こんにちは!毎夜自分にグーパンチ、eイヤ大阪日本橋本店のロビーです。
今までもブログをちょこちょこと書かせて頂いていたんですが
「折角なら継続的にブログを書いてみよう!」と言うことで…
この健康志向なテレビ番組を思い起こさせる画像は、スタッフのマツコさん作。
いやもう「なるほどスッキリ」って書いちゃってるのでスッキリ出来るように徹底的にやってかなきゃですね…
我々eイヤスタッフは開店前に「店頭朝礼」という形でオーディオの知識や新製品の仕様・音について勉強する機会を設けているんですが、少しでもお客様に有益な情報になりえるなら積極的にストレージしていこう… といった趣のブログ連載となります!
ちょっと不定期になったり、スタッフも入れ替わり立ち代りにはなるかもしれませんが、
一応は連載と言う形で書いていきたいと思います!宜しくお願いします!
と、言うわけで。
連載記念すべき第一回は
イヤホンの “ベント” ってなに?
と言うことなのですが、そもそもベントとは何ぞやと。
こちとら弁当は毎日食っとるぞと。
今回は日本橋中古スタッフ、知識の鬼こと「のの」が朝礼でベントについて解説したものをベースにご紹介。
耳馴染みは正直あまり無い単語ですよね。
それでは深く掘っていきましょう!いくでッ!
ベント(vent)…「壁などの穴。空気・煙・蒸気などを抜くための通気孔。開孔。」(goo辞書)イヤホンにおいては、筐体(きょうたい)に開いている小さな穴のことを指す。ベントを設けることの目的は総じて「イヤホンを装着した際の、イヤホンの筐体内部から外耳道までの空気圧を調整するため」であると言える。
ベントを設けなければならない「理由」は次の2つに大別される。
①ダイナミック型ドライバーなどのドライバーの、振動特性を最適化するため
②外耳道閉鎖効果を軽減するため
基本的には①が挙げられることが多い。
ふむふむ。
見ていきましょう!
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①ダイナミック型ドライバーの振動特性を最適化する
…ダイナミック型ドライバーは、設計上の理由で振動板そのものは柔らかい場合が少なくない。
その場合、イヤホンを装着した際に生じる外耳道の強い気圧に負け、ドライバーが本来意図されている動きができなくなってしまう。
(補足程度ではあるが、この特性を「出力音響インピーダンスが低い」と言い表すことがある。
電気的なインピーダンスが低いとノイズが入りやすいように、出力音響インピーダンスが低いとドライバー自身以外の要素からも出力に影響を及ぼされやすい、ということである。)
この問題を解決するための最も簡易かつ効果的な方法が、ベント(通気口)を設けることである。
外耳道と外部を完全に隔離しないことにより、イヤホンを装着してもドライバーに過度な負荷(気圧)がかからないようにすることで、
ダイナミック型ドライバーが理想的な振動特性を発揮することができる(=設計意図通りの音が出る)。
ダイナミック型ドライバーを含む「ハイブリッド型」のイヤホンにも同じことが言える。
要するに、耳の中で小さなスピーカーが前後するイヤホンにおいて
耳の内側に向かって音が鳴るように逆方向にも音が鳴っている(振動している)と。
その逆方向への振動をナチュラルにさせてあげることで
本旨である耳側への振動に注力しよう!といった内容ですね。
でも、バランスドアーマチュア型のドライバーはこの点どうなんでしょうか。
なお、バランスド・アーマチュア型ドライバー(通称:BAドライバー)は、固く支持されたアーマチュアを磁力の均衡で支え、
振動板とアーマチュアをドライバーロッドで接続するという構造のため、気圧の影響を受けにくい。
なるほど。ステージユースのイヤモニにおいてBA型がよく見られるのはここが肝?
ベントを設けないって事は「より遮音性があがる」ってことになるので、
耳の中だけでモニター環境を構築したいアーティストにとって利点に働くことが多いと。
なんとなくベントの役割が見えてきたかも…
って事は、ダイナミック型でベントを開けないととんでもない音になるのか…?
また、ダイナミック型ドライバーであっても当然「完全密閉型」は存在する。
その代表格がSHUREの「SE215」や「SE215 SPE-A(スペシャルエディション)」である。
他に著名なのはFitEarの「FitEar Air」などがある。
たとえば「FitEar Air」の場合、卓越したカスタムシェル成型技術を活用し、カナル部分を短くするがシェルのフィットを完璧にすることで遮音性が極めて高い上にドライバーの振動特性も理想的という
ハイレベルなハイブリッド型イヤホンとなっている(※1)。
ド定番大名機のSE215がまさに「ベントなしダイナミック型ドライバー」だったと。
ダイナミック型のレンジが広く低域も底まで鳴らしきれるパワフルさと遮音性の高さ
この二つの要素がSE215が名機たる所以の一つと言えるのでしょう。
改めてモンスターなイヤホンでございます。
ただ、改めて今色んなイヤホンと比較して聴くと
SE215は「ぎゅっと詰まった」サウンドに感じることもあるので
改めてなるほどな、と思えますね!
※1…「FitEar Air」商品説明
→密閉された耳穴内ではダイナミック型ドライバー振動板に気圧変化による動作規制が生じます。
そのためカスタムシェルでダイナミック型を利用する際には、通常「ベント」と呼ばれる気圧変化を緩和するための通気穴が必要となります。
しかし、騒がしい場所など使用する環境によっては、このベントが外部騒音の侵入や音漏れや音質の変化といった問題の原因ともなります。
- 「FitEar Air」では耳穴に収まる部分を短くした「ショートレッグシェル」を採用。
これにより耳穴内の空気容積を大きく取ることで気圧変化幅を最小限に抑え振動板の動作規制を解消、
高い遮音性を維持することで周囲の環境に左右されずにダイナミック型ドライバーの利用を可能としました。
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②外耳道閉鎖効果を軽減する
…①に対して②の場合は、ドライバーの種類にかかわる事象ではなく、人間の聴覚的な問題によるものである。
遮音性の高い耳栓やイヤホンを装着した状態で自分が何か喋ると、自分の声がいつも以上に自分の耳の中で反響するという現象を体験したことがあるかもしれないが、
これを「外耳道閉鎖効果」と呼ぶ。
外耳道が閉鎖されている時、おおよそ250hz~500hz前後の周波数帯域(中低域、ミッドロー)が最大20dbほど増大される現象である。
耳の中で反響される周波数帯域にピークが生じるため、イヤホンのリスニングにおいても「中低域を強く感じ、閉塞感のある音になる」という音質的な側面もある。
完全密閉型のダイナミックドライバー型イヤホンを聴いたときに低域が強い、ややモコモコっとした印象の音質に感じるのはこの外耳道閉鎖効果が多かれ少なかれ関係している。
イヤホンではカスタムIEMに多い問題であり、自分自身の声が耳の中で過度に反響することに違和感などを覚えるアーティストが実際にいる。
これも外耳道が外部と遮断され密閉環境になっていることに起因しているため、
ベント(通気口)を設けることが最も効果的な解決方法となる。
イヤホン以前に補聴器の界隈でよく挙げられる問題で、イヤホンにおいてはカスタムIEMが最も多い。
ふむふむ。
イヤホンのイヤーピースをバッチリ合うサイズに変えたとき「低域が増えたぞ!」と感じたことはありませんか?
まさにそういうことで、密閉具合が増えるとそういった弊害も生まれることもあるんですね。
特にカスタムIEMは自分の耳型ピッタリな状態で装着するので確かにシビアになりそうですよね。
ただし、外耳道閉鎖効果を軽減するために通気口を設けることには問題もある。
本来密閉型のイヤホンに新たにベントを設けるという措置を行う場合は、外部からのノイズの侵入と、ベントからの音の拡散によって本来想定されている周波数特性ではなくなってしまう場合がある。
例を挙げるとUltimate EarsのカスタムIEMをオーダーするときの「アンビエント」オプションである。
(イヤホンではなく補聴器においてはベントを大きくしすぎるとそこから逃げた音を再度集音してしまうことによって「ハウリング」が発生するというデメリットもある。)
カスタムIEMくらいぴっちりと耳にあっていると少しの隙間(ベント)でも遮音性にかかわってくると。
より遮音性が高いほうがウィスパーボイスや生音の小さな楽器とってありがたい。
でも、声量のあるボーカリストさんなどからすれば耳の中で音が回って「不自然に聴こえる」。
結局は適材適所かよ!と思ってしまうかも知れませんが
ステージモニタリングもリスニングも好みは十人十色。
原理や理由を知って色んなイヤホンを比較すれば、より自分好みの音を見つける一助になることは間違いありません。
そういえば話は変わるんですが、
マイケルジャクソンの伝説になってしまったコンサートのリハーサルを収めた映画「THIS IS IT」で
イヤモニを用いてリハーサルをしていたマイケルジャクソンがイヤモニを外してからPAのスタッフに
「僕は自分の耳で聴くように育てられた」
と言った内容を話していた事を思い出します。
決してその人にとっての理想の音というのは画一化できるものではないんだ!
と当たり前のことを改めて考えてしまいますね…
カスタムIEMにおけるモニタリングにおいては、自分の声が反響することに関してモニタリングそのものが致命的に阻害されるということは少ない。
モニターする音をEQできる環境であれば尚の事である。
安易にベントを設ければ外来ノイズによるモニタリングへの影響も避けられない。
しかし、上述のように自分の声が反響する現象自体に嫌悪感を持つ場合があるので、お客様のご要望や目的に合わせて上手に案内していきたいところである。
ステージでイヤモニをするアーティストさんの中には
「お客さんの声が聴きたいから」と客席に向けて立てたマイクの音をイヤモニに混ぜる人もいます。
自然な音を追い求めて遮音性を犠牲にする人もいる…
遮音性も犠牲にせず自然な音を追い求める開発者がいる。
面白いですよね… かなり脱線してしまいましたが、
イヤホンにあいている小さな穴だけでコレだけたくさんの語れるのとは。
これからも連載で語っていかねばならん。
今後もお付き合い願います!
また、中低域を強く感じるようになり、閉塞感もあるという音質的な側面があることも述べたが、
これに対しての解決方法としてベントを設けている場合がある。
この場合、音質に関しての措置ではあるが、BAドライバーのみの構成のイヤホンでもあり得る事例である。
ベントを設けることも含めて音質のチューニングを行い、スッキリとした広がりのある音を実現している商品などがある。
コレに関しては!僕の大好きな愛機「IE 40 pro」がまさにこの内容に当てはまるかと。
そしてそのことに関しても、ベントについてもIE 40 pro発売時のブログでコレでもかと語っておりますので是非ご参照あれ!
ここまで読んでいただけた皆様、いかがでしたでしょうか!
記念すべき第一回目なのに始まりっぽさが薄い内容になっちゃいましたね(笑)
拙い文章ではありましたが、そのあたりも連載を通して成長していきたいなと…
お付き合いいただきありがとうございました。
日本橋店のロビーがお送り致しました!
ではまた次回!アディオス!