メジャーデビューを飾った小岩井さんに、オーディオについてインタビューをしました。
だいせんせいです。
皆さん、『THE IDOLM@STER MILLION LIVE! M@STER SPARKLE 08』はもう聴かれましたか?
メディアミックス作品『アイドルマスター ミリオンライブ!』(以下、『ミリオンライブ!』)におけるCDシリーズ『M@STER SPARKLE』の8枚目にあたるCDで、北上麗花、島原エレナ、田中琴葉、天空橋朋花の4名によるソロ曲が収録。加えて、琴葉合流後の52人版『Brand New Theater!』も収録されているなど、大変素晴らしい一枚となっております。
中でも注目すべきは、トラック3の『Sister』。
この楽曲は、なんと天空橋朋花役の声優である小岩井ことりさんが作詞・作曲まで担当されている(!)という前代未聞の楽曲なのです。
小岩井さんは大人気声優でありながらMIDI検定一級の資格を持つなど、作曲家としても本格的な実力を持つことで知られています。
先日の『サウンド・デザイナー2018年6月号』でも、バンダイナムコアーツの佐藤純之介氏との対談が掲載されるなど、業界としても大きな注目を集めているお方。
サウンド・デザイナー6月号。小岩井さんの対談がディープ……というか、専門誌面上で全く違和感のないレベルの会話をされていて、改めてその見識に感銘を受けます。 pic.twitter.com/V21z7GukqP
— だいせんせい(e☆イヤホンPR) (@eear_daisensei) 2018年5月10日
当然、僕ことだいせんせいもプロデューサーとしてイヤホン専門店のスタッフとして、その動向を伺っていました。
そんなある日、小岩井さんのTwitterでこんなつぶやきが……。
あー!やっぱりイヤフォンとかヘッドフォンの話はいいなぁ!!!周波数の話すきー!!!!!
皆さんのオススメ見るのも楽しい!!!(*゚∀゚*)=3
いつかポタフェスとか呼んでもらえませんかねー!!わくわく!!!— 小岩井ことり (@koiwai_kotori) 2018年3月12日
これマジ?
まさか小岩井さんの方からポタフェスというワードが出てくるとは思いませんでした。
そしてあれよあれよと話が進み、なんと先日には小岩井さんがe☆イヤホン秋葉原店にご来店される運びに。
とにかくe☆イヤホンとしてこれほど嬉しいことはないという状況でした。
上記ブログの末尾にも一部予告されていましたが、
小岩井さんにはご来店の後、カスタムIEMを制作して頂きました。
カスタムIEMとは、耳の型を採取して制作するオーダーメイドのイヤホン(イン・イヤー・モニター)のこと。
従来はアーティストらがステージ上のパフォーマンス用に制作していた業務用の機器でしたが、近年は音楽リスニング用としてオーディオユーザーにも広く親しまれています。
そして、小岩井さんのカスタムIEMが無事に完成! ということで、
小岩井さんに再びe☆イヤホンにお越し頂きました。
今回は制作したカスタムIEMはもちろん、音楽リスニングに関する質問や作曲についてなど、
オーディオという側面から小岩井さんに迫るロングインタビューをお届け致します。
小岩井ことり Kotori Koiwai
声優・作詞作曲家
京都府出身、2月15日生まれ。ピアレスガーベラ所属の声優。
2011年よりTVアニメやゲームなど幅広くこなす。
作詞、作曲、DTMもしていたことから、MIDI検定1級と、さらには講師資格も取得し
声優として活躍する一方、作詞作曲家として楽曲提供なども行っている。
2018年4月「Sister」の作詞作曲で作家としてメジャーデビュー。
「Sister」が収録されたCD「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! M@STER SPARKLE 08」は
オリコンアニメアルバムランキングで1位、アルバムランキングで6位を飾る。
代表作としては「のんのんびより」宮内れんげ、「七つの大罪」エレイン、「白猫プロジェクト」フランほか多数。
本日はよろしくお願いいたします。
小岩井さんは作家、つまり『音楽を作る側の人』としても非常に注目を集めていますが、
逆に趣味として――『音楽を聴く側の人』としては、普段どれくらい音楽を聴きますか?
よろしくお願いします!
そうですねえ……。遊びに行く時に移動中に聴いたり、家でなにか作業しながら聴いたりとかが、多い気がします。
ただ、新しいCDを買ったりした時は、すごく集中して聴いたりすることもありますね(笑)。
ということは、ポータブルオーディオで聴くことも多いのでしょうか。
より突っ込んで、普段はどんな環境で音楽を聴いているかとかも、気になります。
一番多いのはスマートフォンですね。
「今聴きたい!」って時にすぐに調べて聴いたり出来るので、一番手軽で楽ですから。
あとは、こちら。AK70も使わせてもらってます。
これは使い始めたのが最近だから、まだそんなに沢山は聴けてないかなあ。
でも、やっぱりすごく音が良いので。楽しいなあって思います。
なるほど。
AK70はハイレゾ対応プレイヤーですが、ハイレゾの音楽とかも聴かれますか?
実は最近になって、ハイレゾの良さがわかりました!(笑)
ハイレゾっていうものが割と浸透してきた時に、私も「どんな感じなのかな」って気になって、スタジオで聴き比べたことがあったんですけど。
その時は、違いはわかったんです。聴いた音源が弦楽器系で、その時の音源ではチェロあたりが全然違うな、って感じたのを覚えています。
ただ、「どっちが良いか」って言われると、わからなくって。
だから「ハイレゾに全部移行しなきゃ!」っていう気持ちより、「違いがあるんだな」っていう程度の認識で、ずっとそのままだったんです。
でも最近になって、リスニングの環境を色々整えて(ハイレゾ音源を)聴いてみたりすると、解像度の違いっていうのを凄く感じたんです。
機器によって感じる印象の違いって、大きいですよね。
そうなんです!
解像度が違うと、聴き取れる楽器の音色や数、表現とかが全然変わってくるので。
自分の作曲の勉強のためにも高い解像度の音源で聴いて、より色んな表現とか、テクニックを学ぶべきだと思って、最近はなるべくハイレゾにしようと思っています。
リリースされてるものだと、CDとハイレゾ音源とで、マスタリングも全然違うと思うので。
そういう差もまた、面白さのひとつなんじゃないかなと思います。
ですよね~!
ハイレゾって、調べ始めてみると本当に奥深くて。
最初は「録りが48kHz/24bitなのに、『ハイレゾ』なの?」なんて思ってたりもしたんです。
さっそく、マニアックな着眼点ですね……(笑)。
それでレコード会社の方に聞いてみると、
「録りが48kHzでも、96kHzでミックスをし直すと、結果的に空間系(リバーブ等)の音とかが96kHzで表現できるので、やっぱり違いは出てきます」
というようなお話も聞けたりして、ああ、なるほど! と(笑)。
最近はもう、最初から96kHzで録っているところも多いみたいですし。私も出来る限りハイレゾで、良い環境で聴けたらいいな、と思っています。
『良い環境』といえば、先日小岩井さんがTwitterで『Hugo2』について熱く語られていたというのが話題になりましたね(笑)。
一部の界隈でめちゃめちゃ盛り上がっていたんですが、Hugo2も使われているんですか?
あはは(笑)。そうですね、使わせてもらっています。
それもね、最初は「違いがわかるかな?」くらいに思ってたんですけど。
実際使わせてもらうと、もう……。いやー、すごいですね。
全然違いますよね!
特にCHORDの音作りって唯一無二というか、独自の要素が強くて、余計に印象深い部分もあるかと思います。
完成! 初めてのカスタムIEM
ところで、楽曲制作時にはMDR-CD900STやSE425を使われているという小岩井さんですが、それらはリスニングの環境というよりかは、やはり『制作用の環境』という側面性が強いと思います。
そこに今回は、満を持して仲間が増えるということで。
EarSonicsのカスタムIEM『EM32』をオーダーされたんですよね。
ついに作っちゃいました……!!
作っちゃいましたね。
うれしー……!!
めっちゃかわいいですよね。
これはもう、人生初のカスタムIEMですよね?
はい! 初めてです!
今回製作されたEarSonicsはフランスのブランドで、現在、日本国内ではユニバーサルモデルのみの展開(※)となっているものです。
小岩井さんは以前にもEarSonicsのユニバーサルモデル(共通な形状のイヤホン)を使われていたとのことですが、どのような経緯でこちらのブランドの製品を使うようになったのでしょうか?
※もう少し先ですが、カスタムIEMも国内で展開を予定しているとのこと。
実は、よく行くスタジオのエンジニアさんが勧めてくれたんです。
私がモニターイヤホンをステージで使う時に一番重点を置いているのが、自分の声と、リズムを取るためのキックなんですね。
それで「EarSonicsは良いよ」っていうお話を聞いて、『ES3』というユニバーサルモデルを聴いてみたら、凄く良い感じで。
まず、女性ボーカルの抜けが凄く良いのと。
低音も結構出るんですけど、なんというか、ブーミーな感じじゃなくて。
すっきりした感じというか。
そうなんです! すっきりした低音が、がっつり出るって感じ。
これがまた、リズムを取るのに凄く良かったんです。
それではES3も、モニターとして使っていたことがあるのでしょうか?
ライブでも一度使ってみました。
結果、リズムも声もかなり聴きやすかったんです。
あとはカスタムIEMにして、より遮音性を高められたら、大きいステージでも使いやすいんじゃないかなと思いまして。
無理を承知で「ぜひカスタムIEMを作ってもらえませんか!」と、お願いしてみました。
なるほど……。
そしてついに、そのカスタムIEMが完成したということで。
小岩井さんにはすでに聴いて頂いてますが、
ズバリ、このカスタムIEMを聴いてみた感想はいかがでしたか?
いや、もう、ほんっと、期待以上で!(笑)
しっかりボーカルが抜けて、かつタイトな低音が、ガッツリ出るので。
例えば回り込みが大きかったりするような凄く広い会場や、花道やトロッコなんかで、お客さんの真ん中で歌うよ、なんていう時にも歌いやすいんじゃないかと思います!
モニターイヤホンとしての性能はバッチリ、って感じですね。
リスニング的な観点ではいかがでしょうか?
もちろん、好みもあると思うんですけど。
さすが、元ミュージシャンでサウンドエンジニアでもある人が作っているだけあって、クセも少なくて、どんなジャンルでもいけるんじゃないかな、と思いました。
オールラウンダーな感じですね。
解像度が凄く高くて、プロ向けっぽいサウンドではあるかなあ、とは思うんですけど。
でもその、プロの音をね。普段で使うっていうのもめっちゃシブくてカッコいいですね(笑)。
そうですよね(笑)
今回、カスタムIEMを作られたのは初めてということでしたが、体験としてはいかがでしたか?
作った時は、あの、耳に入れるやつが面白かったです(笑)。
出来上がってみた感想は、思ってた感じと全然違いました!
最初は、普通のイヤホンと同じで耳の穴がピッタリくるのかな? くらいのイメージだったんですけど。
いざ完成したものを耳にはめてみると、もう、全部がふさがって。
この、耳介の部分全体が。
はい。
全体が吸盤になっているような、ピタって吸い付くような、不思議な感覚なんですよ。
首を振ったりしても絶対外れないですし、外す時も、こう……お味噌汁のフタを外す時みたいな(笑)。
上手い例えですね。カポッとひねって外すような感じで(笑)。
無理やり力を込めても別に外れるわけじゃないので、激しいパフォーマンスにも向いていますし。
カスタムIEMって凄いなあ、って思いました。安心感が違いますね。
ユニバーサルモデル『ES3』との比較
以前使っていたユニバーサルモデルのES3との比較としては、いかがでしょうか?
えーと……。
実はまだ、届いたばかりというのもあって、しっかりと聴き比べるところまでは出来ていなくて。
なるほど。
実は今回、そんなご多忙な小岩井さんのために『A&Ultima SP1000 Copper』というDAP(デジタル音楽プレイヤー)を用意しました。
よろしければ、このインタビュー中に聴いてみてください!
わ! ありがとうございます!
それじゃあ、ぜひ……!
試聴音源としては『THE IDOLM@STER MILLION LIVE! M@STER SPARKLE 08』を始めとして、
小岩井さんの歌唱が収録されているアルバムを一通りハイレゾで入れておきました。
さすが! さすがプロデューサー!(笑)
では、お言葉に甘えて……。
……おぉ。
やっぱり、明確なチューニングの違いを感じますね。なるほどー……。
ありがとうございます。
どちらも捨てがたい魅力があると思いますが、いかがでしょうか?
ES3はすごくハッキリとした音で、やっぱり女性ボーカルの抜けが良くて。
多分、聴いてて楽しい音ですよね。外で聴くのにも向いてると思います。
音の輪郭が明瞭ですよね。ちょっと生真面目な感じというか(笑)。
そうなんです! ほんとにほんとに、そんな感じです!
なんていったらいいんだろう、やっぱり「抜けてくる」という表現が一番伝わりやすいのかなあ。
あと、すごく華やかですよね。
あんまりこもっている感じも無いですよね。
ですねー! クリアな感じ!
スマートフォンとかで音楽を聴く人にも良いと思いますし。
手軽にクオリティ高く、華やかな音楽を楽しんでもらえますよね。めっちゃ良い。
あと、女性ボーカルの曲を聴きたい人にとっても、すごく良いんじゃないかなあ。……もちろん、それだけではないんですけど!(笑)
意外と傾向的にも、最近のアニメソングとか、女性ボーカルのポップスとかも楽しんで聴けそうな部分もありますよね。
それでいて、モニターとして使える性能もあるのかな、と思います。
そうですね! モニターとして、聴きたいところがしっかり出てきてくれるので。
つまり、外で聴くのに良い、っていうのに近いことですよね。
そして、次にEM32の方。
こちらは、ES3よりもフラットめ……と、言ったらいいんですかね。色付けが少なめだと思うんです。
でも、だからこそ。色付けは少ないけども、解像度がすごく高いので。全部の音が細かく聴き取れるんです。
今、私が書かせて頂いた『Sister』を聴いていたんですけど。
この曲、中低音……って言ったら良いのかな。その辺りで、色々な楽器が複雑に絡み合っているので。
そこで解像度が低いと、聴き取るのが難しいんですね。
でも、このEM32で聴くと、なかなか他のイヤホンじゃ聴き取れないところまで聴き取れて。
細やかな表現、本当にこまかーい音とか、演奏のダイナミクスとかまで、ですね。
すっごく良く聴き取れるんで、プロの方にとっても良いと思います。
分解能力というか。
聴き取るための性能、がすごく高いってことですよね。
EarSonicsさんらしい低音のタイトさとボリューム感、声の聴き取りやすさ。
華やかさっていうのも失われていませんし、そういう音のニュアンスもありつつのモデルなので、EarSonicsさんが好きな人にとっては嬉しいポイントだと思います。
こうして改めて聴き比べてみると、(ユニバーサルとカスタムで)それぞれ特徴があるのがわかりました。
プロの方のような、解像度の高いモデルが必要な方はカスタムIEMが良いですし。
逆にユニバーサルの方だと、お値段的にも普段使いにすごく向いていたりとか。音が好きな人達にもおすすめ出来ますよね。
それと、日本で持ってる方もまだそんなに多くないと思うので。
そういう“通”っぽいところも、なんだか嬉しいですよね(笑)。
それはあるかもしれません!
ちょっと玄人好みっぽい機種ですからね(笑)。
あと、この2機種は性能の差こそあれど、本当に単純な優劣ではないですよね。
そうですね!
どちらにも良さがあって、目的に応じた使い分けとか、趣味とか、好みとか。
どんなふうに聴きたい、という気分にもよるんだと思います。
小岩井ことりさんと作曲について
ではこの辺りで、楽曲制作のお話とかも聴いていけたらと思います。
改めましてご紹介させて頂きますと、小岩井さんは先日発売された『THE IDOLM@STER MILLION LIVE! M@STER SPARKLE 08』に収録されている『Sister』を作詞・作曲され、ついに作曲家としてのメジャーデビューを飾りました。
はい、ありがとうございます!
楽曲制作に興味を持たれたのって、いつ頃だったんですか?
興味でいうと、小さい頃からパソコンが好きで。
家にあるキーボードとかをパソコンと繋いで、Audacity(フリーのオーディオ編集ソフト)とかで録音してバウンスしていくような感じで、無理やり曲を作る、みたいなことをやっていました(笑)。
ただ、ちゃんと本当にCubaseとか、プロの方が使うようなDAWを買ったのは、声優としてデビューしたのと同じくらいの時期ですね。2011年とか、それくらい。
声優の活動をされつつ、楽曲制作も練習されていたと。
それは、当時はあくまで趣味のラインだったのでしょうか?
そういった環境を揃えた一番の目的は、声優の訓練をしたかったからなんです。
声優になりたての頃は、どうやって勉強したらいいか自分じゃわからなくて。
それでまず、業界標準のマイクであったりとか、スタジオにあるようなものを揃えていきました。
自分の声を周波数とか波形的にも見たりして、細かく研究して、練習して……。という感じで繰り返しを始めたのが、きっかけでした。
すごいですね……(笑)。
そういうアプローチで声優さんの訓練をされる方って、なかなかいないんじゃないですか?
どう、なんでしょう……。
確かにあんまり、他の人から同じようなことは聞かないかもしれません(笑)。
なので、作曲は趣味というか、遊びというか。元々はそういったところはありましたね。
小岩井ことりさんと『Sister』について
そんな努力が実って、今回『Sister』という楽曲が出来たのだと思います。
この『Sister』を作詞・作曲するにあたっての経緯というのは、どういうものだったのでしょうか。
私は、『アイドルマスターミリオンライブ!』という作品で天空橋朋花(以下、朋花)というアイドルを演じさせてもらっています。
その作品の中で、『M@STER SPARKLE』というCDのシリーズがスタートしました。
このシリーズでは、『ミリオンライブ!』に登場するアイドルたちがソロの新曲を出していくっていう構成なんですけど。
「そろそろ朋花の番が来ますよ」っていうお話を頂いた時に、「自分で作ってみたいです。デモを作ってくるので、コンペとしてということで構わないので聴いてもらえませんか?」っていうのを、お願いしたんです。
まず、その意気が物凄いですね。
そして、作ったデモ音源をプロデューサーさんに聴いてもらって。ありがたいことに、「これで行きましょう」という流れで進めて頂けました。
しかも、通っちゃったんだ……!!
この『Sister』は、どのようなイメージで作られた楽曲なのでしょうか?
作詞・作曲を両方担当させて頂いたんですけど、
歌詞では、少女らしさ、朋花らしさという内面を描いてます。
そして楽曲としては、朋花に合うかな、と思ったのと、自分の中での裏テーマもあってラテン調のイメージを取り入れてみました。
音作りとしてのこだわりというようなものはありましたか?
朋花の既存のソロ曲としては、『Maria Trap』『鳥籠スクリプチュア』という2曲があります。
それに続く3曲目として作らせて頂くからには、やっぱりその2つの流れはくみたいな、という思いがありました。
ちょっとブラックな、重厚感のある感じというか。ロックな要素もあるような、かっこいい曲が続いていたので。
そういう流れに沿うようなかっこよさもありつつ、新しい要素も入れていきたいですから。
ちょっと情熱的な、ラテン的な要素を取り入れつつ、朋花らしさを表現する。
既存曲の流れをくむことと、新しいことに挑戦という両方をやりたいと思って作りました。
ありがとうございます。
今回の曲は、先程も少しおっしゃってましたが、作詞も小岩井さんがされているということで。
作詞の経験っていうのは、今までは……?
実は小岩井ことりとして作詞・作曲したのは、今回が初めてじゃないんです。
原嶋あかりちゃんっていう『ミリオンライブ!』で一緒の声優さんがいるんですけど、彼女が参加している『chocoNekoβ』っていうユニットさんに曲を提供させてもらえる機会があって。
その時に書いた『inner wave』という曲で、作詞・作曲を担当させて頂いたことがありました。
それ以前からも、時々、ちょこちょこというか。いろいろ作ってはいましたね。
では、作詞という観点としても、今まで培ってきたようなルーツを辿って、今に至るというような感じなんでしょうか。
そうですね!
元々、『何か』を作ることで気持ちが安定しているタイプなんだと思うんです。
演技もそうですけど、何かを表現したり作ったりすることで、自分があるような。
今回の作詞に関しても、自然と「朋花ならこうかな、ああかな」って考えているうちに出来てきた感じです。
天空橋朋花と『Sister』について
個人的に気になっていたことなんですけど、今回の楽曲は作家として「作詞・作曲しました」という風に出したわけですよね。
ただ、その次は声優さんとしてその楽曲に触れるわけですから。
今度は普段同様にというか、頂いた楽曲を受け止めるような形で『Sister』に臨む必要があったんじゃないかと思うんです。
はい。まさにその通りです。
それは、作家としての小岩井さんとは、全く別の視線になるのではないでしょうか。
そういった感覚の違いについては、いかがでしたか?
そういう意味では、実はちょっと意図して作ったポイントがあります。
例えば朋花が、私と同じようにその曲をもらって、レコーディングします、ってなったとして。
いざ歌った時に、「妙な気持ちになるんです」って言ってくれたらいいな、と思って作ったんですよ。
『妙な気持ち』ですか。
はい。
要素としては、『恋』とか。
恋って、アイドルにとって、すごく危ういものじゃないですか。
良いも悪いも無いんですけど、危ういものだと思うんです。
人への恋とも限らないし、もしかしたら職業への恋だったり、いろんな恋があると思うんですけど。
そういう、何かに夢中になっちゃうことっていうのは、自分が今までの自分ではなくなってしまうことでもあるかもしれないという、怖さもあるように感じるんです。
だから朋花には、「妙な気持ちになるんです」っていう戸惑いを見せてくれたら、なんて思ったりして。
以前の『Maria Trap』『鳥籠』のレコーディングの時にも、葛藤のようなテーマを感じたので。
この『Sister』でも、天空橋朋花としてそこに立って、葛藤していけたらいいな、っていうふうに思って作りました。
では、やはり作曲する感覚としては、『朋花に歌ってもらう曲』という感じなんですね。
もちろん、そうです!
だからレコーディングの時には、自分で作ったっていうことは一旦忘れて。
あくまで天空橋朋花として、曲を頂いたと。プロデューサーさんが選んでくれた曲として、歌って、表現してます。
面白いですねえ……!
ねー!
なかなか、珍しいですよね、こういう経験。
本当は、自分で作ってるんですけど(笑)。
きっと無いんでしょうね、前例としても……。
ところで、そんな『Sister』は現在、ハイレゾでも配信されています。
作曲者目線なのか、歌い手目線なのかは問わず、ハイレゾとしての聴きどころみたいなものを伺ってもよろしいですか?
ハイレゾの音源だからこそ聴き取れる、聴き取りやすい音というのが、結構あるかなあと思います。
楽曲全体として、近い周波数帯で複雑に絡み合うような表現がたくさんあって。
それが葛藤を表現していると思うんですけど、解像度が高いことによって、そういった表現がより聴き取りやすくなっていると思います。
なので、ぜひハイレゾの音源で聴いてもらって。解像度の高いイヤホンとかプレイヤーを使ってもらったら、新しい発見があるかもしれません!
小岩井ことりさんのこれからについて
そして今回、このように素晴らしいメジャーデビューを飾ったということで、
今後は作家としての活動もたくさん続いていくのではないか、と思うんですけども。
がんばります!
そんな小岩井さんとして、今後挑戦してみたいことはありますか?
そうですねえ……。
なんか、こんなに「作家としてメジャーデビュー!」というように注目して頂いて、恐縮なんですけど。
私、まだアーティストデビューしてないんですよ!
あ! そうか。そうなるんですね。
それはそれで、『アーティストデビューしてないのに、作詞作曲のほうで先にメジャーデビューさせてもらえた声優』という、なかなかレアなパターンで(笑)。
それもありがたくって、面白い道を進ませてもらってるなあ、とは思うんですけど。
もちろん、声優としても今までに挑戦したことがないような役柄も演じさせてもらえたらなと思っています。
アーティストデビューもね、出来たら嬉しいですね。
作家としての展望は、何かありますか?
やっぱり、色んなジャンルを作ってみたいですね。
『アニソン』が好きなので。アニメソングって、幅が広いじゃないですか。
色んなジャンルがあって、色んなキャラクターに合わせた曲があって。
『その作品が好きなファンに刺さるものを作るというところが、アニソンとポップスとの違いだ』って、先日とあるプロデューサーさんにお伺いして、すごく感動したんですよ。
アニソンは、作品という明確なバックグラウンドがありますもんね。
なので私もそうやって、ファンの方々に刺さるものを作れたらいいな、と思います。
なるほど。ありがとうございます。
そして、近々の『今後』というと、『THE IDOLM@STER
MILLION LIVE! 5thLIVE BRAND NEW PERFORM@NCE!!!』(以下、5thライブ)がありますよね。
ぜひ、そちらについての意気込みも頂ければと思います。
いやあ、もう、凄いですよね。さいたまスーパーアリーナですよ。
「こんな言葉を私が言うことになるとは」という感じなんですけど、『ミリオンライブ!』で5年やってきて、皆のチームワークとか、絆みたいなものをすごく感じるメンバーなんですね。
もちろん皆さんも、プロデューサーさんですから。応援することで、ステージをプロデュースしてくださって。
そうやって皆でひとつのステージを作っていけるというのが、アイドルマスターシリーズの凄いところだと思います。
それに向けて、私も精進しますし。プロデューサーさんも、手足を鍛えて頂いて(笑)。
みんなで一緒に、素敵な5thライブを作りましょう!
素敵なコメント、ありがとうございます!
ところで、ひょっとしたらこのカスタムIEMも、ライブデビューになるんじゃないですか?
そうですね! さっそく、EarSonicsのカスタムIEM『EM32』を使わせて頂く予定です。
初ステージがさいたまスーパーアリーナって、この子、すごいですよね。大物ですね(笑)。
素晴らしい晴れ舞台ですね(笑)。
ぜひ耳もとにも注目を、という感じで。
はい、ぜひぜひ!
私が描いた、羽と『K』のマークも入っておりますので。
これ、凄くきれいに入っていますよね。
ね! 嬉しいですよね!
左右の耳で、羽が外側に出るように入れてもらって。
あとは『Koiwai Kotori』なので、2つの『K』になってるんです。
あッ! なるほど。めっちゃ素敵ですね……!
こちらのEarSonics『EM32』ちゃんのデビューも、楽しみにして頂けたらと思います!
それでは最後に、この記事をご覧の方へ向けてメッセージをお願いします。
私も、前編のインタビューの方でe☆イヤホンさんのお店にお伺いして。
いろいろ試聴させてもらって、すんごい楽しかったんです。
もう、ずっと居られちゃうなあ、っていうくらい(笑)。
普段私がTwitterで言っている機種とかも、試聴出来たりするコーナーがいっぱいあります。
もちろん、今日ご紹介したEarSonicsのイヤホンなんかも展示してあって。
ぜひ、皆さんもいっぱい通って頂いて、試聴して、お気に入りの子を見つけて。そして、連れて帰ってあげてください!(笑)
これからも一緒にオーディオを楽しみましょう!
小岩井さん、ありがとうございました。
小岩井さんが作詞・作曲された『Sister』も収録されている、
『THE IDOLM@STER MILLION LIVE! M@STER SPARKLE 08』は、4月4日より好評発売中です!
リリース情報
THE IDOLM@STER MILLION LIVE! M@STER SPARKLE 08
2018.4.4 Release
LACA-15678 / ¥2,000+税
リリース詳細:https://www.lantis.jp/imas/release_LACA-15678.html
小岩井さんが記事中でご試聴されていたハイレゾ音源も配信中です!
他、各ハイレゾ配信サイトにて好評発売中
また、今回のインタビューを記念して読者プレゼントを頂きました!
こちらの小岩井ことりさんのサイン入りES3を、抽選で1名様にプレゼント!
応募方法は以下の通りとなっております。
応募方法
をフォローの上、以下のツイートをリツイート!
【インタビュー記事公開記念】
小岩井ことりさんのサイン入り『EarSonics ES3』が当たる! RTプレゼント企画の詳細は記事にて!初のカスタムIEM完成! 小岩井ことりさんにインタビュー! – https://t.co/G5gDUA7Yfj
キャンペーン締切:6/10#小岩井ことり #EarSonics #imas_ml_5th pic.twitter.com/K8E3dLVNk8
— だいせんせい(e☆イヤホンPR) (@eear_daisensei) 2018年6月1日
抽選で当選された1名様に、DMにて当選通知をさせていただきます。
※プレゼントの発送先は国内に限らせていただきます。
※第三者へ賞品を転売または譲渡する行為は、理由・目的を問わず一切禁止致します。
募集締切:2018年6月10日
当選発表/発送:2018年7月予定
沢山のご応募、お待ちしております!
お相手はだいせんせいことクドウでした。それではまた次回。
e☆イヤホン秋葉原店でコラボコーナー展開!
e☆イヤホン秋葉原店にて、ブログで紹介しましたイヤホン・ヘッドホンを体験できるコラボコーナーを展開致します!
【期間】
6月2日(土)~6月8日(金)まで
是非この機会に体験してみてくださいね!
【取材協力(順不同)】
S’NEXT株式会社
株式会社ヤマハミュージックジャパン
株式会社ピアレスガーベラ
※記事中の商品価格・情報は掲載当時の物です。