモデル『ATH-WP900』にもご注目いただきたい!
と、言うことで、今回はなんと、オーディオテクニカ本社にて新製品についてのインタビューをさせていただけることになりました!
『ATH-IEX1』開発者の小澤博道さん、
『ATH-WP900』開発者の坪根広大さん、
そして両製品の企画に携わった國分裕昭さんの3名にお話を伺いました。
今回は後編として、『ATH-WP900』開発者インタビューをご覧ください!
インタビュースタート!
本日はよろしくお願いいたします!
まずはインタビューにさしあたって、自己紹介からいただいてもよろしいでしょうか。
製品企画を担当しております、國分と申します。
『ATH-WP900』の主な開発を担当しました、坪根と申します。
『ATH-IEX1』の主な開発を担当しました、小澤と申します。今回は補足的な役割で同席させていただきます。
ありがとうございます。
久しぶりのウッドハウジング採用のポータブルヘッドホンの新作、といった感じですね。
こちらのヘッドホンの開発に、どのような形で関わられたのか、お伺いしてよろしいでしょうか?
基本的には、1から10まで、といった形ですね。企画の國分に、『こんなヘッドホンが作りたいんだ!』というプレゼンから始まり、フレイムメイプルを探し、設計し、といったところです。
初のフレイムメイプル採用ウッドヘッドホン
オーディオテクニカのヘッドホンで、この形、この大きさ、となると、イヤホン・ヘッドホン専門店の僕たちからするとATH-ESW9や、ATH-ESW950をイメージします。ATH-ESW9は、ハウジングの素材がアフリカンパドックでしたが、今回の木材、フレイムメイプルがヘッドホンで採用されているのは初めて拝見しました。この素材に至った経緯とは、どういったものがあったのでしょうか?
もともと、坪根の方から「ギターで使われている木材でヘッドホンを作りたい」と話をもらっていて。ATH-ESW9とかは、我々先輩が作っていたところがありまして、ギターで使われている素材で、という話は最初反対をしたんです。しかし、最近の若い人の趣向を考えると、そういった方向性もありなんじゃないかと、考え直しまして、『やってみたらどうか』と。それが開発のスタートですね。
オーディオテクニカのウッドハウジング、といえば、やはりウッドシリーズの代名詞、黒檀か、ATH-EW9や今回の発表会でも注目されているで採用されているATH-AWASのアサダ桜のイメージでした。
私たちの様な、『歳をとった人間』は、多分そう考えたと思います。(笑)若手の発想はそうじゃないんだと、熱いもの感じたので。
フレイムメイプルは、何故選ばれたんですか?
メイプル素材は、よく楽器に使われていて、もちろんオーディオにも使われているんですけど。自分自身がギターをやっているのもあって、木目が綺麗なヘッドホンってあってもいいんじゃないか、という思いが入社当初から思いがありました。弊社のATH-ESW9とか、ATH-ES10とかのイメージは、シックで大人のヘッドホンという様なものだったので、もっとガツっと、『木だ!』というヘッドホンがあってもいいんじゃないか、という思いがありましたので、今回のタイミングでお話しさせていただきました。
見た目にもすごく新鮮で新しい印象です!同時に発表になりました黒檀のモデルATH-AWKTと、アサダ桜のモデルATH-AWASのシリーズがありますが、そちらの最上位機種との違いというか、サウンド的にも異なる革新的なものを求められていたのかなという点が気になっていまして、そのあたりはいかがでしょうか?
ニーズに合わせた、というわけではなく、新しい提案、といった形ですね。こんなものはどうですか?と。売れるとか売れないとかではなくて、問いかけ、の様なヘッドホンですね。
問いかけであり、純粋に『自分が欲しい!』と思うヘッドホンがこれです。
作られた経緯や、思いや、そして完成した製品のすべてがフレッシュですね!
最小級サイズのハウジングで、最大級サイズのドライバーユニットを搭載
採用されているドライバーなんですが、ポータブルヘッドホンとしては、大きいドライバーが採用されているなと思いました。上位機種に当たる製品と同口径のドライバーが採用されていると思います。
そうです。ATH-ESW9に採用されている42mmドライバーから大きくなっていて、今回のヘッドホンを企画した段階で、オーバーイヤータイプのヘッドホンを最小級サイズのハウジングで、最大級サイズの53mmユニットを搭載しようというのは、最初からあったコンセプトですね。
ドライバーに関して、どういったものが採用されているのか、お伺いしてもよろしいでしょうか?
DLC(Diamond Like Carbon)コーティング振動板を採用した、新設計の53mmドライバーで、弊社の中で磁石が一番大きいものを採用し、ユニットの筐体は新しいものを設計しています。トップマウントPCBにより高音質化を狙った、というものになります。
弊社の製品で、ATH-A2000Zというものがあるんですが、あのドライバーをベースにして新たな設計を施しています。
独自形状の新設計バッフルというのは?
イヤパッドを外した、この部分の形状なんですが。
ドライバーユニットを斜めにしたり、その周囲のバッフルを一部だけ斜めにしたりという構造は、よくある形状なんですけど、通気の外周を、3次元的に造形してあります。
なんか、コロッセオみたいな感じの形ですね。この形状の効果というのはどのようなものなのでしょうか?
このドライバーの53mmというサイズは、かなり大きいサイズでして。ドライバーは大きい、でも、ヘッドホン自体のサイズは小さくしたい、そこに入るギリギリのサイズを追求した時に。この形状を用意する事が理想だったという事です。
装着した時に、イヤパッドが潰れて、ドライバ周辺の通気をふさぎがちなんですよ。しかし、このバッフルが斜めに立っていることによって、装着時にパッドが潰れても、通気が保たれている、という点も効果があります。装着時にも、前室、後室の空気の行き来が十分できるので、狙った音が出せると。
もう一つメリットがあって。バッフル外周の溝が切ってある部分も、すり鉢状に反り返ったような造形がされていて、イヤパッドを装着するとフラップの部分が一番高い場所になるんですけど、イヤパッドが内側に倒れこむような形になっていて、耳に沿うようにフィットするようになるんです。
確かに!耳に沿うように動きます!すごい!
先ほどの、前室、後室の空気の出し入れって、実はATH-ADX5000でもコアマウントテクノロジーっていう発想がありまして、そこからの継承でもありますね。
なるほど、今までのテクノロジーがより小さくなっって収まっていると!
見た目は最小で、かつ、オンイヤーでななく、オーバーイヤーになる様に。形状を弊社の3Dプリンターでシミュレーションした部分ですね。装着感に関してもいろいろと改善していまして、側圧であったりとか形状であったりとか研究して作っています。
最小サイズになりますと、背圧の制御が難しくて。うまく逃がさないと、ドライバー自身の動きで、ドライバーを傷つけてしまうことになってしまうので、そのあたりが難しかったですね。ある程度大きなサイズだとコントロールはしやすいんですけど。
求める、音の解は一つ
音を決める時、チューニングをする時に、こんな音にしよう、といったイメージって何かあるんでしょうか?
ある程度、使うパーツと、使うユニットが決まっていると、正解の音って1つしかないんですよ。
よく、チューニングって言葉を使うと、低音に寄せたり、高音に寄せたりって思われるかもしれないんですけど、実際はそうではなくて、1つの音を追求していくんですよね。
メイプルを使って、このドライバーを使って、このイヤパッドで、となると、正解の音は1つしかない、ってイメージです。
解、は一つしかないと!?
そうです。それを導くために、いろいろとちょっとずつ調整をする、というのが我々の仕事です。(笑)
その正解は、どの様に導き出すんでしょうか?
例えば、ドライバーがあって、1、という入力信号があった時、1という出力がある事が正しいんですね。1の入力があった時に、1.2の出力があってもダメで、0.8でもダメです。いかに正しく入力が反映されているか、ですね。
僕は、ずっとバンドをやっていて、どんな音にしたい、という狙いがあって音つくりをしていたので、正解がない状態で音を考えていました。なるほど、そういった発想なんですね。解がある、というのは目から鱗でした。
音選び、という面では素材ですね。メイプルの方が、はっきりとした音の正解になりやすい、という部分はあるので。
お客さまに対して、こういう部分に着目して欲しい!といったポイントはありますか?
もう、この見た目、メイプルです!(笑)まず、見た目は絶対!それでいて、できるだけシンプルで、普通のヘッドホンを作りたかったんです。普通に、かっこいい。そういうものを目指しています!
装着した時のシルエットは綺麗になっていると思います。今までのウッドヘッドホンは、女性のお客様にもご支持をいただいていたので、今回のヘッドホンも、かっこいい、かわいい自分でいられる、という風になればいいなぁという思いがあります。
何かしらのギミックがあったりとかじゃなく、ストレートに追求していると感じますね。
大型のドライバーを採用するヘッドホンは、重量が重くなりがちになっていて、今回のヘッドホンはポータブルなので、その部分でも軽量化は意識しています。一番わかりやすいのは、このスライダーの部分ですね。無駄な肉を全部抜いてしまうという。
去年、ATH-MSR7bというモデルで使った技術ですね。それも私が設計しています。MSR7bはステンレスのスライダーを採用していました。今回は同じような機構ではあるんですけど、さらに軽量化するためにアルミを採用しています。アルミを採用するために強度確認も実施しております。
最後に
興味本位でお伺いするのですが、製品型番に関しては、どういった意味合いが含まれているのでしょうか?
ATH-AP2000Tiという製品がありまして、その型番の意味合いとしては、弊社の密閉型ヘッドホンの「アートモニター」シリーズを「ポータブル」できる、という意味で付けています。なので、今回は「ウッドハウジング 」シリーズを「ポータブル」できる、という意味でWPですね。また「9」という数字は、ポータブル可能なウッドハウジングのシリーズに割り振られる番号で、ATH-EW9やATH-ESW9、ATH-ESW950などと同じです。
なるほど、言われてみれば、確かに9ですね!え、じゃあATH-WP990とか、後継機が現れる可能性も!?
ご想像にお任せします(笑)。
それでは最後に、坪根さんはどんなお客様に手に取っていただきたいですか?
どんなお客様にも!(笑) 特定の方、ではなく、これをかっこいい、と思ってもらえる人に、手にとってほしいな、と思います。僕が一番かっこいいと思ったヘッドホンです!ぜひ、よろしくお願いします!
ありがとうございました!
オーディオテクニカディ開催決定!
なんと!今週末10/13(日)・14(月)の三連休は全店舗にてオーディオテクニカデイと題しまして、新製品の試聴会を開催致します!※台風の影響でにより開催日時が変更となりました。詳しくは上記ブログでご確認くださいませ。
動画レビューはこちら!
今回のインタビューでご紹介した『ATH-WP900』は、10月11日発売予定です。
e☆イヤホン各店舗にご来店の際にはぜひチェックしてみてくださいね!
以上!
はまちゃんがご案内いたしましたー!
※記事中の商品価格・情報は掲載当時の物です。
ATH-IEX1の動画レビューも是非ご覧ください!
PR部 シニアクリエイター
e☆イヤホン東京秋葉原、PRスタジオに勤務!
身長180cm!
髪の毛は伸ばして寄付する、
へアドネーションしてます!
SNS・YouTube・ブログ等々担当してます!
あんまり知られてませんが、お料理するの好きです☆
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