人生で初めての海外はドイツ。目的は、世界最大規模のハイエンドオーディオショー「HIGH END Munich 2025」でした。
――英語はほとんど話せず、海外旅行も今回が初めて。
それでも「一度は行ってみたかった」そのイベントに、翻訳アプリと好奇心を担いで、突撃してきました。
目次
はじめての海外はドイツ、ミュンヘン
飛行機に乗るのもひさしぶり。パスポートの出番も今回が初めてです。
緊張しつつ向かったのは、ドイツ・ミュンヘンで開催されるHIGH END Munich 2025。
出展数も来場者も桁違いで、オーディオトレンドの最先端っていうイメージがあったこのイベント。新しい製品や面白いものがあれば、どんどん試したり、話を聞いてみたいと思っていました!
……と言いつつ、英語はほぼ喋れません。
なので事前に質問を用意して、GPTで英文にして、Google翻訳を準備して、というちょっと不安な準備での挑戦。
それでも、またとないこの機会を逃さないよう、積極的にコミュニケーションをはかりました。
トランジットで利用したドバイの空港の時計はロレックスでした
日本とは違う匂いと景色で“海外”を実感
空港からホテルまでは、電車での移動でした。車窓から見える景色は、最初のうちは「日本とそんなに変わらないな」と思っていたんです。
でも、駅をいくつか過ぎたあたりから、少しずつ“それっぽい建物”が増えていきます。赤い屋根、無骨な壁、渋めの色使いの街並み。
そしてホテルの最寄り駅に着いて地上に出た瞬間、目の前に広がっていたのは完全に「海外」そのものでした。
建物の高さ、石造りの壁、聞こえてくる言葉、行き交う人の顔ぶれ。さらに、ふわっと鼻に入ってきた異国っぽい香りが、その感覚を強めてくれました。
言葉では説明しづらいんですが、「あ、いま外国にいるんだ」と自然に体が理解した感じです。海外旅行に慣れている人なら気にならないのかもしれませんが、自分にとってはこの瞬間が、「ドイツに来た」ことをいちばん強く実感したタイミングでした。
読めないメニューから知らない料理を食べてみた
ドイツに着いて最初にぶつかった壁は、メニューでした。
お腹は空いてる。でもメニューが全然読めない。発音も分からない。
「これ多分……肉?」「こっちはポテトっぽいな」みたいに悩んだ末、
結局は指差しで「This one, please.」が基本スタイルになりました。
名前はわからない。でも、うまい
ある日はハムとチーズの盛り合わせ、別の日には揚げた肉にジャムが添えてある料理も出てきました。
たぶんお肉はシュニッツェルだと思うんですが、味はしっかりしてて、ジャムとの相性も意外によくてびっくり。
何を食べても「見たことない」「初めての味」ばかりなんですが、それでも基本的にどれもちゃんと美味しいのが嬉しかったです。
長いグラスのビールは正義
もちろん、ドイツといえばビール。普段お酒はたしなむ程度ですが、長いグラスで出てきたときはちょっと感動しました。
味は軽めで飲みやすいタイプから、苦味しっかり系まで幅広く、
グラスいっぱいに注がれていたビールはいつのまにか無くなっていました。
日本に帰っても、ドイツビールをつい探してしまうかもしれません
見たことのない料理を、読み方もわからず頼んで、「これは何だろう?」と思いながら食べるのって、最初はちょっと不安でした。
でも、そういう“知らなさ”ごと楽しめるのが、海外のごはんの良さなのかもしれません。味覚も、冒険してなんぼですね。
全身で味わう“いま”のサウンド
ここからは、目的であったハイエンドショーで特に印象深かったことをお話しします!
まず、会場を歩きながら目についたのは、「これは何?」と思わず足が止まる展示の数々でした。
据え置き、ポータブル、イヤホン、スピーカー……ジャンルはバラバラ。でも、各々の「音への思い」がビジュアルにもサウンドにも出ていたのが印象的です。
CDプレイヤー、まだ進化してる
MUSINのブースで見かけたのは、SHANLINGのポータブルCDプレーヤー「EC zero T」。
写真を撮っていると、スタッフの方が声をかけてくれて試聴させてもらえることに。
私のつたない英語をくみ取り、翻訳アプリに向けてゆっくりと、たくさんお話ししてくださいました。
小さめの筐体ながら、中には自社開発のR2R-DAC(EH2に続く新世代)を搭載。
さらに、RAYTHEONのJAN6418真空管をデュアルで使っているとのこと。
ピュアな音作りでありながらも、なめらかで余計な味付けのないサウンドでした。
こちらはUSB-DACとしても使えるほか、Bluetooth送信やリッピングにも対応していて、
「CDをもっと身近に楽しんでほしい」という狙いがあるそうです。
さらに、歩きながらでも使いやすいような専用ケースも開発中とのこと。
音の良さはもちろん、実用的でおもしろい一台でした。
お話しをうかがったFrankie Bina氏
イタリアの石スピーカーが芸術すぎた
Stones Speakersのブースで目を引いたのは、まるで彫刻作品のようなスピーカーたち。
特に印象的だったのは、デスクのうえにも置けそうなほどのコンパクトなモデルも多く展示されていたこと。
インテリアとしても取り入れやすいデザインが揃っていました。
スタッフの方に話を聞くと、これらのスピーカーはイタリアで採れる天然石を使用し、伝統的な手法で一つひとつ手作業で彫刻されているとのこと。公式サイトでも、「石から彫り出された音響彫刻」と表現されており、「工業製品ではなく、アイデンティティのある創造物」という哲学が感じられます。
実際に音を聴いてみると、石の素材感を活かしたクリアで自然な響きが特徴的でした。
しかし、何よりも心を惹かれたのは、その美しいデザインと存在感。
「音が出る美術品」という表現がぴったりで、部屋のインテリアとしても映える、そんなスピーカーたちでした。
最後は快く撮影に応じてくださいました!
回路まで手作業のアンプ、気合がすごい
Lake Peopleのブースでは、日本人スタッフの方に声をかけていただき、試聴を交えながらアンプやヘッドホンについて丁寧に説明していただきました。
まず印象的だったのが、回路から手作業で組み上げられているアンプ。
配線の取り回しやパーツの細かさなど、ただならぬこだわりを感じました。
実際の音もとても丁寧で、ナチュラルでありつつも輪郭がはっきりしていて自然な力感がある。
硬すぎず、柔らかすぎず、手作業のぬくもりみたいなものが音ににじんでる気がしたのが印象的でした。
こういうのたまんないですよね
青年がひとりで作った3Dプリントヘッドホン
同じブースで試聴させてもらったのが、Auribus Acousticsの「Sierra」というヘッドホン。スタッフの方によると、「設計から製造までを一人で手がけている」とのこと。とてもユニークなプロダクトです。
本体は3DプリントによるナイロンとP.E.T.G.素材でできていて、ヘッドバンドはアルミ製。見た目も音も既製品とはちょっと違う雰囲気がありました。
実際に聴いてみると、広がりのある音場と、バランスの取れたチューニングが特徴。低音は必要以上に出しゃばらず、中高域が自然に伸びる印象で、長く聴いていたくなるヘッドホンでした。派手ではないけれど、情熱がぎゅっと詰まった一台です。
装着感もいい感じでした!
文字通り、“音を浴びて”きました
■ アートみたいなスピーカー
ブースを回っている中で見かけたのが、楕円形や球体、有機的なフォルムを持ったスピーカーたち。
スピーカーユニットであることはわかるんですが、ぱっと見では「アート作品かな?」と錯覚するようなデザインばかりでした。
音を出す道具というよりも、“空間に置くためのオブジェ”に音響機能がついている、そんな存在感。
もし家に一台あったら、音楽を流していなくても、ただ置いてあるだけで気分が上がる気がします。
■ フィルムリール風のレコードプレーヤー
もうひとつ目を引いたのが、映画のフィルムリールをモチーフにしたレコードプレーヤー。
映画好きとしては完全にツボで、見た瞬間にテンションが上がりました。
細かいスペックまでは確認できませんでしたが、ターンテーブルの上でリールがゆっくり回る様子がとにかく楽しい。
“聴く”というより、“回すことそのものを楽しみたくなる”プロダクトデザインでした。
■ 旭化成のブース
旭化成のブースでは、特別に調整されたリスニングルームでの試聴体験が用意されていて、音響的にもかなり力の入った展示でした。
さらに、日本のスタッフの方がいらっしゃって、説明もやりとりも日本語OK。
何日も慣れない英語で頑張っていた身としては、「あっ日本語だ…」とホッとした瞬間でした(笑)。
展示の完成度も高く、空間の静けさと合わせて、技術と体験がしっかりつながっていた印象です。
ほかにも紹介しきれないほど、魅力的な製品がたくさんありました。
詳しい会場レポートはこちらのブログをご覧ください♪
🔗【#HIGHEND2025】HIGH END Munich 2025会場レポート【1日目】
🔗【HIGH END Munich 2025】スタッフが気になったレコード関連ブース!
【番外編】Motorworld Munichで“映画館”を発見⁉
会場の向かいにある施設「モーターワールド」でも、ハイエンドショーの一部展示が行われているということで足を運んでみました。
建物に入るとまず目に飛び込んでくるのは、クラシックカーや高級スポーツカーの数々。さすが“モーター”の名前は伊達じゃない。
そして、ちょっと驚いたのがトイレの洗面台がタイヤのホイールでできていたこと。そういうところまで世界観を作り込んでいて、妙にテンションが上がりました。
中でも圧倒されたのが、Cabasseの体験ブースです。案内された部屋に入ると、前後左右だけでなく、斜め上からもスピーカーに囲まれる空間。9台以上のスピーカーに取り囲まれた状態で座ると、まさに“音を浴びる”という感覚になります。
デモでは映画のワンシーンやサウンドデザインのサンプルが再生されていたのですが、音が移動する、回る、浮かぶ。どの方向から音が飛んできたのかが明確にわかる感覚に、思わず鳥肌が立ちました。
この体験のすごいところは、ただ「音がいい」ではなく、空間そのものが“スピーカー”になったような感覚になること。
正直、「これ家にあったら一生外出なくなるな…」と思いつつ、いやそもそも置けないわって自分に突っ込みたくなるほどの迫力でした。
展示の数は多くはありませんでしたが、この体験だけでも「来てよかった」と思えるだけのインパクトがありました。
また行きたいって、ちゃんと思えた
海外もオーディオショーも初めてで、正直けっこう不安でした。でも、なんとかなったし、ちゃんと楽しかったです。
ブースの人たちが笑顔で話を聞いてくれて、伝わらないながらも伝えようとした時間が、自分にとってすごく大きかった。
次はもうちょっと喋れるようになって、もっといろんな“好き”を深掘りしたい。
それまでは、このとき感じた“音の手ざわり”を思い出しながら、またオーディオを楽しもうと思います。
会場では話題のポータブルプレイヤー「SP4000」も試聴することができました。Astell&Kernらしい美しい筐体デザインと、フラグシップらしい解像度と表現力が印象的で、一聴して「これはまたひとつ、ポータブルの常識を超えてきたな」と感じさせるサウンドでした。
このモデルについては、別の記事で詳しく紹介しているので、気になる方はぜひそちらもチェックしてみてください。
🔗【HIGH END Mucnich 2025】Astell&Kern A&Ultima SP4000その実態に迫る!
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