大先生です。
皆さん、カスタムIEMってお持ちですか?
インプレッション(耳型)を採取して製作する、オーダーメイドのイヤホン。そのフィッティングは至上の物で、ユニバーサルのイヤホンとは一線を画する装着感が味わえる……。
と、聞いています。
何しろ私大先生、今までカスタムIEMをオーダーしたことが無いのです。
『いや、それが普通では?』という意見もあるでしょうし、むしろその価値観が至極真っ当、常識的だとは思うのですが。何しろ僕が働いているのはe☆イヤホン。右を見ても左を見ても、狂ったように高級な機種を持ち歩いているスタッフがうじゃうじゃ歩いています。そしてそれは、ことカスタムIEMにおいても例外ではありません。
右を見てもカスタムIEM。
左を見てもカスタムIEM。
『僕はユニバーサルイヤホン(普通のイヤホン)を極めようと思っているんだ』と虚勢を張っていた大先生も、いい加減限界です。というか、後から入ってきたスタッフもポンポンとカスタムIEMをオーダーしている始末。金銭感覚がバグるの早すぎだろ。
そんなこんなで迎えた4月26日。
いよいよ年度も跨ぎ、本格的に2017年が始まりました。ゴールデンウィークも近づくこのタイミング、僕は何かを忘れていやしないか……?
そう思った僕は、e☆イヤホンスタッフのTwitterをサルベージしてみました。
【秋葉原店】
本日もオープンいたしました!店頭の試聴用ケーブルも増えております♪https://t.co/HhVGd1s8L3 pic.twitter.com/AmY8ber492— ひろ きん@eイヤホン秋葉原店 (@eear_hiro) 2016年4月23日
こ、これはー!!
2016年4月23日のツイート。
入社してすぐの僕が写っています。全然変わってねえ。
つまりこれは、大先生がe☆イヤホンで働き始めて1年が経過したということ。
じゃあ、記念に……。
カスタムIEMを作ってもいいのでは!?
というわけで、やってきたのはe☆イヤホン カスタムIEM専門店。
通称『カスタム店』です。
我らが秋葉原店の1Fにあるお店で、初めて来たお客様(昔の僕とか)を怯ませるほどの謎の凄みを感じる店構え。
実際のところは全然堅苦しい要素も無く、むしろ3万円台からオーダーすることも出来ちゃうので、初めての高級イヤホンとしてお気軽にご来店頂ければと思います。
その際、『僕、スマホで音楽聴いてるような素人だから……。カスタムなんて恐れ多くて……』というふうにお考えの方もたまにいらっしゃいますが、
大丈夫です。
むしろ僕ら、スマホでもガンガン音楽聴いてるので。
やっぱりスマートに越したことはないですからね。最近のスマホは音も良いですし。
なんなら、めちゃめちゃ高価格帯なモデルも聴くだけタダなので、ぜひ積極的にご来店下さい。カスタムIEM店のスタッフも喜びます。
さて、前置きはこれくらいにして、早速お店の中に入ってみましょう。
ズラッと並ぶカスタムIEMの試聴機達。専門店の名は伊達じゃありません。カスタムIEMはユニバーサルイヤホンとはまた違ったラインナップなので、結構迷います。どれがいいかなあ……。
このように、気になった機種はショーケースから出して、自由に試聴することが出来ます。試聴機は普通のイヤホンと同じユニバーサル仕様なので、誰でも簡単に装着出来ます。
というか、この段階で既に遮音性が高いです。すげーなカスタムIEM……。
そんなわけで、選び悩むこと数刻。大先生が選んだ機種とは……!?
はいドン!!
Ultimate Ears
UE Pro
Reference Remastered
UE Pro RR。
業務用IEMの始祖・Ultimate Earsが、ハリウッドの伝説的レコーディングスタジオ・Capitol Studioのエンジニアとのコラボで創り出した、まさにプロユース中のプロユース。業務用IEMの極みともいえるモデルです。
そのサウンドは完全なるフラット。楽曲上に存在するあらゆる音を描き切る描写力、それを隅々まで見渡せる解像度の高さ。例えるなら限界まで澄み切っためちゃくちゃ美味い水であり、これが嗜好品ではなくプロの道具であるということは、一聴した瞬間に理解して頂けるのではないかと思います。
今回はそんなUE Pro RRをセレクトしてみました。
やっぱり元祖カスタムIEMメーカーといえばUltimate Earsということで『初めに作るカスタムはUEが良いなあ』という思いと、数多くのイヤホンを試聴し、レビューし、販売する身として、紛れもないリファレンスとなる機種を一本持っておきたかった、というのが理由です。もちろん、純粋に上記の理由からサウンドに感銘を受けたのもあります。
というわけで作るモデルを決めたら、インプレッション(耳型)を取るために地下1Fに行きましょう。
『リスニングラボ』の名前でおなじみ、秋葉原補聴器さんがあります。
よろしくお願いしまーす。
カウンターで同意書に記入をして、早速インプレッション採取スタート!
……と思ったら、早速悩み始めた大先生。
この期に及んで今更怖気づいたのか……というわけではなく、僕の目線の先にあるのはコチラでした。
これはー!?
何を隠そう、これはインプレッションの採取方法一覧。
一口にインプレッションと言っても、採取のやり方次第でその形は様々。遮音性や装着感など、その完成する形に大きく関わってきます。
大先生は悩んだような顔をしつつも、初めてのカスタム作りでよくわかってなかったので、カスタム店スタッフがよく選ぶという……、
『須山式』にしてみました。
採取方法を選んだあとは、耳をチェックしてもらって……
いざ、インプレッション採取へ!
耳の穴がびっちりインプレッション材で満たされること、約10分。
完成したインプレッション材を持ってカスタムIEM店へと戻ります。
インプレッションを無事取り終えたところで、いよいよオーダーです!
メーカー専用のオーダー用紙に記入をしていきます。
ここでケースやカスタムIEM本体に入れられる名前を決めることが出来ます。ニックネームなどにする方もいますが、僕は1台目ということで素直に自分の名前にしました。
最後にオーダー用の同意書に署名をしたら提出です。
お願いしまーす!
今回はUE Pro RRなので、オプションの選択は無し。
というのも、実はこの機種のR側に入っている『Capitol Studio』というロゴは、フェイスプレートを標準のホワイトのままにしておかないと入れてもらえないのです。
せっかくのコラボモデルなので、このロゴだけは外せない……!
というわけで、デフォルトそのままのデザインにしました。もし次があったら、その時はオプションを入れまくろうかな。
そしてお会計をして、オーダーは終了となります。
あとは完成するのを待つのみ!
~2週間後~
てろりってろりっ(着信音)
てろりってろりっ(着信音)
カスタム店から内線だ……。
ピッ
どうも、僕です。
←じょーだん
誰だよ。
どしたの?
大先生のUE Pro RR届いたよ。
…………。
早すぎでは?
急にリアルな顔になるのよせ
早速カスタムIEM店に取りに行ってみると……。
こ、これはー!!
インプレッションを発送してから、およそ2週間。
まさかの到着です。UEさんすっごーい!!
このように、オーダーするタイミングによって混みあってなければ、スムーズに作ってもらえるケースもあるみたいですね。これはなんとも嬉しい誤算……。
というわけで、早速開封してみます!
フィッティングもバッチリでした!
これは……これは良いぞ!!
ッッハァァァア!!
何より音がフラットで高解像度、と言ってしまえばそれだけなのですが、そんなシンプルな要素も突き詰めればここまで来るのか、という完成度です。
どの帯域の音も贔屓すること無く描き切り、特定の音が主張しすぎたり、逆に埋もれていたりと、そういった僅かな『アンバランスさ』が微塵も感じられません。刺さるような音も無く、非常に聴き疲れしにくいサウンドで、永遠に聴き続けていられそうな感覚になります。
そして、僕が一番驚いたのが解像度で、その高さはもちろんのこと、『聴き取りやすさ』が圧倒的に長けています。もはや注意して聴きに行かずとも、自然と耳、そして意識に入ってくる情報量の多さ。普段、レビューやご案内のために多くの製品を聴いていて、そういった試聴用のリファレンス曲も何曲か用意しているのですが、そんなリファレンス曲ですら気付いていなかった音があったことに気付かせてくれました。『Pro Reference』の名を冠するに相応しいサウンドです。
初カスタムということで、装着感にも触れたいと思います。
僕は左右の耳の穴の大きさの差が大きく、通常のイヤーピースで言えば左側がSサイズ、右側がMサイズになることが多いです。場合によっては片方だけSもMも合わない、なんてこともあり、フィッティングには大変苦労していました。別売りのイヤーピースを買う時なども同様で、1ペアだけを購入することが実質的に不可能だったのです。
しかし、インプレッションを元にした完璧な造形は、そんな悩みを笑い飛ばすかのように、寸分の狂いも無い精度で僕の耳にフィットしました。自分の耳の形が左右同じであるかのような錯覚さえ覚えます。
イヤホンを装着するたびに感じていた違和感やストレスが、そこには全くありませんでした。左右の耳の穴のサイズが違う方こそ、カスタムIEMの感動は大きいのではないかと思います。
同じような悩みを抱えている方はぜひ一度カスタムIEMをご検討して頂ければ、きっとそこには至福のひとときが待っていますよ!
以上、大先生の初カスタムIEMオーダー記でした!
結構細かく書いてみたつもりなので、少しでもカスタムIEMをオーダーする時の雰囲気を感じ取って頂けたなら幸いです。
やはり自分だけのイヤホンというのはフィット感が素晴らしく、何より愛着が湧くものです。
まだカスタムIEMを作ったことが無い方もぜひ、一度カスタムIEM専門店、並びにe☆イヤホン各店のカスタムIEMコーナーを覗いてみて下さいね!
お相手は大先生ことクドウでした! それではまた次回。
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