7wayのトリプルハイブリッド!?Empire Earsの新機種2種を聴いてみた
イヤホン・ヘッドホン専門店e☆イヤホンのPRスタッフかわちゃんです。
アメリカ・ジョージア州アトランタに拠点を置く、カスタムIEMメーカー「Empire Ears」から新しいイヤホンが2機種同時に登場いたしました。
今回の記事では登場したばかりの新機種を早速、お借りして簡単にレビューいたします。
Empire Ears Hero & ODIN
2020/11/06発売予定です!
初回入荷分のみ通常版とは異なるシグネチャーエディションとなります。全世界でODINが200本で、Heroが100本の限定パッケージです。
ODINのシグネチャーエディションは、パッケージに開発者たちのサイン、はがきとシリアル番号が入っています。また、イヤホン本体にも創設者のサインとシリアル番号が入ります。
Heroのシグネチャーエディションはイヤホン本体に創設者のサインとシリアル番号が入ります。
Empire Earsといえば筐体内に沢山のドライバーを詰め込むマルチドライバーイヤホンが得意!というイメージが強いメーカーですよね。今回登場する2機種もハイブリッドドライバーの製品です。
その中でも新しいフラグシップモデルとなる「ODIN」はダイナミックドライバー、BAドライバー、静電ドライバーの3種類を筐体内に組み込んだ7way11ドライバーという怒涛のスペックを誇ります。
歴代のハイエンドイヤホン「ZEUS」や「LegendX」に採用されたテクノロジーを更にブラッシュアップした物も搭載されているとの事なので非常に音質にも期待できますね。
HeroとODINに搭載されている独自技術
WEAPON IX+
HeroとODINに搭載されるダイナミックドライバーはEmpire Earsが独自で開発した新世代ドライバー「WEAPON IX+」が搭載されています。
Legend Xに採用されたダイナミックドライバーより、更に大きな直径のコイルを採用した事で性能に磨きが加わりました。
密閉型ウーファーと同調するバスレフ型構造という特殊な形状のおかげで、まるでスタジオモニターのような迫力のあるサウンドが特徴です。
synX Technology
synXは、特定の帯域を高精度に指定が出来るクロスオーバー技術です。synXを搭載することで歪みを非常に低いレベルまで抑えられるとのこと。
ドライバーに対して他の帯域が混じっていない純粋な信号を入力出来るので、クロスオーバーが複雑になりがちなマルチドライバーイヤホンに対してかなり有効な技術ではないのでしょうか。
いわゆる「多ドラ」のイヤホンの数々を設計してきたEmpire Earsならではの技術ですね。
A.R.C.Technology
A.R.C.(Anti-Resonance Compound)はIEM内の不要な振動や歪みの軽減を抑える独自のコーティング技術です。
塗布された各部品の質量を増加させ、不要な共振を減衰させるダンパーのような役割を行うようですね。
ドライバー同士の共振などを徹底的に抑え込む事で、音のクリアさを大幅に向上。さらに、ベースはより深く再生されるとのことです。
Hero
ドライバー構成
1 Sub-Bass/Bass
1 Mid
1 Mid-High
1 High
105 dB SPL@1kHz
周波数特性:5Hz – 40kHz
インピーダンス:17.6 Ohms @ 1kHz
4way4ドライバー搭載
特徴
1 x 次世代 9mm WEAPON IX+(W9+) サブウーファー
3 x バランスドアーマチュアドライバ(proprietary balanced armature driver)
4-way synX クローズオーバーネットワーク(4-way synX Crossover network)
3.5 mm 3極プラグ採用
Heroの核は、独自のトリプル・バランスドアーマチュアドライバーと次世代のW9+サブウーファーから成るクワッドハイブリッド構成です。この組み合わせはARCテクノロジーを基盤とする4-ways synX crossoverネットワークを介して、深いボーカルと最高のディテールと共に伝説的な低音のレスポンスを生み出します。Heroのすべての要素はEmpireの歴史の組み合わせであり、私たちの可能性の限界を広げる執拗な探求心を体現しています。Heroは洗練されたデザインに独自の技術、優秀なサウンドクオリティを有する最高の傑作です。
開封してみた
HERO通常版の外箱です。
パカッっとな
イヤーピースは当店でも大人気のfinalタイプEが付属いたします。
ガッチリとした造りの金属製ケースも付属。衝撃などからしっかりとイヤホン本体を守ってくれそうな頼もしさがあります。
付属品一覧
イヤホン本体、ケーブル、イヤーピース5サイズ(SS,S,M,L,LL)
ケース、クリーニングクロス、クリーニンググール、マニュアル
イヤホン本体。同社のカスタムIEMと同じようにハンドメイドで丁寧に組み立てているそうです。仕上げは非常に滑らかで手に取るだけで精度の高さが分かります。
今回お借りしたサンプルは2.5 mm 4極プラグ仕様ですが、実際の製品は3.5 mm 3極プラグ仕様となります。
ケーブルはシンガポールの高級リケーブルメーカーEffect Audioとコラボした「ALPHA-IV(A4)」が付属いたします。
26AWG UPOCC Litz Copper導体を採用した高品位なケーブルを、手作業で丁寧に編み込んだ4芯仕様。太い導体が低音と中音をスムーズに伝える一方、細い導体は信号の伝送速度の違いによってクリアな高音域を表現しているようです。
ケーブルの実際の質感はEffect Audioならではで、非常に柔らかく取り回しのいいケーブルです。また見た目が非常に美しいのもポイントですね。
イヤホン側のコネクタは2pinを採用。リケーブルにも対応しています。
ODIN
ドライバー構成
1 Sub-bass, 1bass
2 Low-mid
2 Mid
1 Mid-High
2 High
2 Ultra-High
108㏈ SPL@1kHz
周波数特性:5Hz-100kHz
インピーダンス:3 Ohms@1kHz
7way11ドライバー搭載
特徴
2x 次世代 9mm WEAPON IX+(W9+) サブウーファー
5x バランスドアーマチュアドライバ(proprietary balanced armature driver)
4x プレミアム静電ドライバー(premium electrostatic drivers)
2.5 mm4極プラグ採用
7-WAY synX クローズオーバーネットワーク(7-way synX Crossover network)
2017年からODINの開発を進め、私たちはワールドクラスのIEMを作り出すことに情熱を傾け続けました。Empireが誇りに思える、並ぶ者のないパフォーマンスを提供できるIEMの開発を目指します。それは夢から始まり、ついに想像の境界を越え、最高の製品を開発するきっかけとなりました。Empireは妥協を許さず、困難に挑み続け、最高のデザインと技術を組み合わせODINを開発しました。ODINのデザインは一級品で、また、素晴らしいリスニング体験を提供します。
開封してみた
Odin(通常版)を実際に開封してみました。
外箱
美しいフェイスプレートが目を引きますね。
フェースプレートはODIN専用のBifrostフェイスプレートを採用しています。素材は9つのポリマー層から成り、各3つずつ独自のラミネート技術により制作されています。
このフェイスプレート素材もハンドメイドで作られているらしいですよ!見る角度によって色が変わりめちゃめちゃ綺麗です。
高域部分にプレミアム静電ドライバーをなんと4つも搭載した、とんでもないスペックが特徴のODIN。
静電ドライバーの良さを最大限に活かすためにEmpire EarsはEIVECテクノロジーというものを搭載しました。同社製のイヤホン「VALKYRIE」にも採用されているこの技術は、静電ドライバーを完全に制御し、一体感のある音質を実現しているとの事です。
付属ケーブルSTORMBREAKER
Empire Earsは最高のIEMを開発するに当たって最高のケーブルも開発いたしました。
ハンドクラフトケーブルメーカーPWAudioと日本のPENTACONNの協力を仰ぎUSA製の OCC Copper Litzで構成されたウルトラプレミアムケーブルです。
導体をブラックカーボンで包む2重シールド構造にデザインすることで外部のノイズから信号をシャットアウトしているとのことです。
柔らかく取り回しの良いケーブルと感じました。丁寧な布巻き仕様のおかげでタッチノイズも少なく快適にお使い頂けると思います。
ODINも2pinコネクタを採用。リケーブルに対応しています。
ODIN通常版パッケージの付属品の内容はHeroと同一でした。
音質
Heroはエネルギッシュでメリハリのある音質
早速Heroを試聴してみました。Heroの強みはクリアではっきりとした歯切れのいい中高域、湧き上がるような深みのある低域に加え、Legend Xを彷彿とさせる音の広さにあると思います。
非常に豊かな低域が特徴だったLegend Xと比較すると音の重心はやや腰高で、高域なるにかけて音が広く分散するようなバランスと感じました。
中高域はエネルギッシュな音で広いステージの中にくっきりとした音が浮かび上がるような感覚です。ライブ音源などとっても楽しく聴けました。
ボーカルの表現もメリハリがあり他の音としっかりと分離して聴こえるので、高精細な表現を楽しめます。また、最前線からは一歩引いたような距離感なので全体のディテールをつかみやすいです。強調した感じが少なくバランスのいい量感なので自然で違和感がないのもポイントなのではないでしょうか。声と楽器の帯域がうまく馴染んでいると感じます。
歯切れのいい音質ですが、刺さりの少なさとうまく両立しているので、刺激的すぎる高域が苦手な方にもおすすめです。ここが個人的にかなり気に入った特徴で、全体的に明瞭度は高いのですが、驚くほど聴きやすい音質です。
低域はかなり低いところから、じんわりと響き渡る低域です。かなり低い帯域からもしっかりと再生されているので唸るようなベースが楽しめました。
量感は控えめで全体が崩れないようなバランスに整えられていますね。キックやアタック感はあえて強調されていない印象で歯切れのいい中高域を邪魔せず支えるように調整されています。ここもかなり気に入ったポイント。
低域の中高域に対するかぶりはなく、驚くほど自然にまとまっています。EmpireEars独自のクロスオーバー技術「synX」の恩恵をしっかりと感じられました。
特に相性のいいと感じた楽曲のジャンルは最近のポップスです。パワフルな歌声のアーティストさんの楽曲と合わせると気持ちよく聴けますよ!
シンセとか入ってる曲とか尚更いいです。レディー・ガガとかP!nkとかケイティー・ペリーの楽曲をぜひともHeroで聴いてみてください!!
ODINは圧倒的なサウンドステージとイヤホン随一の低域
お次はODINを試聴してみました。
ODINはとても開放的なサウンドで、音の広がり方に全く壁を感じない圧倒的なサウンドステージが特徴です。イヤホンの中ではトップクラスの広さだと思います。
特に横方向の広がりがとても広く、伸び伸びとした広がります。
広大なステージの中にボーカルや楽器が点で存在するピンポイントな音像を実現しているのもODINの強みと言えると感じました。にもかかわらず音の繋がりは上手にまとまっていて驚くほど自然。11基ものドライバーが搭載されているにも関わらず音質には一体感があり、まるで一つのドライバーで再生されているような感覚です。
中音域はHeroと比較するとさらに一歩近づいたような距離感で、少しだけ前でてきたような印象です。
澄み渡ったボーカル表現で、非常に小さいニュアンスも潰れることなく細やかに表現してくれるような音質が楽しめました。細かいディテールにもかかわらず、自然で聴き心地よくまとめているのもポイントですね。他の帯域とのセパレーションはシャープ過ぎず自然につながって聴こえます。
低域は非常に力強く下からモリモリと盛り上がるような音質を楽しめました。
かなり低い帯域の部分を少し強調している印象。
びっくりするほどディテールが豊かで、例えばウッドベースの鳴り方一つにしても、弦の震え、胴鳴り、空間への響きなど細かい情報をしっかりと拾い上げてくれるような素晴らしい音質です。
低域の量感は豊かですが横にブーミーに膨らむことはなく、細かい表現と空気感が上手に合わさった音質で非常に品質の高いものに仕上がっています。
ODINの最も注目すべきポイントはこの低域にあるのではと思いました。イヤホンの中でも屈指の性能を誇る品質です。
Legend Xと比較すると低域はそこまで太くなくディテール重視なのかなと感じます。(他のイヤホンと比べるとEmpire Earsらしくパワフルですが)
ODINの高域は透明感が高く非常に高い音域まで伸びます。目の細かい粒子がいくつも折り重なるような繊細な音質で空気感の表現が非常に上手だと感じました。
気に入ったポイントが、エッジが丸く滑らかな音質という点です。高音域の刺激の少なさで言えばHeroより、さらにマイルドでかなり刺激の抑えられた音質といえるでしょう。派手な音源を再生しても痛くならず長時間リスニングもストレスフリーでお楽しみ頂けると思います。
どんなジャンルの音源でも相性はいいと思いまが、一度試して欲しいのは広いホールで録音されたクラシックやジャズボーカルの音源です。アコースティック楽器はODINの圧倒的な性能を引き出すには最適ですよ!
HeroとODINどちらもプレミアムな価格に見合った非常に完成度の高い製品に仕上がっていると思います。
ぜひぜひ、一度お試しください!!
以上、最後まで読んでいただいてありがとうございます。イヤホン・ヘッドホンの専門店e☆イヤホンのかわちゃんがお送りいたしました。
日本橋本店PR部のかわちゃんです!写真を撮ることが大好きなので、写真を通してイヤホンヘッドホンの魅力をお伝えしていきたいと思います!よろしくお願いします(`・ω・´)b