皆さんおはこんばんちは。
e☆イヤホンのりょう太です!
待ちかねていた方も多いはず…radiusのW(ドブルベ)シリーズに4年振りとなる新作、しかも二機種同時にリリースとなりました。
〜これまでのドブルベ〜
ドブルベは2010年1月に発売されたHP-TWF11で始まった”二枚の振動板“を使ったイヤホンのシリーズ。振動板が二枚故にW(ドブルベ)。
この通称一号機ことドブルベが大ヒットとなり、翌2011年の3月には二号機のHP-TWF21″W n°2(ドブルベ ヌメロドゥ)”が発売。一号機よりもイヤホンのハウジング内に空間を持たせることで音の響きを追求し、進化したドブルベサウンドを見せつけました。
一号機、二号機いずれも高く評価され、今も継続して販売されています。
・・・あれから4年。
ドブルベファン待望、個人的にも「4年振りだな…」と思わせぶりなセリフを吐きながら、変わらないデザインイメージとネーミングセンスを目にして、更に「フッ…相変わらずだな…」と言ってしまいたい…パッと見でもそれぐらいの安心感がある製品が登場しました。
<新機種のポイント>
・新型どちらにも搭載された”ピエゾ振動板”!
・ドブルベ初のハイレゾ対応!
・待望のケーブル着脱式!
▼ドブルベ三号機
ドブルベの三号機”ヌメロトロワ”は二号機の上位に当たるモデル。カラーはブラック。
トロワとはフランス語で3を意味します。
輝くハイレゾオーディオロゴは40,000Hzまでの再生が可能な証。高音質を約束するマークではもちろんありませんが、ハイレゾ対応プレイヤーや同社のスマホ用アプリ「NePLAYER」との相性抜群であることは言うまでもないでしょう。
今回の新モデル、最大の特徴は図のAの部分、セラミックピエゾ高周波振動板です。
名前の通り、ドブルベヌメロトロワの二枚の振動板のうち高音部分を司る振動板です。
聞きなれない名前ですが、radiusさんによるとこの構造の物をイヤホンに搭載するのは非常に珍しいことなのだとか。
ピエゾとは圧電素子のこと。振動板の仕組みとしては、微弱な信号に対してもしっかりと駆動するのがポイント。
これにより、既存の下位モデルよりも高音域の描写がリアルになったそうです。
このピエゾ振動板自体はトロワ、キャトルどちらにも搭載されています。
ちなみにこのピエゾ振動板、ハウジング内部ではより鼓膜に近い位置にあり、奥側に中低域用のφ13mm振動板があります。奥側の振動板が再生した音は、ピエゾ振動板に見える複数の穴を通り抜けていきます。このように同軸上にすることで中低域と高域の音の繋がりがスムーズで臨場感のあるサウンドにまとまっています。
▼ドブルベ四号機
ドブルベの四号機”ヌメロキャトル”は現状の最上位に当たるモデル。
カラーはバーガンディ。ドブルベシリーズ伝統の「ブルゴーニュ地方の赤ワインの色」です。シリーズのファンにはお馴染みの色ですね。
キャトルとはフランス語で4を意味します。
実は外観的にはトロワと色以外変わりがなく、最初見た時は「新型一機種を二色発売する」と勘違いしてしまいました。
しかしその実、型番も名称も違う別モデル。ドブルベのトップに君臨するハイエンドモデルなのです。
もちろんトロワと同じくハイレゾ対応。両モデルが対応していることで、ロゴの有無が選定の理由にならず(気にしない方には関係ありませんが)、純粋に音質のみで検討できるのが嬉しいところ。
キャトルはトロワに対し、ドライバーの配置やピエゾ振動板の採用など基本構造はほぼ同じですが、中低域用の振動板にベリリウムのコーティングが施されています。
ベリリウムは工業利用も盛んな高硬度な物質。
中低域のドライバーをベリリウムコーティングすることで、実質ツイーターを必要としないくらいの高周波再生帯域を獲得し、かつ低音域も歯切れの良い音になっています。
もちろんそれに加えてピエゾ振動板の恩恵もあってワイドレンジさと音の厚みの両方を獲得することに成功しています。
▼ドブルベとしてはもちろん同社のイヤホンとしても初のMMCX着脱式ケーブル
今回のヌメロトロワ/ヌメロキャトルは、シリーズ初のケーブル着脱式を採用。
思えば前回のヌメロドゥが4年前ですから当時の状勢では着脱式ではなかったことは仕方ありませんが、以降の新型にリケーブル対応が望まれるのは当然の流れ。実際、試聴会やイベントの度にリケーブル対応をしてほしいという声があがっていたそうです。
そうともあれば当然、ファンならずとも待ち望んだ着脱式。価格的にもより高級となった新型だからこそ、断線のリスクが低くなる、こんなに嬉しいことはありません。
※トロワ/キャトル共にケーブル着脱式です。
▼イヤーピースについて
ドブルベヌメロドゥ以降に登場した同社のNe(ニューイヤー)シリーズが持つ要素も盛り込まれています。新型ドブルベに付属しているイヤーピースは従来品よりも耳のより奥でフィットする”ディープマウントイヤーピース”。そしてイヤホン側のステムにはイヤーピースの装着位置を二段階調整可能なアジャスタブルポートを採用。これはいずれもNeシリーズで培われたものです。
これにより旧来のドブルベよりも装着性とそのカスタマイズ性が向上しています。
※トロワ/キャトル共に採用されている仕様です。
▼ヌメロトロワ-ドブルベの系譜、正統進化。
ヌメロトロワは、ヌメロドゥの正統進化を思わせるサウンドが持ち味。
柔らかくゆったりとした中音域部分はドブルベらしさが感じられ、男声女声ともにボーカルの聴きやすく、それでいて抜けの良い伸びやかな印象がこのトロワで強く感じられます。
空気感と厚みのバランスがよく、この上なく気持ち良くボーカルを聴くことができます。抜けの良さはおそらくボディの裏に開いた穴由来のもので、少し残念なのはこの部分から少なくとも音漏れしていること。盛大なものではありませんが、静かな場所で使う場合には少し周りを気にした方がいいかもしれません。
低音域は少し距離感が感じられ、実像感よりも雰囲気重視な印象。決して悪質なわけではありませんが、中音域の存在感と質に対すると少し解像感に物足りなさがあります。しかし響き方が心地よく、臨場感という意味では演出上手といったところ。
セラミックピエゾ振動板を活用した高音域は、明らかに今までのドブルベシリーズとは異なる音質で、うたい文句の通り中音域からの繋がりはスムースではありますが、旧来機と比べるとシャープでクール。これが小気味良く、ハイレスポンスでスピード感があって個人的には大好きな高音。
逆に言うと、高音に関しては今までのドブルベとは明らかに異質なため、この点が好みがわかれるところではないでしょうか。
一瞬、バランスドアーマチュア型ドライバーを高域用に搭載した秀逸なチューニングのハイブリッド型のようでもあります。これがたった二枚のダイナミック型ドライバーで再生されているというのは驚きの一言です。
▼ヌメロキャトル-いちイヤホンとしての価値を極限まで磨いたドブルベ
ドブルベらしさは見た目だけ?ある意味努力し過ぎて、数年ぶりに帰郷しても「お前誰?」と言われかねない変貌を遂げたドブルベとでも言いましょうか。それぐらい既存のドブルベの枠を超越してしまった気さえしてきます。
キャトルはトロワの構造に対し、中低域用の振動板にベリリウムコートをした”だけ”。たったそれだけのことに思えますが、実際他社のヘッドホンなどで振動板に対するコーティングの有無やメッキ素材の違いだけで差別化された機種は多く存在します。もちろんそれは音が変化するから。コーティングによる音変化が多分に存在するからなのです。
トロワとキャトルの異なる点もたったそれだけ。故に、聴き比べた際の「コーティングによる効果の大きさ」をまじまじと感じさせられます。
キャトルの音は、トロワよりも明らかにリッチ。中低域の量感も豊富で華やか。
高音域、低音域ともに解像感も量感も増したことで、トロワで感じられたボーカルの印象に加え、濃厚で重みも感じられるようになりました。より楽器隊の演奏が盛り上がりを見せるためエモーショナルで人間臭さが出ていて、アコースティックのハイレゾ音源を聴くならキャトルの方がやはりリッチでビッグなサウンドを楽しめるでしょう。
高音域はトロワに対して広がりが強く、立体的な高さも感じさせるサウンドステージ。
トロワを聴いた後だと若干低域が支配的な気もしますが、より多くの人の指示を得るのはやはりキャトルの音だと思います。
重厚感と抜けの良さから、ハイクラスな開放型ヘッドホンで聴いているような上質で広がりのあるサウンドが楽しめるイヤホンになっています。ドブルベの進化系であることはもちろんですが、個人的には「ドブルベの最上位です」よりも「最新のすごいイヤホンです」の方がしっくりきます。
▼新型ドブルベのちょっと気になる「悪い(かもしれない)点」
音質については申し分なく「良」な新型たちなのですが、大口径ドライバーの搭載と、初の着脱式仕様を採用したため、各部品のレイアウトを旧来機から大幅に見直すかたちとなりました。
形状の変更、別シリーズの優秀なイヤーピースの採用などでカバーはされていますが、装着感の良し悪しに個人差が大きくあるようです。
個人的には「許せる」範囲なのですが、「最高の着け心地!」ではありません。
イヤーピースのサイズ、イヤーピースの装着位置を試してもイマイチしっくりこない場合、Complyなどのウレタン系イヤーピースを試せばだいたいの方は安定すると思います。Complyを使う場合、サイズは500番です。
本来あまりこういう指摘はしないのですが、「フィット感を理由にあきらめたくない」程の音質であります。試聴の際もこの点を意識していただくと、どなたもベストな状態の新しいドブルベのサウンドを楽しんでいただけると思います。
e☆イヤホンTVでも特集しました!