イヤホン難聴って聞いたことありますか?
イヤホンやヘッドホンで音楽を聴くのが身近になると同時に長時間、大きなボリュームで使う人が増えてきています。
それに伴い聴力が低下したなんて人が多々見受けられるようになってきました。そういったイヤホンやヘッドホンが原因とみられる騒音性難聴や音響外傷のこと指します。
駆動力の高い高性能なプレーヤーやアンプ、カスタムIEMなどの入力感度が高く、かなり大きなボリュームが出せる機器も増えてきました。
優れた機器を使っていても間違った使い方をすれば危険なものに代わります。
安全にイヤホン、ヘッドホンを楽しんでいただく為に今回は、難聴にならないための予防方法と長く音楽を楽しむ為に守ってほしいこと【SAFE LISTENING】についてお話ししたいと思います。
イヤホン難聴、ヘッドホン難聴について
イヤホン難聴といってもピンとこないと思いますので、まずはどういったものなのか簡単にご説明します。
難聴の主な症状
・聴力の低下
・耳鳴り
・めまい
聴力低下をはじめ、難聴による耳鳴りがする事が多く、めまいが起こることなどもあります。イヤホン、ヘッドホン難聴では低域が聴こえづらくなる俗に言う『低音難聴』や音が籠ったように聴こえる事が多いようです。ライブハウスやクラブ、フェスへ行ったことがある方は経験あると思いまうがライブ後の耳鳴りや籠った様に聴こえるあの感覚ですね。
聴力低下は症状が進まないとなかなか気付けず発覚した時にはかなり難聴が進んでいるなんてことも…軽度難聴になると下記のようなことが起こります。
軽度難聴 26db~40db ささやき声程度の音が聞こえない
会話を聞き返すことが増える
遠くからの呼びかけに気付けなくなる
ヒソヒソと小声で話が出来ない
軽度のうちはヒソヒソ話が聞こえづらい程度で自覚症状もあまりありません。それ以上になってくると通常の会話ですら聴き取れなくなってきます。自然と話し声が大きくなっていたりしませんか?それは難聴の症状が出始めているのかもしれません。
失った聴力は戻りません。難聴を避けるためには『音量』と『時間』が大事です。
難聴にならないためのガイドライン
音量と時間について
音楽好きにはお馴染みの有名メーカー【SHURE】が提示している基準として、聴覚を損なわないようにするため、アメリカのOSHA(米国労働安全衛生庁)により定められた各音圧に耐えられる最長限度時間の目安が下記の通りです。
90db SPL 8時間 (カラオケの店内程度の音)
95db SPL 4時間
100db SPL 2時間 (電車通過時の高架下の音)
105db SPL 1時間
110db SPL 30分 (自動車のクラクション程度の音)
115db SPL 15分
120db SPL 耳を傷める可能性があるため回避推奨。
(飛行機のエンジン音程度の音)
5db SPL上がるごとに半分の時間で聴力に異常をきたし、難聴になるリスクが高まります。ライブハウスなどは120db近く大きな音が鳴っていることもあります。耳鳴りなどは聴覚がダメージを受けているサインです。耳鳴りなどの一時的な難聴になるケースを繰り返していると慢性的な難聴になるリスクが高くなります。
具体的な予防策
1.音量を下げる
第一に音量を下げましょう。周りの雑音が入ってくるとついついボリュームを上げがちになりますがダメです。外の音がわずかに聞こえる音量、またはその音量から少しだあげた音量を目安にしてください。大幅に上げているようであれば音量の上げすぎです。初めは物足りなく感じるかもしれませんが慣れれば気にならなくなります。
2.長時間の使用を避ける
長時間の音楽鑑賞は騒音性難聴のリスクが高まります。音の大小に関わらず長時間の音楽鑑賞は控えたほうが良いです。小さいボリュームだからといって寝ながらイヤホンを使うなんてのもダメです。耳に圧を掛け続ける状況は避け、一時間に一度15分程度、イヤホンやヘッドホンを外し耳を休ませるということが大事です。
3.イヤホンやヘッドホンを使わない日を作る
耳を休ませる日を作ることも重要です。毎日の継続使用も音量が大きくなる原因の1つです。継続的に使用することで聴力低下に繋がる場合もあります。定期的に耳を休める日を設けましょう。
4.使用機材の遮音性をあげる
コストはかかりますが遮音性を高くすることで、小さな音量でも外の音が聴こえづらくなります。また音質を上げることで聞こえづらさが解消され音量増加を抑えることが出来る場合もあります。方法としては下記のパターンなどが挙げられます。
カナル型イヤホンを使用する
iPhone付属のイヤホン『EarPods』をお使いの方はカナル型イヤホンといわれる耳栓のように耳の穴に入れるタイプのイヤホンにすることで遮音性が上がります。カナル型イヤホンはイヤホンの先のゴムの部分『イヤピース』を変えることで更に遮音性をあげることが出来ます。
イヤピースをコンプライなどの遮音性の高いウレタンフォームへ変える
パイロットなどの聴力保護のために軍用として利用されてきた低反発タイプのイヤピース。低反発で密着し吸音素材のため遮音性が高く、ノズル径が違う様々なイヤホンのに対応できるよう各種サイズがあり、1ペアのバラ売りや複数セットでの販売もあります。
その他Complyの一覧は下記リンクよりご覧いただけます。
かなり種類が多いので使ってるイヤホンに合うサイズがわからないという方はe☆イヤホンへお問い合わせ頂ければご案内致します。また店頭では実際にイヤピースをお試しいただけますのでお気軽にお問い合わせください。
デメリットとしては耐久性が低いため、ランニングコストがかかりますがお手軽に遮音性を高めることができます。
イヤホン、ヘッドホンを遮音性の高いモデルへ変える
最長限度時間の基準を提示している【SHURE】や老舗メーカー【Westone】などアーティストがステージで使用している高遮音タイプのイヤホンもあります。これらのイヤホンと先に紹介したComplyを組み合わせることで高い遮音性を確保することができます。
ヘッドホンの場合はおなじみの【BOSE】などのノイズキャンセリングやイヤパッドが厚くある程度、側圧の強い物を選びましょう。
カスタムIEMなどの遮音性+高音質で聴きやすいものに変える
耳型に合わせて作るオーダーメイドのイヤホンがあります。アーティストさんがステージで使っているイヤモニという方がわかりやすいかもしれません。ステージ上の爆音からアーティストさんの耳を守る為に作られたもので、外の音をカットすることによって少量のボリュームでも音を聴ける様に作られています。
例えば電車内の音(80db程度)をイヤホンの遮音性を上げ、カスタムIEMの遮音性平均25db程度まで高くすると・・・ 80db – 25db = 55db
周りの雑音を55db程度まで下げる事が出来ます。音の性質上5db程度、音量差があれば他の音は聞こえづらくなります。つまり普通の話し声(60db程度)まで音量をあげるだけで外の音がほぼ聞こえないレベルにカットすることが出来ます。
少し前に記載した最長限度時間にもある通り5dbかわるだけで限度時間が変わります。その分、耳への負担が変化するという事なので、遮音性が高いカスタムIEMを使用することにより耳への負担を減らすことが出来ます。
また一人ひとりの耳型に合わせて製作しますので耳にぴったりとフィット。イヤピースを使わず鼓膜近くまでダイレクトに音を届けるので余分な減衰や歪みを減らす事ができ聴きやすさが向上します。そのためボリュームを上げなくても心地よく聴ける様になります。
もし難聴になってしまったら
もし聴こえに異常を感じた場合。イヤホン、ヘッドホン難聴は初期段階であれば治療が可能な場合があります。違和感を感じたらすぐに耳鼻科へ相談してください。
セーフリスニングについて
こういった難聴から耳を守り、長く音楽を楽しんでいただく為にe☆イヤホンとしても賛同している運動があります。
SAFE LISTENINGとは
『SAFE LISTENING』とは、FitEarでおなじみの須山歯研による、“音楽を安全に楽しむ”をテーマに、音や耳、聴覚について知っていただくプロジェクトです。
【SAFE LISTENING】
ヘッドホンやイヤホン、今やすっかりライフスタイルの一部になりましたが、「周囲の音」・危険を知らせる実は大切な音情報が得にくく、時と場所によっては気がつかないまま危ない状況で使用していることがあります。
耳が持っている優れた環境適応能力は、大きな音にもすぐに対応してくれますが、それゆえ知らず知らずのうち再生ボリュームが大きくなってしまうことも。
長時間連続してのリスニングも聴覚への大きな負担となります。音楽に没頭すると、どうしても時間が経つのを忘れてしまいますが、「ちょっと一息」は音楽鑑賞でも大切な耳の休憩時間です。
知らない、気づかないうちに折角の楽しい時間を失わないように・・・。「これは駄目!」、「間違っている!」と押し付けるのではなく、「音楽を安全に楽しむ」ことをテーマに、音や耳、聴覚の仕組みに少しでも関心を持っていただくために、SAFE LISTEING(セーフリスニング)を立ち上げました。(公式サイトより抜粋)
SAFE LISTENINGについて須山補聴器、FitEarの須山社長がe☆イヤホンTVに登場し、発案者ご本人様がお話しをしてくださった回と、その特集した際にたくさん寄せられた質問に答えてくださったブログもあります。下記のリンクより動画、ブログがご覧いただけます。
■リンク e☆イヤホンのブログ『SAFE LISTENING』について、寄せられた質問を須山社長に訊いてみた
■関連リンク
安全に長く音楽を楽しむために
イヤホンなど音響機器に限った事ではありませんが、どんなに優れた機器でも間違った使い方をしてしまえば危険と隣り合わせです。『自分は大丈夫』と言って危険な使い方をしていると聴力低下を引き起こすかもしれません。せっかく数あるオーディオ機器の中から巡り合った愛機ですので、末永く大切に楽しんで頂きたいというのが私たちの気持ちです。そのためには試聴時間やボリュームに少しだけ気を配って頂ければと思います。
【インタビュー】オランダ・アムステルダムから来日!! 耳栓ブランド #THUNDERPLUGS の創設者にインタビューしてみた