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どもカスタムIEM専門店のまこです。

 

カスタムIEMといえばこのブランドと言えるほど、有名なブランドそうです。

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先日UltimateEars本社ラボに行ってきました。

幾分レポートが遅れてしまいましたが、じっくり見ていただければと思います。

カリフォルニアはとてもいいところでして、快適な気候と、やたらと優しくて気さくな人が多くて、あぁ移住するならカリフォルニアだねと、ガッキーと話していました。


 

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サーフィンで有名なハンティントンビーチ


 

 

サーフィンで有名だそうで、U.S. オープン・オブ・サーフィンやビーチ・ゲイムズが開催されるビーチなんです。いわゆる聖地ですね。

ちなみにこの明るさで夜の7時とかでしたさすが赤道近くだけあります。

いい感じの気候ですが、海パンが無くて海には入れませんでした。

 

さてさて余談は終わりにして、本題に参りましょうか。

さて私がいってきましたのは、UltimateEarsのカスタムIEMが製造されておりますアーバインにあるラボです。

アーバインは第二のシリコンバレーといわれる程、技術力が高い会社が集まる地域なんだそうです。


 

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UE入り口 


 

ドヤ顔でこんにちは。

ガッキーとテンション上がりまくって、入り口周辺で写真を撮りまくっていたら、UEの皆さんに観られていたらしい。お恥ずかしい限りです...。

 

UEといえば、カスタムIEMの始まりと言っても過言ではない老舗のブランド なのですが、今でも技術は進化しており、今でも最先端を歩んでいるのも特徴だったりするんです。

2013年にたっくんが行ってきたのですが、(下記ブログ参照)

【海外出張】UltimateEars本社ラボの視察に来ています!〜UEラボ視察編Vol.1〜

【海外出張】UltimateEars本社ラボの視察に来ています!〜UEラボ視察編Vol.2〜

 果たして2年でどう変わったのか。

UEのカスタムIEMを紐解いていきましょう。2015年度版です。

 

ではスタート。


 

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 インプレッションを加工します。


届いたインプレッションはチェックして、UEの採取基準を満たしているか確認していきます。

チェックあとは、ストッパーを取り、カッターでさくさくと余分な部分をカットしていきます。

必要な部分を残したら次の工程。

 


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インプレッションは3Dスキャナーへ入れられます。


 

いきなり従来の作り方ではなかった工程が。

この四角い機械は電子レンジではありません...。

 

そう3Dスキャナーです。

 

現在UEではインプレッションの保管をデジタル化しており、

インプレッションは一度この過程を経てデータ化されます。

 

すでに他のブランドと違いますね。

なおインプレッションのオリジナルに関しても別途倉庫で保管するそうです。

デジタルとフィジカルを残して万が一に備えているということです。

 


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データ化したインプレションを加工


 

さてここからシリコン型を作ってだなって思ったら、

 

まさかのデータのまま加工していきます。

 

3DCADを利用して加工しています。

フィット上痛みが発生する部分の除去や、動いても外れづらいフィット感を提供できるようにUEが培ってきたフィッティング技術を生かし加工していきます。

なおここのセクションでは、対応したモデルに使用する音導管の径にあわせ、カナルに対する穴あけの場所の設定や、コネクタの位置まで、設定していきます。

 

耳型の加工まで終わったら次の工程

 


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3Dプリンター


 

もうおわかりですね。

2年前未来への投資として導入し始めた3Dプリンターですが、

現在3Dプリンターを完全運用してカスタムIEMを作成しております。

インプレッション→マスターのシリコン型→製作用シリコン型→シェル成型→コネクタ接着面の加工ここまでがひとくくりになっております。

これでUEは驚異的な生産力を発揮しています。

(現在の納期は受注数的に結構奇跡的な速度です。)

 

 


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シェル製作


 

インプレッションのデータにあわせ、素材の海に青いレーザーが走ります。

徐々に積層していきます。耳型が形成されていくところは非常に興味深くじっくり覗きたかったのですが、タイムスケジュールの関係で見れず悔しい...。

合計20個(10人分)が一気に製作されていく様は、まさに文明の進化を感じました。

 

 


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出来上がったシェル


 

出来上がったシェルは透明度が高く、なかなか綺麗ですね。

2年前から比べると、積層速度、素材などの試行錯誤が繰り返され、ここまでクリアなシェルになりました。

既に3DCADのセクションで音導管の径や、コネクタの位置まで決定されているので、もはやあとは組み込みすればOKというところまで出来ています。

次の工程へ。


 

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 ドライバー組み込み工程


 

シェル加工までは一気に製作してまいりましたが、まずドライバー組み込みです。

ドライバーはそれぞれのモデルに対応したドライバー、ネットワーク、コネクタが用意されます。 

 


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内部部品は手作業で結線


 

ふと隣のデスクに目をやるとそこにはもくもくと作業する方がいます。

なんと機械化が進んでいる中でも、内部の部品は手作業で結線されてます。

10年間勤務しているベテランがすいすいとネットワーク、ドライバー、コネクタを結線していきます。

組みあがったドライバーは本体に組み込まれます。

 

 


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組み込み


 

組み上がったドライバーは、音導管を接着します。

カナルの部分に音導管を通したら、光硬化レジンを充填して固定します。

ここのプロセスでは、多くの人に手に取ってもらうために日々試行錯誤が繰り返され、小さな耳の方でも使うことが出来るよう、今でも研究を続けているそうです。

 


DSC04523 組み込み後のサウンドチェック


 

組み込みのあとはサウンドチェックが入ります。

カスタムIEMは、耳型によって音質が変化するのでそこを微調整していきます。

左右の帯域バランスと、各モデルごとの規定の音にチューニングします。

音質調整は、音導管の調節や、アコースティックフィルターの位置調整、使用しているフィルター素材によって左右で均一の音になる様に調整します。

画像のようにマイクにIEMを差込、ピンクノイズを流します。

各モデルごとのスペクトルグラフと照らし合わせ、誤差を微調整していきます。

 

UEのサウンドをつかさどるすごく大事なセクションで、たっくんがきた時と同じ人がやってました。

変わらず大ベテランがチェックしてます。

 


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仕上げへ


 

仕上げになります。

組み込みまで終わるとフェイスプレートをレジンで接着していきます。

プレートはカラーごとにすでに成型されてるようになったそうで、更に製作時間短縮になったそうです。

 


 

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レジンを固めるためにUVを照射


 

フェイスの形に合わせて少しずつフェイスプレートをつけます。

数秒で固まっていきますので、硬化させて、シリンジでレジンをつけてを繰り返しては着けます。

 


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接着途中


 

 

フェイスプレートの接着が終わった段階ではフェイスプレートの材質に余りの部分が多くあります。

そこからリューターで、トリミング、サンディングして形を整えます。

個人の耳に合うようにシェルの縁に沿って削っていきます。

隣で同じセクションの方が、仕上げ終わったのでそちらの画像が次。

 


DSC04592トリミング、軽くサンディングした後


 

余っていたフェイスプレートを下のシェルに合わせて、トリミングして、継ぎ目が目立たないように加工するため、広めにサンディングをかけてます。

この工程まで終わると、仕上げが始まります。

 


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バフ掛けして仕上げます


 

ここからバフマシンでバフ掛けして、滑らかな仕上げにしていきます。

二種類のバフで仕上げをしていきます。

この段階ではロゴがなく、シェルの仕上げで次のセクションに受け渡しします。

この後、UEのロゴが入れ、アートワークなどのデザインの工程に移ります。

 


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レーザープリント用の刻印機


  

この機械でシェルの内側にある、シリアルナンバー、イニシャル、モデル名を刻印します。ケースの名入れやもこの機械で行います。

 


DSC_0337刻印された文字に左は青、右は赤で色づけ


 

 

PC上でデザインされたテンプレートに必要な情報を記載してレーザーで刻印します。

刻印したら、カラー材を入れて印字します。

一つ一つのカスタムに対してシリアルが刻印されて、管理されます。

このセクションではデザインを仕上げますので、

アートワークや、有料で選択できるフェイスプレートはここで仕上げています。

 


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Carbon Dating製作最中


 

有料アートワークでも人気のCarbon Datingです。

カーボンと外枠はアルミで出来ています。まさかの別々…

スキャナーでフェイスのサイズを取り込み、それにあわせてレーザーでカットします。

そこから手作業で張り仕上げていきます。

UEのロゴがある場合は、UEにあわせて切抜きしたロゴを貼り付けて、クリアコートをして、バフ掛けして完了です。 


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完成品


 

※時間の関係で完成品の写真は別撮りです。

 

綺麗にクリアコートしてロゴが入ったカスタム。

綺麗な仕上げになりましたね。

 

この後に検品が入りまして、最終的な仕上げ、サウンドのチェックがされて、検品が通ったものが、UEから発送されます。ちなみに最後のQCを行っているスタッフは、変わっておらず外箱のサインN.Sが今も記載されています。

僕の2年前のカスタムも、今回頼んだものも変わらずN.S。

彼はマスターオブUEともいえるでしょう。(勝手に名づけました。)

 

こうして、あなたのお手元に完成したカスタムIEMが届きます。

 

この二年間で3Dプリンターでの製作が開始され、最新鋭の技術と、変わらぬ職人の手作業で、仕上げられているUE。

やはり製作している現場に来て始めて分かることって多いですね。

 

今のUEはより早く手元に届いて、より多くの人に幸せになってほしい。という理想の元に世界最速納品を目指して日々努力しているとの事です。

 

UEカスタムIEMの製作レポートいかがでしたでしょうか。

僕自身UEは最初のカスタムIEMを作ったメーカーで思い入れが深いので、とてもいい経験でした。

 

 

 

最後におまけ写真


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インプレッション保管庫


 

提出された耳型はオリジナル耳型と、それのシリコン型、オーダーシートと併せて置いてあります。

マイケルジャクソンの耳型見せてあげるよと保管庫に連れて行かれました。

丁度この時はワンダイレクションの耳型を見せてもらっているときです。

世界でも活躍するアーティストの耳型を見るという、会うよりも貴重な体験でした。

 


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レーザー刻印機にiphone


 

 

 

せっかくUEにきたので、記念に何かが欲しいとお願いして、iphoneにレーザーで刻印してもらうことにしてみました。

自分で刻印の位置を決めて、スイッチオン。

チュイーン…ンガガガッンガガガという機械音と共に刻まれていくUEロゴ…


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Logo入りiphone5


実はケース、シェル刻印以外で使用したのは、僕が初めてらしい…。

スタッフの皆さんも刻印できることにびっくりしてました。

世界に一つだけのiphoneになりました。

許可してくれたアート担当のLeonありがとう!

末永く大切にします。


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カスタムをつけて記念の一枚


 

本記事をお読み頂きまして誠にありがとうございました。

UEへの価値観が変わったり、理解が深まって、お手にとってもらえればありがたいです。

 

 

カスタムIEM専門店よりまこでした。

さばら!!