大先生です。
皆さん、お使いのプレイヤーとイヤホンの価格はどれくらいですか?
というのも、お店で働いていた頃、こういったお問合わせが結構沢山ありました。
『大したプレイヤーを使っていないのに、高いイヤホンを買ってもなあ……』
『大したイヤホンを使っていないのに、高いプレイヤーを買ってもなあ……』
そうなのです。
人はいつでもバランスを求めがち。
高いイヤホンを使うなら高いプレイヤーもあったほうが実力を引き出せる気がするし、逆もまた然り。
確かに、なんとなくそんな気がしちゃうのは解ります。
でも、本当にそんなに気にする必要があるのでしょうか?
良いプレイヤーに良いイヤホンを繋げば、良い音が鳴る。
それは当然。自明の理です。
しかし、『そうしなければならない』という必要性はどこにも無いのです。
例えばカスタムIEMなどでも、スマートフォンで充分に音量が取れる機種も少なくありません(アンプの質とかはともかく)。
逆に、ハイエンドプレイヤーに低価格のイヤホンを挿しても、それぞれのアプローチで性能を引き出してくれることでしょう。
というわけで今回は、そんな『しなければならない』という感情を打破すべく、今回はこんな企画を考えてみました。
はいドン!!
こ、これだー!
45万円以上の価格差がある、これらの2機種。
なんでこんなことしようと考えたんだろうという思いが脳裏をよぎったりしなくもありませんでしたが、ただでさえ上質なスペックを感じさせるA1000のサウンドを、SP1000なら更にブチ上げてくれるのではないか? という期待もあります。
というわけで、まずは普通にiPhone7PlusでA1000を聴いてみます。
再生アプリにはNePlayerを、試聴音源として『ようこそジャパリパークへ』の48kHz/24bit音源を使用しました。
普通にいいな……。
低域の迫力も充分にあるし、ボーカルもなかなか綺麗。ドラムやパーカッションもキレがあります。
金属音周りなどの高音域はやや控えめですが、『なんかもう、これで充分なのでは?』と感じさせること請け合いのしっかり系サウンド。
では、SP1000Copperに切り替えて再生してみます。
おおッ……!?
なるほど、これは聴き比べてみると確かに違います。
一番最初にわかるのが、金属音の質感と存在感。
iPhone7で聴いた時はかなり控えめだったハイハットやシンバルの音が、SP1000だと非常にまとまりがあり、しっかりと主張してくるのがわかります。
イヤホン自体の音の傾向も手伝ってか刺さることはありませんが、なかなか印象が変わりますね。
続いて、声の立体感。そしてセパレートがなされていると感じました。
iPhoneではやや混ざって聴こえたボーカルがある程度の分離感を伴っており、後述の音場の広さも手伝って、より『大人数で歌っている感じ』が出ています。
そしてなんといっても、A1000のキモである低音域。
量感良く、キレ良く、低音好きも納得の充分なものですが、これもまたSP1000で聴くことによって、一段階レベルが上がっている印象。
響かせ方が巧くなっているのか、低音域自体の量感の多さももちろん、音場が広がっているように感じます。
特に顕著なのがCメロの、ハンドクラップとリズムが強調されている部分。よりリアルな鳴りで、臨場感がプラスされていました。
というわけで、とりあえず結論としては……。
安いイヤホンでも、高いDAPに繋ぐとより良い音になる。
1,060円のイヤホンの実力すら底上げしてしまうSP1000が凄いのか、
1,060円なのにプレイヤーの違いをちゃんと表現出来るA1000が凄いのか。
それはわかりませんが、ともあれ違いは感じられました。
詳しい方からすると『当たり前だろ』と言われてしまうかもしれませんが、
つまり、価格帯が釣り合っていない組み合わせでも充分に意義はあるということです。
(というか、A1000はそもそも良い音なんですけども……。)
もっとも、1,060円のイヤホンの音をより良くするために45万円のプレイヤーを買うというのはかなり極端な話ではありますが、とにかく効果はあるということです!
今回は『価格』というポイントにフォーカスを当てて製品を選んだので、最適と言える組み合わせでは無かったかもしれませんが、ぜひ皆様も『価格』ではなく『音』で納得の行く組み合わせを構築して頂いて、楽しいポータブルオーディオライフをお送り頂ければと思います。
お相手は大先生ことクドウでした。それではまた次回。
※記事中の商品価格・情報は掲載当時の物です。