こんにちは!eイヤ大阪日本橋本店のロビーです。
春からeイヤで働き始め、気が付けばもう2018年も終わりが見えてきました…。
毎日お客様のイヤホン探しのお手伝いをさせて頂いたり、新製品のレビューを書いたり。
しかし、最近気づいてしまったのです…
そんな生活を続ける内に段々と「イイ音」に慣れてきてしまった自分に
もちろんどの製品も個性が合あって素晴らしい、良い音なのですが!
…スタッフとして!もっと感動を大事にしながら働かねば!
そう、例えば…
初めて1万円より高いイヤホンを聴いたときの感動 のような!
そんな感動を思い出させてくれる商品があればいいのに…
あれば…
あれ…?
ありました
そう、今日皆さんにご紹介したいのが 12/6(木)発売予定 のこちら
SENNHEISER IE 40 pro
このIE 40 proの試聴機が日本橋店にやってきてからというもの
すっかり心を奪われてしまった僕なのですが…
これは絶対に「未来の名機になる!」と確信したので、
本日はゼンハイザーの新モデルを徹底的に解剖してご紹介したいと思います!
まずは聴いてみた。
これまでのゼンハイザーの製品における「広がりのある音」や「低域の扱いの上手さ」
といった要素がモニターイヤホンとして落とし込まれている印象で、
サウンドステージも決して広くはないのですが、一つ一つの音の粒だちの良さで音源自体に処理されているリバーブやディレイもはっきりと聴き取れるので「楽曲本来の音の距離感」がしっかり再生されているような感覚です。いわゆる定位感の良さってやつでしょうか。
単純にライブモニターだけでなく、トラックメイクを行う際のミックスやマスタリングにも適している印象なので幅広い人に需要や好みが合うイヤホンになってくれるに違いありません。
高域は、最初ちょっとだけ刺さるなと思うところもあり、
日本と海外で歯擦音の帯域が異なるからなのかな… と思いましたが
単純にエイジングで落ち着く範囲かもしれません。
自分の分を買ったら僕はエイジングをします。
ステージモニターとしては少し遮音性が低いのですが、これが定位感の良さやキレのいい低域に繋がっているのかなと。大き目の信号入力にも強く、ひずみが少ないので中高域が強めでも不快なシャリついた音にならず、すごく心地いいですね。アンビエントとして少し外の音が聴こえる方が、モニター音を全てイヤモニに返せないアマチュアのアーティストにとってはありがたい場面もありますし、過大入力への強さで大音量でも破綻しないサウンドなので問題はなさそうです。
クリアで見通しよく、決して平面的になりすぎない。(典型的なモニター系サウンドではない)
この奇跡的なバランス… 一体どこからやってくるのでしょうか?
その謎を探る為… 我々はジャングルの奥地へと足を踏み入れたのであった……
付属品
イヤーピース3種(S/M/L)
フォームタイプイヤーピース1ペア(Mサイズ)
クリーニングツール
専用ポーチ(マグネットで入り口が開閉するやつです)
が付属しています。
イヤーピースは十字の仕切りが付いている新イヤーピースの様です。
ステムの中にはそれぞれスポンジが装着されており、仕切りの部分はスポンジが外れないようにも機能しているようです。今までのゼンハイザー製品でも見かけない仕様ですね…。
この新イヤーピース、ステム内部で2段階の返しが設けられているので2種類の装着感が選べるようになっています。こんな感じですね。
浅めに装着した状態がこちら。
奥までグッと差し込むとコチラ。
装着感を変えることはもちろん音にも変化があります。
浅めに装着した場合は高域の歯擦音やドラムのシンバル辺りの帯域が減衰し、
深く装着すれば低域を中心にキレと定位感がバシッと決まる感じ。
僕にはどちらも好みすぎて甲乙つけれませんでした。
強いて言うならば、モニター系のラインをくっきりと出したシビアなサウンドだなと感じた方には浅めでつけるとイメージが変わるかもしれません。試聴の際は是非変えつつお試しあれ。
ちなみに僕はどちらも好みでした。
イヤホンを観察してみる
ノズルにもイヤーピースと同じくスポンジ状のフィルター。
説明書ではクリーニング時に交換が可能との事だったので、あくまでゴミや汗が侵入することを防ぐことが目的のようですがイヤーピースも含めて二回もこのフィルターを通っているのだから何か音響的な面でも意図があるのかもしれません。全域に渡ってクリアなサウンドなので、このフィルターが上手く均衡を保ってくれているのかも。
はあ~ちょっとチープな見た目が最高!かわいい!
業務用だぜと言わんばかりの不器用なルックスですね。
ゼンハイザー製品のクリアカラーも純粋に珍しい。
メーカーロゴの右横、見えますでしょうか。
ベント(空気口)が設けられています。
IE 40 proは、ドライバーと言われるスピーカーにあたる部分に
「10mm口径のダイナミックドライバー」が採用されています。
低域から高域までを一手に引き受けて鳴らしてくれるパワーのあるドライバーではあるのですが、耳に向かう方向とは逆方向にも「空気の逃げ道」を設けてあげないと有り余るパワーが小さなイヤホンの中で回りきって高域が濁ってしまったりはっきりとしない低域になってしまうのです。
ただ、ステージモニターとしてはやはり遮音性は重要。
ShureのSE215などでは遮音性を犠牲にしないためにハウジング内で音を処理する機構になっていたり、AZLAのAZLA MK2では密閉型でありながら内部のスペースをかなり大き目にとって開放型に近いエアフローを作ることでナチュラルな音場感を実現していました。
そんな各社が趣向を凝らす「自然な音の広がり」と「遮音性」の両立ですが…
ただ、ここまで大胆にベントが空いているイヤホンというのはあまり見かけません!
IE 40 proの低域のキレの良さ、定位感が優れているのはこのあたりが要因かもしれません。
ただどうしても遮音性は落ちているので、ここは競合のイヤホンたちとの差になるポイントと言えます。
サウンドには抜群に効果が出ているのでこのアプローチは面白いですね。
ケーブル端子には、まだ詳細不明の「独自の同軸コネクター」を採用。
本体のかなり奥まで刺さり、アソビも少ないので耐久性は良さげ。
また新しいコネクターが出たよ!と思う方も多いかもしれませんが、基本的なリケーブルの概念が「断線した時の交換用途」であるならばコネクターの耐久性を高めた新規格は進化と言えるでしょう。それにあのゼンハイザーが「ライブ用」を掲げて作り上げた新コネクターのようなので、僕は純粋に期待してしまいますね。
サードパーティーのケーブルが試せないのは残念かもしれませんが、
そもそもの音が良ければなんの問題でもありませんよね。
まず試聴してみて、このイヤホンに合うケーブルは… と考えてしまう事も多いです。
IE 40 proはこのまま暫く使いたい魅力があるのでモーマンタイ!
細かな部分は先述のイヤーピースによる調整で追い込めますしね。
比較してみた
IE 40 proの値段を知った時、アラウンド1万円台の革命的な製品だ!
と思ったのですが、アラウンド1万円と言えば名機や新興の中華ホンが軒を連ねるイヤホン界の中でも熱い戦いが繰り広げられる激戦区でもあります。
中でもShureのSE215は発売から5年以上経った今でもeイヤの年間売上ランキングでトップに食い込んでくる名実ともにモンスターなイヤホンです。このイヤホンでイヤホンの沼に引きずり込まれてしまった人も多いのではないでしょうか…。
IE 40 proと比較すると、遮音性は先述のベントのこともありSE215が圧倒的な印象。
ただ、SE215は遮音性の為に大きなベントをハウジングに設けず内部のスペースの取り方で自然な鳴り方を追求していますが、どうしても「グッと濃ゆく狭い」サウンドになっているのは事実です。(そこがカッコイイんですけどね)
IE 40 proはそこに関しては一枚上手。
楽器やトラック同士が互いの帯域を邪魔せず、フラット目なバランスではあるのですが集中すれば「聴きたい音」をしっかりと聴き取れるような音の距離感がある絶妙な広さを演出してくれます。
う~んこの良きライバル感よ。
スッキリとクリアで歯切れの良いIE 40 pro
音がグッと詰まったいい意味で熱い鳴り方をするSE215
どちらが優れている、なんて語るのはナンセンスですが新しい選択肢としてゼンハイザーがこのクオリティの製品をリリースしてくれたことに純粋な嬉しさしかないですよね。これからSE215を買うんだ!なんて方にも一旦このIE 40 proと比較してみるのもいいかもしれません。
はい優勝!
他のライバル機種としては…
UM pro10も非常に有力なライバルですが、こちらはウォームで滑らかな音。
ジャンルによっては抜群にフィットしてくれます。
特にボーカルのピッチ感に狙いを定めて聴きたい方にはオススメです。
初めての1万円オーバーのイヤホンを探す時にはまずこの3機種を聴いて頂くのが良いかもしれませんね。三者三様の良さがあるので、どれかが長く付き合う相棒になってくれる可能性もあります。eイヤホンの店頭では、スタッフもぴったりなイヤホン選びのお手伝いをさせて頂きますので店頭にお越しの際はお気軽にお声掛けください!
とにかくもの凄くいい製品に久しぶりに出会っちゃいました。
ついつい語りすぎちゃいましたが、IE 40 proを宜しくお願いします!
以上、eイヤホン大阪日本橋店ロビーがお送りいたしました!