大先生です。

 

いよいよ今週末の7月7日(金)、IRIVER・Astell&Kernブランドの最新機種にしてハイエンドモデル『A&ultima SP1000』が発売となります。

先に発売となるのはSS(ステンレス・スティール)モデル。

剛性の高いステンレス・スティールに全身を包んだフォルムは至上の高級感があり、音響的効果にも優れています。

 

 

削りだしのステンレス・スティールで作られたソリッドかつストレートなディテールは最高級機たる風格を備え、かつ前世代との一新が目に見えて感じられるデザインとなっています。なんかもう語彙力を失うほどドチャクソカッコイイ逸品ですが、そんな逸品が以前にも存在したことを皆様は覚えておいででしょうか。

 

そうです。

 

AK380SSです。

第三世代の盛大な幕引きとして登場した、AK380最後の限定モデル。AK380SSAMPが同梱され、約65万円という天元突破の価格設定でも話題を呼びました。

 

 

今回のSP1000はCopperモデルStainlessSteelモデルの2種類が発売を予定していますが、これがAK380の同モデルの成功を受けての趣向的後継機種であることは言うまでもありません。

ならば、僕達が気になることはひとつ。

 

この2017年に毅然として存在する、AK380とSP1000というふたつのSS

両雄は揃いました。今こそ闘いの時です。

 


というわけで、早速見て参りましょう。

 

まずはフォトレビューから。

 

左がAK380SS、右がSP1000SS

 

ステンレス・スティールの質感は近いようですが、右下がトリックアートのように飛び出ているAK380に比べ、SP1000はベゼル周りがスマートになっており、筐体サイズよりも大画面化の印象を強く受けます。

 

上がAK380SS、下がSP1000SS

 

重ねてみるとこんな感じ。

並べると全体的に大きくなったように感じるSP1000ですが、重ねると横幅は殆ど変化していないことがわかります。縦幅は一回り大きくなっていますね。

 

 

 

上がAK380SS、下がSP1000SS。

 

ボリュームダイヤルを備えているのは共通の使用ですが、SP1000はエングレーヴがより豪華になっています。

AK380SS(上)はいかにもツマミというシンプルな形状で、装飾もフィンガーキャッチの凹凸が付いている程度に留まっています。しかしSP1000SS(下)は装飾品のような模様が彫られ、宝石をテーマとした第四世代のデザインコンセプトにマッチした高級感が生まれています。押し込むことによる電源ボタンも兼ねているので、親指でのホールド感やクリック感にも優れています。

 

 

 


では、音質を聴き比べを。試聴にはUE Pro RRを使用しました。

 

まずはAK380SSから。

やはりAK380の持ち味である雄大な音場の広がり、そしてSS化したことによる音の輪郭のシャープさは群を抜いています。

解像度の高さ、低域を中心とした重厚感のあるサウンドもSSの硬めの音に良く馴染んでおり、AK380シリーズの中でも比較的派手目なチューニング。

 

そしてSP1000SSを試聴。

ステンレス・スティールならではのシャープなディテール音の硬さはAK380SSと同様。これは『プレイヤーの筐体素材をSSにしたことによる恩恵』が同一に働いているためだと思います。逆に言えば、そういったSS的な特徴を省いた部分がプレイヤー本来の差と言えそうです。

音場はAK380SSと比べても結構しっかり広がっている印象で、奥行きや残響感が非常に丁寧に処理されているのがわかります。

解像度の高さもこちらのほうが上です。描写能力に関しては互角か以上くらいなのかもしれませんが、一音一音の粒立ちが非常にはっきりしており、より『解像度が高く感じやすい』音作りになっています。

 

しかし、根本的にAK380SSとSP1000SSは音の方向性自体が異なっているようにも感じました。

AK380SSはどちらかというとホームオーディオに近いような鳴らし方で、響きや空気感の再現性に重みをおいているのに対し、SP1000SSは同じくポータブルオーディオを逸脱したクオリティではありつつも、どこかポップさというか、リスニングの楽しさを改めて見つめ直し、突き詰めたような感じを兼ね備えた音になっています。

また、僕がSP1000SSを聴いて最も感銘を受けたのが音の実在性。『音がそこに在る』という存在感の極地のような艶めかしい輪郭の完成度があり、それでいてリアリズムとも割り切れない味付けがされているという、なんとも妙なる秀逸なバランス。

 

ナチュラルさを追求したAK380に対し、音の楽しさを追求したSP1000と言ったところでしょうか。

 


 

ここまで来ると明確な優劣は付けづらく、音の方向性の好みになってくると思いますが、個人的な意見としてはSP1000SSの『後発製品である優位性』を考慮すると、過去のStainlessSteel製品(AK240SS、AK380SS)のノウハウから作られていること、そしてDACチップを始めとする各パーツがより新しく上位のものに変わっていることもあり、SP1000SSに純粋な質の高さを感じました。

 

また、第四世代として切り替わったことで、今後発売されるであろう周辺機器や、サポートなどにもより充実した対応が期待出来るメリットもあります。

引き続き搭載された、ロック穴と拡張ユニット用端子。端子部は第三世代と異なり4ピンから5ピンに変更されているため、互換性は無い

 

UIの違いに関しては、過去のAK機をお持ちの方なら触り初めこそ違和感があるかもしれませんが、再生画面を主としたUIの完成度は高く、使っていくにつれて皆様の音楽ライフにしっかりと馴染んでいくことは想像に難くありません。CPUがオクタコアにグレードアップしたことによる恩恵も大きく、よりスムースに動くようになりました。

画面端からのスワイプもメイン操作のひとつとなったことで使い勝手が良くなり、第三世代にあった『画面上からのプルダウンメニューが出しづらい』という問題も幾分か解消されています。

 


 

総評して、SP1000AKの系譜を明確に受け継ぐ新機種でありながらも、AK380とは方向性から明確に異なるDAPです。

そのため、AK380ユーザーの皆様も『AK380があるからいいや』と言わず、ぜひ一度ご検討頂きたい。

比べてみることで、改めて『AK380の方が好きだ』と再認識することだってあるのです。

何より個人的感情を露わにするのであれば、『これほど完成度の高いDAPを聴かないのは勿体無い』と声を大にして言いたい。そんな魅力がこのSP1000には詰まっているのです。もう、電子端末としてもマジでかっこいいですし。ガジェオタ的にもたまりません。

 


 

以上、最後の最後に本音がダダ漏れになりましたがSP1000SSとAK380SSの比較レビューでした。

また先日放送されたe☆イヤホンTVでも、aiutoの斎藤さん、藤丸さんによるSP1000とAK380の比較を交えたご紹介がなされております。ぜひそちらも併せてご覧下さいませ。

 

 

 

お相手は大先生ことクドウでした。それではまた次回。


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