2種類のDACを内蔵。A&futuraシリーズ新機種の『SE200』を聴いてみた!


 

 

イヤホン・ヘッドホン専門店e☆イヤホンのかわちゃんです。

今回の記事では6/26に発表されたAstell&Kernのデジタルオーディオプレーヤー新機種『A&futura SE200』の実際の使用感や音質について触れていきます。

 

 

Astell&Kern A&futura SE200

 

 

 

2020/7/17

本日発売!

 

 

A&futura SE200は、Astell&KernにおけるデジタルオーディオプレイヤーのプレミアムラインA&futura(フューチュラ)の第2弾となる新機種です。

A&futuraシリーズは最先端の技術を盛り込んだ圧倒的な性能が特徴のシリーズです。

 

例えば、先代モデルとなるA&futura SE100には据え置き製品での使用を前提としたDACチップ『ES9038PRO』を初めてポータブルオーディオデバイスに採用し、かなり話題を呼びました。

 

 

SE200にも『A&futura』シリーズらしいインパクトのある機能を搭載しています。

その機能はズバリ、1つの筐体に異なる2種類のDACを搭載した、史上初の『マルチDAC』製品です。

 

 

DAPの心臓部とも言えるDACを2種類搭載しているので、まさに『Two Hearts One mind』というキャッチコピーにふさわしい製品ですね。

 

個人的にもかなりワクワクする製品です!早速チェックしていきましょう。

 

 

 

製品の特長

 

 

 

SE200はESS Technology社のオーディオ用最新DAC「ES9068AS」をオーディオプレーヤーとして初搭載。しかも左右独立したデュアルDAC構成という豪華な仕様です。

 

 

もう一方のDACには、Astell&Kernの最上位機種のA&ultima SP2000にも採用されている、旭化成エレクトロニクス社のフラッグシップDAC「AK4499EQ」をシングル構成で搭載しています。

異なるメーカーのDACを搭載することにより、1つの筐体で異なる音色を楽しめる革新的な製品です。

 

 

 

2種類の異なるDACチップの特性に合わせて、1つのアンプ回路ではなく、独立し最適化されたアンプ回路を搭載しているのも大きなポイントです。

それぞれ、アンバランス接続とバランス接続をチャンネルごとに分離した、専用のアンプ回路設計を採用することで回路間の信号を完全に分離。互いに干渉しない優れたサウンドを実現しています。

 

 

 

新たにDACフィルターの選択機能を追加

 

 

A&futura SE200には新たにDACフィルターの選択機能が追加されました。聴く音源や接続する機器に合わせて更に音質を追い込むことが可能です。

2種類のDAC、EQ、DACフィルターと音質のカスタマイズ項目が多く、SE200が1台あるだけで様々な音色をお楽しみ頂けそうですね。

 

DACフィルターごとの聴き比べをしてみると音質の変化量は小さめですが、集中して聴き込むと、主に余韻やニュアンスがほんのり変化していることに気づきます。

例えばESS「ES9068AS Dual」のAcousteic Soundは低域の沈み込みがわずかに強化されるのでより深みのある音質を楽しみたい時におすすめ。一方、ESSのHarmonic Soundは高域の広がりがわずかに華やかになる印象でした。

 

 

 

スペック面においても進化!

 

 

SE200はスペック面においても、前モデルのSE100から進化を遂げました。

まず、内蔵メモリが128GB→256GBへと強化されました。microSDカードと併用することで大量の音源を持ち歩くことが可能ですね。

連続再生時間は約11時間→約14時間(ESS)となり、より長時間音楽をお楽しみ頂けます(AKM使用時は10時間

 

 

出力がアンバランス2Vrms、バランス4Vrms→アンバランス3Vrms、バランス6Vrms(AKM)と高出力化しているのもポイントです。

 

 

より詳しいスペックはe☆イヤホンWEB本店の商品ページをご参照ください。

 

 

外観について

 

 

 

今回メーカーよりサンプル品をお貸出しいただきました。早速外観をチェックしていきましょう。

 

A&futura SE200の新しいデザインには、使用されている2種類のDACを象徴するように、芸術作品のような美しい曲線と直線を自由に融合させています

 

 

 

A&futura SE200は滑らかな曲線をモチーフとしたデザインを採用されています。

角張ったデザインが特徴だった先代のSE100と比較すると随分と近未来チックな印象を受けます。

 

 

筐体のデザインの特徴である波打つような曲線は、外箱にもモチーフとしてあしらわれています。

 

 

柔らかい曲線のおかげで、手によく馴染みます。ボリュームの一部は、シャーシに覆われているので不用意にボリュームが動いてしまうことが少なくなりました。

筐体には切削加工されたアルミニウムが採用されています。加工精度が非常に高く、すべてのパーツにおいて高級感がありますね。Astell&Kernブランドらしい仕上がりです。

 

左:SE100、右:SE200

 

SE100と比較するとSE200の筐体はごくわずかに厚みを増していますが、ほとんど違いがわからないレベル。

2つのDACとそれぞれ異なるアンプ回路を搭載しておきながら、SE100と同じサイズというのは驚きです。

 

 

重量も実測値で約30gしか変わっていないのでSE100と同じような感覚で持ち運びができると思いますよ。

 

本体上面。梱包用のフィルムにはどちらのDACか分かりやすいような印刷が施されています。

操作ボタンに近い方の端子がAKM側、ボリューム近い方の端子がESS側です。それぞれ3.5mmアンバランス端子とおなじみの2.5mmバランス接続端子を備えています。

 

 

本体側面には、電源およびスリープ解除ボタン、曲戻り・再生停止・曲送りボタンを備えます。

 

 

 

本体下部。充電・データ通信用端子はUSB Type-Cを採⽤。プッシュイン式のmicroSDスロットも備えています。

 

 

本体背面。SE200の背面と上面は新たにセラミックプレートと呼ばれる新素材を採用しています。

スモークがかった鏡面のパネルで、精密に加工がなされております。高級感がありますね。眺めるだけでうっとりします。

 

 

画面は720×1280ドットの高精細な液晶パネルを採用しているので非常に綺麗で見やすく感じます。

 

 

UIは本体デザインに合わせた青を基調としたカラーです。(オプションで変更可能)

 

 

ボリュームホイールLED

 

 

SE200のボリュームホイールにはLEDが搭載されています。

Astell&Kern SA700にも同じく搭載されている機能でDAPのステータス情報を視覚的に表示します。

 

DACステータス

各アナログ出力端子に接続した際に表示される機能で、ESSと接続時はグリーン、AKMと接続時はオレンジ、ESSとAKMを同時接続した際にはイエローに発光し。どちらのDACを使用しているかひと目見るだけで判断出来るので便利ですね。

 

 

ビット深度ステータス

 

また音源を再生している時には、音源のビット深度を視覚的に表示します。

16bit:レッド
24bit:ライトグリーン
32bit:ブルー
DSD :パープル

 

 

ボリュームステータス

音量の操作を行った際にはブルーカラーのLEDがだんだんと濃くなり、どのぐらいの音量かわかりやすく表示してくれます。

 

 

 

 

専用ケースも同時に発売!

 

 

SE200と同時に高品位な純正ケースも発売されます。

 

今回発売されるケースは、プレイヤー全面を包みこむフルガードタイプを採用。本体全面をしっかりと保護します。

 

 

ケースの素材は、牛皮の腹の部分を使ったButtero製のベリーレザーを使用しています。

実際に手に取ってみると滑らかでキメの細かい肌触りと感じました。ケースの厚みは薄く、装着した際に一体感がありますね。寸法がぴったりなのでSE200の滑らかな曲線にもしっかりとフィットします。

本革素材のため長時間使うことにより独特の光沢や艶が生まれ、趣のある色合いへと変化するとのこと。

 

 

ストリーミングアプリをインストールしてみた

 

SE200はOpen APPを介してAndroid向けの各種ストリーミングアプリケーションをインストールすることが可能です。

今回は一例として『Tidal』をSE200にインストールしてみました。

TidalはXAPKファイル形式で配布されているのでそのままでは、アプリケーションを認識することが出来ません。

ここで一例としてXAPK installerというandroidアプリケーションを使ってSE200にXAPK形式のアプリケーションをインストールしてみます。

 

 

まずはXAPK installerとTidalをSE200の『OpenService』フォルダに保存。

お次にXAPK installerアプリをインストールします。

 

 

起動したらアプリケーションの一覧が表示されるのでTidalを選択。するとインストールが開始されます。

 

 

インストール完了です。

 

 

音質

 

 

A&futura SE200の音質は脚色が少ないモニター寄りな音質です。響きや余韻よりも分離感の高さを重視した印象で、細かく緻密な音の描写をお楽しみいただけるかと思います。先代のA&futura SE100に近いバランスですね。

イヤホンやヘッドホン自体の性能を邪魔せず自然に高いレベルで引き出してくれるので、イヤホンの聴き比べにも適した音質と感じました。

 

 

SE100と比較して音質面で進化したポイントは2つあると感じました。

1つ目は低音域の再生性能が大幅に向上した点です。SE100より低域のディテールがしっかりとしていて、タイトで芯のある低域へと進化いたしました。深い帯域からグッっと湧きあがるような低域が楽しめます

高域の輪郭が際立ったシャープな音質にしっかりとした土台が追加され、より隙のない音質へとクォリティアップを果たしています。音情報を高域から低域まで満遍なくすべて描き切ってしまうような性能の高さを感じます。

 

2つ目はノイズを更に徹底的に抑え込んだ結果、音の純度が増した印象を受けました。音がよりクッキリと浮かび上がってくるような感覚で、定位は精度が増しピンポイントで定位します。

高域の音の伸びも増しており、細かいニュアンスまでより鮮明に聴き分けることが出来ますよ!

 

 

AKM(AK4499EQ×1)とESS(ES9068AS×2)の音質の違いに関してご紹介します。まずはアンバランス接続で聴き比べをしてみました。

 

AKMの音はシャープで情報量が非常に詰まった密度の高い音質と感じました。音の線が細く立ち上がりと引き際が素早いので、全域に渡り音のエッジが立った明瞭度の高い音質を楽しめます。音の距離感はESSと聴き比べるとAKMの方が近く音が近くまで迫ってくるような感覚です。

 

Acoustune HS1677SSをAKM側に接続した際は音をルーペで覗いているような感覚になりました。HS1677SSの特長のスピード感のあるキレのいい音質とAKMの相性はよく、ゴリゴリとしたメタルコアやスピーディーなテクニカルデスなど非常に気持ちよく聴けました。特にドラムの表現力が素晴らしく、複雑で音数の多い洪水のようなブラストビートでも音がもたつくことが無く、一音一音しっかりと表現してくれます。

バスドラやスネアの音はエネルギッシュでドラムを叩いた瞬間の音の立ち上がりや胴鳴りなど、激しい演奏でも潰れることなくしっかりと再現してくれます。シンバルやハイハットのような金属系の楽器はリアルでスカッよく伸びます。素敵。

 

 

BAドライバーを複数搭載したいわゆる多ドラのイヤホンとの相性もいいですね。

VISION EARS EVE 20をAKM側に接続した際、ソリッドで粒立ちのいい音質という特徴を伸ばしてくれるので気持ちよく聴けました。

AKM側ははブレが少なく非常に芯の通った音質なので音がズバズバと前に出てきてくれます。かっちりとした音質が好みの方におすすめの組み合わせです。

 

 

 

一方、ESSは音が柔らかく空気感や雰囲気の表現が得意ですね。全体的な一体感やまとまり感に関してはESSの方が一枚上手な表現感じます。ボーカルの表現も艶があり自然に感じました。AKMと比べると高域が横方向に伸びるのでサウンドステージが広く、一歩引いてから全体を見つめるような印象です。

落ち着いていて聴きやすい音質なので、イヤホンやリケーブルの組み合わせによって刺さりが気になる場合にESSを試してみる、という使い方もおすすめです。

final A8000のような水のような透明感に加え、自然さを突き詰めたようなイヤホンとの組み合わせが個人的オススメです。非常に透明感があり、明瞭さと柔らかさが高いレベルで両立した素晴らしい音質です。

 

 

Acoustune HS1657CUをESS側に接続する組み合わせもおすすめです。澄み渡った音の中にHS1657CUの艷やかな余韻の広がる瑞々しい音質でアコースティック系の音源との相性は抜群ですね。

 

 

次はバランス接続を試してみます。イヤホンは、Unique Melody Macbeth TiにリケーブルはEFFECT AUDIO ErosⅡ+の2.5mm4極プラグバージョンを組み合わせて聴き比べてみました。

まずはAKM側のバランス接続はアンバランス接続と比較して、一音一音がほぐれ、さらなる分離感を楽しめる音質です。フォーカスがよりぴったりと合うので緻密さが際立ちます。

Macbeth Tiのパワフルな低域はさらにダンピングが向上し、全体的にキビキビとした音質を楽しめました。バランス接続はより音が広がりを重視した傾向に感じられます。個人的にMacbeth TiをAKM側に接続する際はバランス接続が好みです。

 

一方ESS側はさらに一歩下がって音を聴いているような印象でスケール感が増しました。音に包み込まれるような感覚です。低域は弾力感が増す一方で、量感が控えめになるので好みが分かれそうですね。Macbeth TiをESS側に接続する際はアンバランス接続の方が好みでした。

 

他のAstell&Kern製DAPとの比較

 

 

 

 

A&norma SR25と比較すると、全域にピシッとフォーカスが合っていて繊細で線の細いSE200に比べて、SR25は中低域の厚みに重きを置いたバランスと感じます。音の輪郭が丸く豊かでどっしりとした安定感のある太めなサウンドです。

SE200は最近の質のいいハイレゾ音源との相性が非常に良いですが、録音状態のあまりよくない音源は粗までストレートに表現しまいます。一方SR25は粗を上手にマスクして艶やかに再生してくれる印象です。

繊細な音質が強みのSE200とは目指している音が異なっていますね。

 

 

Astell&Kern KANN CUBEと比べると、KANN CUBEはグイグイと引っ張ってくれる余裕のある鳴らしっぷりと、パンチが強く弾力のあるダイナミックな抑揚表現が強みです。SE200は研ぎ澄まされた音の細かさとピンポイントな定位感が優れており、音の立ち上がりがよりスピーディーに感じます。

音源に対して脚色が少なくストレートな音質という点は似ていますが、より細かいディテール重視なSE200音が力強くエネルギッシュなKANN CUBEといったところでしょうか。

 

 

最後にAstell&KernのフラグシップDAPのA&ultima SP2000との比較です。

二倍近い値段のDAPとの比較ですが、ノイズの少なさや音の分離感などの音質に関しての基本性能はほぼ同等レベル。単純にサウンドの優劣を付けるのが難しいですね。

 

 

SP2000は広大なサウンドステージと高域の豊かな響きが美しい高級感あふれる音質です。アナログオーディオっぽい滑らか生々しい表現に加え、近年のハイレゾDAPらしい高い分離感をうまく両立していますね。

SE200は響きが抑えられ音がストレートに立ち上がって来るような音質(特にAKM側)。繊細ながらくっきりとした音色を目指して作られたサウンドと言った印象です。

特にピアノの音を聴いた時の傾向の差が顕著で、SP2000は音が立ち上がったあとの余韻が美しく芳醇。

一方SE200は鍵盤を叩いた瞬間に芯の通った音がズバッっと立ち上がりズバッと引いていくようなキビキビした印象です。

 

 


 

 

 

マルチDACのインパクトに加え音質面もさらなる進化を遂げており、非常に完成度の高いDAPに仕上がっていると思います。

1台で2つの回路なんてどっちも中途半端になるのでは?と思われるかもしれませんが、強力な2台のDAPが1台に合体している感じでどちらも完成度の高い音質です。高い技術を持つAstell&Kernだからこそ実現できる製品ですね。

ジャックを繋ぎ変えるだけで音質がガラリと変化するので、いろんなイヤホンや音源で聴き比べたくなりました。

 

 

 

 

開発者インタビュー動画

 

 

 

 

 

今回の記事でご紹介をしたA&futura SE200はe☆イヤホン全店で試聴機を展開しています。ぜひとも一度ご試聴いただければと思います。

 

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最後まで読んで頂いてありがとうございます。e☆イヤホンのPRスタッフかわちゃんがお送りいたしました。