e☆イヤホン秋葉原店ヘッドホン担当のよしけい(@eear_yoshikei)です。
突然ですが皆さん!DTMやってますか?
DTMとは、デスクトップミュージック(Desk Top Music)の略で,ざっくり言うと自宅などでパソコンを使用して作曲や編曲を行うことです。
そういえば…e☆イヤホンで取り扱っているものの中で、DTMには必須ともいえるものありますよね?
そう!モニターヘッドホンです!!
モニターヘッドホンは、
- 普段はスピーカーでミックスしてるけど夜で大きな音を出せない時
- スピーカー環境下ではチェックしきれない細かい音をチェックする時
- 実際ヘッドホンで聴いたときにどのような音を出しているかチェックする時
等々使用用途は多岐にわたり、楽曲のクオリティを向上させるためには欠かせない大事な機材の1つです。
そもそもモニター用って普通のヘッドホンと何が違うの?という方は、以前ののさん(@eear_nono)がかなり詳しいブログを書かれているので、是非そちらもご覧ください。
関連記事:【モニターイヤホン/ヘッドホンってどんなのを選んだらいいの?】そもそも「モニター用」って何?【連載・第1回】
本記事ではDTMでモニターヘッドホンが必要な方をメイン対象とし、実際に楽曲制作などを行っているe☆イヤホンスタッフ厳選のおすすめモニターヘッドホンをご紹介いたします。
今回は開放型ヘッドホンと密閉型ヘッドホンそれぞれ5つずつのご紹介となります。
※2021/11/15追記
今年も様々なヘッドホンが発売されました。発売したモニターヘッドホンの中でもかなりオススメの3機種を特別枠としてピックアップ!
おすすめ10選のあとに追加していますのでぜひそちらもご覧ください!
【2021年版】モニターヘッドホンおすすめ10選
開放型ヘッドホンおすすめ5選
AKG K240 STUDIO-Y3
密閉型の迫力と開放型の抜けの良さ、その両方を併せ持つセミオープン型のヘッドホン。
K240 STUDIOはそのバランスが非常によく、各帯域まんべんなく綺麗にならしてくれます。特に高域の伸びや艶やかさが素晴らしく、フルートやバイオリンの生楽器系のサウンドとの相性が抜群です。
側圧もゆるく、程よい音抜け感もあるので長時間の使用にはもってこいの1台で、メーカー保証3年間というのも安心ですね。
AKG K712 PRO-Y3
特筆すべきポイントはサウンドフィールドの広さです。癖のないすっきりとした高域の音通りは、他のヘッドホンにはなかなか真似できない領域となっております。
また、AKGのK7○○シリーズは中高域の伸びの良さと引き換えに低域の薄さがネックな部分がありますが、K712はそちらもきちんとカバー。過不足のない帯域バランスの元、音を鳴らしてくれます。
バンドの長さの調節はゴムが伸び縮みするタイプなので、頭の大きさに合わせてジャストフィット。トータルバランスの高さが際立つ1台となっております。
audio-technica ATH-R70X
今回紹介するヘッドホンの中でも一番軽く、そして私の感想ではありますが、装着感の良いと感じたヘッドホンです。
モニターとしての帯域バランスの良さはもちろん、特に奥行に対する空間表現が優秀で、特に中低域に対するフォーカスの正確さは他の開放型にはあまり見られないようなクオリティです。
基本的にモニターヘッドホンはモニタースピーカーと併用することが理想ではありますが、どうしてもスピーカーを設置できない、またはメインの作業場とは違う場所で作業をする状況がある方にはオススメの1台となっております。
SENNHEISER HD 600
バランスの良い出音、クラシックなどの音数が多い楽曲等もしっかりと表現してくれる解像度の高さ、そしてしっかり耳を覆ってくれる柔らかいベロアのイヤーパッド。全てがクリエイターのことを考えて作られたヘッドホンです。
特徴でもある300Ωという高いインピーダンスですが、モニターヘッドホンとしてオーディオインターフェイスやミキサーに接続することを考えると何ら問題はないでしょう。
また、HD600番台のシリーズは後継にHD 650、HD 660Sと出ていますが、後継機はリスニング向けに低音が盛られているので、純粋なモニター用途という所で考えると、味付けの少ないHD 600が一番向いているのではないかと思います。
復刻時には周波数特性が12Hz~40.5kHzに広がり、ハイレゾ音源にも対応した形となり現代のニーズにも合わせたハイクオリティな1台となっております。
SHURE SRH1840
SRH1840はSHUREが送る開放型モニターヘッドホンのフラグシップモデルになります。
奥行きに関する表現力に秀でていて、がっつり前に出てきてほしいサウンドから、どこまでも広がるような音の伸びまで描き、ボーカルは近く、ドラムは遠く。ニアとファーの違いを楽器達の関係性を崩すことなく、しっかりと描いてくれます。
解像度も高く、低音域から高音域まで余すところない出音はまさにフラット。
スチール製のフレームは軽く、ベロア生地のイヤーパッドは柔らかく、着けるというよりは添えるといった方がふさわしいくらいの気持ちいい装着感。長時間の作業も苦にならないでしょう。
まさに質実剛健。SHUREの音響に関する技術を余すところなく落とし込んだハイクオリティのヘッドホンとなっています。
密閉型ヘッドホンおすすめ5選
audio-technica ATH-M20X
低価格帯の中では群を抜いた解像度の高さ。密閉型で装着感も良く、遮音性能もしっかりしています。
ケーブルは3.0mと長く、何か楽器を弾かれる方でも余裕を持った立ち回りが可能。
解像度の高さもあり、全帯域しっかりなってくれてはいるのですが、少しだけ400~500Hzあたりが強くでる傾向にあり、男性ボーカルが特にその影響を受けやすいので、そこだけしっかり意識しておけばミックスもかなりやりやすいと思います。
エントリークラスで、ミックスや宅録、様々な用途で使用したいという方にはうってつけの1台です。
SONY MDR-CD900ST
THE定番モニターヘッドホン。日本のスタジオだったら置いてないところはないであろうという普及率。スタジオで収録などもされる方でしたらスタジオと自宅の環境を統一するという意味合いでも、持っていると何かと便利なヘッドホンです。
そして、その普及率の高さは、やはり性能の高さの裏付けでもあります。元々レコーディング用途で制作されたという経緯もあり、中高域がやや前面に来るようなバランスにはなっていますが、定位や空間、EQなど、ミキシング、マスタリングによる音の変化も余すところなく描いてくれます。ただ、低域が少し弱めなところもあり、モニタースピーカーや他のヘッドホンの併用がベターかと思います。
また、業務用のヘッドホンなので、そもそもが丈夫に作られてはいるのですが、パーツ類もそれぞれ単体で販売しているので、ご自身でのパーツ取り換えはもちろんのこと、e☆イヤホンのクリニックでもパーツの修理や交換を行っておりますので、故障したからといってヘッドホン丸ごと買い替えることのない利便性をもった1台となっています。
JVC/VICTOR STUDIO HA-MX100V
JVCとVICTOR STUDIOがスタジオで使用することを想定して製作したモニターヘッドホン。
スタジオ想定ということからSONYのMDR-CD900STと比較されることが多い当機ですが、主な違いとしては周波数特性と音場の広さにあります。
MDR-CD900STは5Hz~30kHz、HA-MX100-Zは10~40kHzと高域に対してより広い周波数特性を持ち、空気感や臨場感をより忠実に再現したサウンドを届けてくれます。
また、MDR-CD900STはボーカルにフォーカスを向けたやや耳に近いサウンドのヘッドホンに対し、HA-MX100Vはすこし広めで、空間表現に重きを置いたサウンドになっているので、見通しのしやすさというのが1つのポイントです。
原音を忠実に再現しつつも、過度に刺さったりせず、すっと入ってくる音になっているので、制作用にも観賞用にも両方の用途で活躍できるおすすめの1台です。
SHURE SRH1540
SHUREが送る密閉型モニターヘッドホンのフラグシップモデルになります。
兄弟機である開放型のSRH1840と比較すると開放型特有の音抜けの良さは無くなりますが、窮屈な表現には全然ならず、しっかりとした定位の表現、また空間の端を捉えやすいのでMIXに対する適正は最上級クラス。
軽量のアルミフレームや快適を求めたふかふかのイヤーパッドのおかげで長時間の作業でも痛くならない設計。
SRH1840同様SHUREの音響に関する技術を余すところなく落とし込んだハイクオリティのヘッドホンとなっています。
ULTRASONE Signature Studio
かなり硬質な音をしています。高域が独特な鳴り方になるので、人によってはうっとおしく感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、粗を見つけてこそのモニターヘッドホン。制作用途としてみれば優秀さが際立ちます。硬めの音はミキシングとかなり相性よく、歯擦音などのチェックにはもってこい。
シンセベースの音作りをこれでやるとかなりソリッドな造り込みができるのではないでしょうか。
また、音漏耐性が非常に高く、REC等に使用する時も安心して使用することができます。
逆にそれが圧迫感になり、長時間の使用が心配という方は、YAXIから発売されているFIX 90というイヤーパッドを着けてみるとよいかもしれません。
しっかりとした柔らかいイヤーパッドが耳を包み込むように押さえてくれ、長時間の使用も可能にしてくれることでしょう。
2021年発売のモニターヘッドホンオススメ3選
FOCAL Clear Mg Professional
Clear Professionalの後継機にあたる当機。
Clear Professionalも開放型としてのダイナミックレンジの広さを持ちつつも低域の量感も多めで、解像度も申し分なく弱点といった弱点が無い機種だったのですが、 Clear Mg Professionalではさらに音が硬質になり、定位や音のテイルがよりクッキリハッキリと表現されるようになりました。
本体重量が450gとやや重ためですが、イヤーパッドのクッション性とフィット感の良さも相まって重さを直接的に感じないものにはなっているので長時間の作業でも大丈夫なのではないでしょうか。
ULTRASONE Signature MASTER
Signature MASTERは同メーカーから発売されていたリファレンスモデルのSignature Proの後継機として開発されました。
音質に関しては、ただひたすらに滑らかな表現といったところです。密閉型のヘッドホンの中では比較的広めの空間表現の中で、リバーブのかかり具合、タイトなキックと緩めのベースの書き分け、まとまりを持ちつつも各音の定位もごちゃつかず鳴らしてくれるので、空間づくりに関しては随一の性能を持っている印象です。
Signature MASTERのような滑らかな表現のヘッドホンは、場合によっては「良く聴こえてしまう」といった弊害も生まれがちではありますが、そこはしっかりモニターヘッドホン。拙い音源の場合はしっかりとその粗さを伝えてくれます。
イヤーパッドには柔らかいシープスキンレザーを採用。耳や頭にかかる負担をしっかりと分散してくれるので長時間の作業にも配慮した設計がなされています。
Austrian Audio Hi-X65
皆さんAustrian Audioはご存じでしょうか?
2017年7月1日にオーストリアのウイーンで創業したメーカーであり、有名なヘッドホンブランドであるAKGに在籍していた20名強のエンジニアリング・チームが中心となりマイクやヘッドホンなどの音響機器を生み出しています。
Hi-X65はそんなAustrian Audioが生み出す3機種目のヘッドホンであり、初の開放型のヘッドホンとなります。
音質は、やはりモニターとしての実直さが光ります。中高域の伸びや煌びやかさの表現力は随一であり、音場もしっかりと描写され、前後左右、広い狭いなどの音の位置の把握は非常にやりやすい機種だと感じました。
個人的な注目ポイントは低音量下での帯域バランスの良さです。帯域バランスも崩れず、どこかの帯域がマスクしたりもせず、しっかり鳴らしてくれるので、様々な条件下でのモニターとしてしっかりと要望に応えうるヘッドホンだと思います。
造形の良さはHi-X55からしっかり引き継がれており、ポケットが深めで耳をすっぽりと覆ってくれるイヤーパッドは、耳に不要な負荷がかからない長時間作業に向いている造形になっています。
ミックスやマスター、中高域や音場を見るリファレンス機としての活用も〇。モニターヘッドホンとして汎用性が高く非常にオススメな1台です。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
最後に、今回13機ものヘッドホンを挙げさせていただいたきましたが、一言でモニターヘッドホンと言ってもメーカーや価格帯によってその特徴は様々ですので、可能であれば試聴したうえでお選びいただくことをお勧めします。
今回ご紹介させていただいた、ヘッドホン各機はe☆イヤホン各実店舗で試聴可能となっております。※一部製品に関しましては試聴機を置いていない店舗もございます。詳細に関しましてはお手数ですが、各店舗へお問い合わせください。
また、普段お使いのノートPC、オーディオインターフェイスなどをお持ち込みいただいてのご試聴も可能です。お客様にとって理想の試聴環境を作るために、私たちで可能な限りご協力させていただきますので、お気軽にご相談ください。店舗の様子については同じ秋葉原店のAKIRAがブログを書いてくれているので良ければこちらもぜひお読みいただければと思います。
以上、e☆イヤホン秋葉原店からよしけいがお送りいたしました。
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