SONYの最新機種となる『MDR-1AM2』。開発者のお2人にお話を伺いました。
だいせんせいです。
先日の2月10日、ついにソニーの最新モデルとなるヘッドホン『MDR-1AM2』が国内正式発表となりました。
2012年の『MDR-1R』から始まる『MDR-1シリーズ』は高い評価を受け、現行機種である『MDR-1A』もまた、2014年の発売から今に至るまで長く愛されてきた名機でした。
そんな『1A』が、ついにフルモデルチェンジ。『MDR-1AM2』として登場したのです。
僕ことだいせんせいもまた、1シリーズユーザーの一人。新機種の発売となっては、興味を抱かずにはいられません。
……というわけで、やって来たるはソニーシティ大崎。
今回敢行したインタビューにお応えして頂いたのは、こちらのお二人!
MDR-1AM2の開発スタッフ、
音響開発設計担当の桑原英二さんと、
筐体設計担当/プロジェクトリーダーの横山智優さんです!
本日はよろしくお願いします!
筐体設計、プロジェクトリーダーを担当した横山です。
よろしくお願いします。
音響開発設計を担当した桑原です。
よろしくお願いします。
では、まずは開発経緯からお話していきたいと思います。
MDR-1AM2の開発経緯
まず、MDR-1シリーズについて簡単に説明します。2012年に『MDR-1R』というモデルが発売されました。
その後2014年に『MDR-1A』が発売され、今回2018年春に『MDR-1AM2』を発売させて頂く、という流れになっています。
弊社はこれらのMDR-1シリーズを、ソニーのヘッドホンラインナップのセンター、『The Headphone』という位置づけで展開しています。
そうですよね。いわゆるスタンダードというか。
誰が選んでも、まず間違いないもの。
そこそこの価格帯ではありますけども、我々の理想とするヘッドホンの形のひとつとして作っています。
そんなMDR-1シリーズ、『1A』と『1AM2』では3年半という月日が開いております。
その理由としては、こういったモデルは定期的に出していく物ではないというところ。
安価なモデルやファッション性重視のモデルであれば、時代に合わせたカラーで出していくことも多いです。
ただ、このモデルはどちらかというと『MDR-1シリーズ』の完全な伝統に則った上で、『とてもいいものが出来る』という確信を持った上での開発になっています。
3年半の月日の間で、技術も色々と進歩をしてきました。
デザイン、形状、装着性、音質など、全てがそのままに正統進化しているというところが今回の『1AM2』であり、
その技術の土台が揃ったからこそ開発した、というところが大まかな経緯となります。
ありがとうございます。
2018年の春というタイミング自体には、技術の進歩以外に何か理由はあったのでしょうか?
『タイミング』という意識は、実はそこまでしていません。
特に『1A』は沢山のお客様にご好評をいただいているモデルですから。
『下手なことはしたくない』という気持ちはもちろんありました。
ちょっとの進化だったら、発売する意味はありません。
あえて『タイミング』というのであれば、『誰が聴いてもより良いと感じる音』『誰が装着しても間違いなくより良いと感じる装着性』が揃ったのが、まさに今回のタイミングだったわけです。
その変化については後ほど詳しくご説明して参りますが、例えば軽さだけを取って見ても、38gの軽量化。
数字の面で見ていってもなかなか大きい進化を達成できたな、と我々は思っていて。
そういった達成があってこその発売となりました。
なるほど。ありがとうございます。
……ところで、ちょっと変な質問になっちゃうかもしれませんが。
僕、『MDR-1RMK2』を使っているんですよ。
『1R』と比べても、『1RMK2』はマイナーチェンジ的な位置づけのモデルでした。
ただ、『1A』と『1AM2』は、同じ『マークツー』でもかなり大きな変化が生まれていますよね。
型番を新たにしないで『M2』としたのには、何か理由があるのでしょうか?
ひとつ言えることは、当時の『1RMK2』の『MK2』の意味と、今回の『M2』の意味っていうのは全く異なります。
見れば分かる通りなんですが、『1AM2』は全てが一から作り直されています。
進化具合の大きさとしてはむしろ『1R』→『1A』と同じか、それ以上くらいの違いがあると思います。
そういう意味では、今回の『M2』という型番に疑問を抱かれる方もいらっしゃるとは思います。
ただ、実際手に取って頂けると、別物だとわかると思いますし、コンセプトを理解して頂けるはずです。
我々も新規の製品として出している認識もあり、『ちょっとした変化ではない』ということです。
ありがとうございます。
では、そんな『1AM2』のスペックの進化や変化についてお伺いしていきたいと思います。
MDR-1AとMDR-1AM2の違いは?
ズバリお聞きします。
『1A』と比べて具体的に『ここが変わった!』というポイントはなんでしょうか?
もちろん、音質とか、装着感とか、デザインとか。要素ごとに言えるところはあります。
音質でいうと、『1A』をベースにしつつも高音質化したというその一言に尽きると思います。
今まで『1A』はソニーヘッドホンのセンターとして親しまれてきていて、基本的にその方針、あくまで色んな音楽がちゃんと聴けるというベースは変えていません。
それぞれのひとつひとつの音が、上位互換じゃないですけど、そのまま良くなったというか。
特に高音の変化に関しては、新規開発のドライバーユニットの影響が大きく関わってきまして。
『1A』も高音に関しては不満なくお使い頂いていると思いますが、よりグレードアップしております。そのあたりは凄く分かりやすい違いですね。
そして装着性に関して言うと、『とにかく軽くて負担をかけないものが良いヘッドホンだ』と考え、どうすると装着性がよくなるのか、色々見直してます。
まず見直したのは、全体のサイズですね。
ちょっとした違いなんですけど、すべてのパーツを出来るだけスリムにしてます。
あっ、ホントだ……!
とはいえ、剛性を弱くしても良いのであれば(サイズを削るのは)簡単ですが、いかに剛性を持たせたまま削っていくか、というところがポイントでした。
開発も結構時間かかっておりまして、『このくらいの細さだとどうだろう』というシミュレーションから、実際に物を作って、評価して、というのを回しながら徐々に徐々に、この寸法に落ち着いていきました。
……あとは、分解しないとわからないようなところなんですけど(笑)。
細かい構造が変わっています。例えば留め構造を2部品から1部品にしてみたりとか、出来るだけ肉抜きをしたりとか。
そういう細かい工夫を積み上げていって、今回は38g軽くなっています。
なるほど。
ちなみに、シミュレーションというのはどういったものなのでしょうか?
基本は強度の計算がメインになります。
例えば、お客さんがヘッドホンを装着する時は、グイッと開きますよね。
その際にどこにどういう力がかかって……それが何度も繰り返されることを想定し、強度を計算しています。
もちろん最後は物を作って評価をしますが、毎回物を作っていると時間もお金もかかっちゃうので。
計算である程度追い込んで、というような作り方をしています。
じゃあもう『見た目がちょっと変わった』という以上に、『中身がもの凄く変わった』というような感じなんでしょうか(笑)。
そうですね。
じっくり内部パーツを見てみると『気が利いているな』と分かってもらえると思うんですけど。
なかなかお客様は、分解までは出来ないですが。
変化部分で考えると、むしろ『こんなに変わったのにこれだけ1Aのデザインを残せた』ぐらいに感じちゃいますね。文字通りのフルチェンジというか。
ありがとうございます。
あとはデザインの話になるんですが、『1R』や『1A』は割とクラシックというか、しっかりしたヘッドホンの形をしていました。
それに対して『1AM2』はスリムにしたかったっていうのもあり、ちょっと洗練されたデザインになっているのかな、と。
確かに、そんな印象がありますね。
もちろん強度的にも大変だし、あとは組み付けも苦労する部分ではあるんですけど。
やはり洗練させることと軽量化することが目的で、パーツの数も減らすよう工夫していますね。
凄いですね……。
実際、先ほど『38g』とお伺いしましたけど、実際に手に持ってみるとそれ以上に軽量化しているような感覚もあって。
そうですね。
手に持って頂くと、軽さはわかると思うんですけど。
実際に着けてみるともう一段階軽いな、と感じて頂けるかと思います。
『1RMK2』は作業中によく使っているんですけど、パッと『1AM2』に切り替えた時に、もう、軽すぎてびっくりしちゃって。
※MDR-1シリーズの質量は、『1R』『1RMK2』が240g、『1A』が225g、『1AM2』が187g。
『1RMK2』と『1AM2』には、実に53g(!)もの質量差がある。
嬉しいですね(笑)。
こんな違うんだ、と驚きました(笑)。
やっぱりオールジャンルに合うヘッドホンというのもありますし、
色んなシーンで使えるので、装着性の良さが磨き上げられているのは本当に素晴らしいポイントだと感じました。
あと、イヤーパッドも変化しているように見えますね。
そうですね。イヤーパッドは(従来のMDR-1シリーズとは)ちょっと考え方が違います。
『1R』や『1A』のイヤーパッドは、人間の顔の凹凸に合わせた形状を、複雑な縫製で作り上げていました。
今回はかなり柔らかいウレタンの開発を進めて、あとは伸びの良い合皮を使えるようにもなったので。
伸びの良さを追求して柔らかさを引き出す、という設計思想になっています。
触って比べて頂けると、わかると思います。
最初は『1AM2』のイヤーパッドの方が硬いんじゃないの、って思われるかもしれません。
確かに、『1AM2』のイヤーパッドはちょっとぐにっとした感触ですね。
今回のイヤーパッドは、低反発の度合いを強めています。
なので、じっくり触っているとだんだん沈んでいって、最後に(顔の凹凸に)より追従するのは『1AM2』の方なんですよ。
点で押すと、なんとなくモチモチ感があって重く感じるんですけど。だんだん沈んでいくわけです。
さらに深くフィッティングするような。
そうですね。
顔の凹凸に合わせた形状にしなくても追従するような、そんなイヤーパッドになっています。
あとは、表面の縫い目が今回は無くなっているんです。
あ、本当ですね。
見た目のデザイン的なところも、もちろん大きいんですけど。
縫い目の部分ってどうしてもテンションがかかって硬くなっちゃうので、それ以上伸びなくなります。
その縫い目を減らすことで、なるべく潰れて伸びるような形になっています。
この(従来縫い目があった)部分が、より柔軟に変化するということですね。
そういうことです。
(触ってみて)ああ……確かに……!
これ、『WH-1000XM2』のものに近い感じがしますね。
考え方は同じです。
イヤーパッド内のウレタン素材を、『1000XM2』のものよりも柔らかくしています。
あちらはノイズキャンセリングのモデルなので、そのあたりの作り方の違いも有りますね。
ちなみに、ちょっと気づきにくい部分ですが、イヤーパッドの耳の入る部分を広く設定しています。
コンパクトな構成の中で、少しでも耳に当たりにくいように細かい調整をしています。
確かに、素晴らしい装着感です。
デザインのお話に戻すと、従来のモデルで特徴的だった赤のラインであったりとか、シルバーに対するブラウンみたいな差し色は今回は無くなって、1色でまとまっていますよね。
こちらにはどういった意図があるのでしょうか?
おかげさまでMDR-1シリーズが発売されて6年という歳月が経ちました。
当時は、差し色等でその製品のキャラクターを表現していましたが、時代とともに表現のトレンドも変化しています。
そこでh.earシリーズでみられる単色で製品をまとめるコンセプト「single color finish」をこちらのモデルにも採用しました。
あとは、今回ハウジングに合皮があしらわれていますね。
目標としたのは持った時の素材感です。
実際に手に持ってもらったときに質の良さを感じることで、音楽を聴くことへの期待、体験がより上質になることを目指しました。
また、合皮を回し込むことでイヤーパッドとの一体感が増し、よりコンパクトに見える効果もあります。
なるほど。確かに、触れた時の印象が全然違いますね。
『素材感』ですよね。
樹脂の製品などがたくさんある現代で、ふと触れたときに上質な印象を持って欲しいというような。
今回は、『触れるところには気を使おう』ということで。
見た目的にも、上質な印象を受けますね。
この(ハウジングの)部分に合皮が回り込んでいるかどうかで、全然違ってくる気がします。
今までのややメカメカしいデザインと比べても、より一体感があるというか、女性にも使ってもらいやすそうな感じがしますね。
外見上の工夫でいうと、スライダーを閉じた状態だとビスが一本も見えないようになっています。
え。……あ、本当だ!
ビスって、隠そうと思えば、別にシールを貼っちゃえばいいんですけど(笑)。
そうではなく、機構的に意味のある形でビスを無くしているというのが大きなポイントです。
ビス無しで作れる構造に組み替えて設計しました。
先ほど『メカニカルさが減った』と仰っていましたが、その辺りのこともあるかもしれません。
なるほど……!
あとは、今回は『NW-ZX300』ともバランスで接続して頂くことを考えていて、
この2つの組み合わせっていうのをある程度意識したデザインでもあります。
確かに、ピッタリですね。
MDR-1AM2に搭載された、新開発ドライバーユニット
ところで、これみよがしにドライバーユニットが置かれているので、音質の話もお伺いしたいと思います。
さり気なーく置きました(笑)。
さり気なーく、ね。
お気付きになられましたか……(笑)。
気付いちゃいました(笑)。
ドライバーの外径自体は『1A』と一緒なんですよね?
そうですね。外径は同一です。
ただ、こちらは新しく開発されたドライバーユニットであるとお伺いしています。
では、パーツを実際に見て頂きましょう。
あッ!? これが……!!
仰る通り、全く同じ径(40mm)で作っております。
ただ、パッと見で全然違うのがお分かり頂けると思います。
まず、グリル(振動板を覆う樹脂のパーツ)から違いますもんね。
そうです。グリルからして異なっています。
『フィボナッチパターングリル』という、2016年に『MDR-Z1R』というフラッグシップモデルに搭載された考え方を、今回のドライバーサイズに落とし込んでいます。
もちろん径が違うので、再設計をしております。
(『1A』と)聴き比べてみても分かるんですけど、フィボナッチパターングリルは開口面積が均一になっておりまして、空気の伝播を阻害しにくい形状なんですね。
高音域が良くなったひとつの理由でもあります。
なるほど。
あと、それに加えて。
ちょっとわかりづらいんですけど、振動板の形状が違うのがおわかりですか?
形状が違う……?
……あ、ホントだ! ドームが大きく出ている……のかな。
わかりづらいので、切っちゃいますね(グリルを切断しながら)。
うん。壊しちゃおうか。
!?
だ、大丈夫なんですか、それ。
もちろん大丈夫です!(グリルを切断しながら)
……はい、これで見比べると分かりやすいと思います。
た……確かにめちゃめちゃ分かりやすい。
ドーム部(振動板中央の円の部分)が凸になっているのが『1AM2』の振動板の特徴です。
高音域をよりスムーズにナチュラルに出すために、ドームの形状を高くしてるんです。
中心部を高くする直接的な目的としては、剛性のためです。ドームの材料や形状で剛性を上げると、高音域の感度が上がりますから。
ゆがまなくなるということですね。
そのように振動板の形状を変えた上で、さらにグリルの違いで音が変化しているということでしょうか。
そうなんです。
特にグリルは超高音域の方にも効いてくるので、その辺りの特性を良くするためにこの形状を使っているということもあり、それぞれの良さをかけ合わせているところがポイントとなっております。
この高さのあるドームは、結構作るのに苦労しました。
さらに、ドームの形状に合わせて、グリルも高くしているので。組み込むうえでも結構難しくなっています。
そうですよね。
デザインとしてスリムにしているのに、高さを上げてしまうと干渉してしまいそうですし。
筐体側としては、ちょっと辛いところだったんですけど(笑)。
なんとか上手く収められました。
音に妥協をしないことが、我々がやらなければいけないところですから。
ちなみに、ハウジングの内側の樹脂も、より音響効果に優れた制振樹脂に変更されています。
以前にも『XBA-N3』の筐体で使用したことがある素材ですが、ソニーのオーバーヘッドバンドタイプで使用するのは初ではないかと思います。
この素材を使うことによって、中音から低音のところがクリアになったと言えます。ここも進化ですね。
一見するとスタイリッシュな印象を受けるデザインですが、その裏側には大変な工夫や進化が詰め込まれていたんですね……。
この『デザインをスリムにする』というのは、やはりデザイナーさん中心の意見だったのでしょうか?
モデルのキックオフの段階で、このヘッドホンはどうあるべき、というのは割と明確だったので。
音はもちろん進化しましょう、装着性も進化させましょう、デザインは現代にマッチさせるようにしましょう、という、それぞれの担当の軸はブレていませんでしたから。
デザイナーが周りの意見を押し切って……、というようなことはありませんでした(笑)。
自然と作れた感じですよね。みんなもう、やることが分かっていたので。
ただ、一般的にハウジングが小さくなっているのを見て、『スペックダウンしたんじゃないか』とか『小さいってことは低音も出ないのか』というようなイメージはあるかもしれません。
もちろん小さくなることで不利になるところもあるんですけども、現在はシミュレーション技術の進歩に加えて、職人技というか、アナログな技術の進歩もあるので。更に精密な調整が出来るようになってるんです。
なので、小さくしつつ音質を向上させることが出来たというのが、今回の大きなポイントですね。従来と同じ大きさでやっても、モデルとしてインパクトがないので。
小さくするということもやりたかったし、かつそれで音が良くなるという確信があって進められたというのは、間違いなく有りました。
MDR-1AM2の開発で最も苦労したポイントとは?
さて、ここまで大変多くに及ぶ変更点についてお伺いしました。
正直な話、この中で一番苦労したポイントはどこでしたか?
僕はですね……正直、各部品に結構な苦労をしてるんですけど(笑)。
やっぱりこの『人に触れる部分』ですかね。
装着感や感触の部分は最後まで調整が続いて、かなり苦労しました。
硬い部品はシミュレーションで見積もれますし、ある程度自分たちの設計した通りに出るんですけど、柔らかい部分は作ってみないとわからない部分もあります。
何回か試作をしてみて、何人かに評価してもらって……。検証と評価と改良と、回数が多かったのはイヤーパッドとヘッドクッション。この2つはかなり苦労しましたね。
ヘッドクッションって、横幅が『1A』と比べてスリムになったこと以外にも、変化はあるのでしょうか?
ちょっと細かい話ですけど、頭に触れた時、均等に当たるようなカーブ。ここはかなり苦労しました。
では、このヘッドバンドは幅だけでなく、カーブも微妙に変化している?
そうですね。
もちろん『1A』自体も良いモデルなので、どの人が着けても、だいたい良いんですけど。
例えば80%の人が『良い』って思っていたとしたら、それを85%くらいまで上げる、というような設計思想です。
ちょっとしたカーブとか、ウレタンの潰し方みたいなところで、より多くの人が快適だと感じていただけるよう工夫しています。
この数字は、あくまで例えですけどね(笑)。
やはり幅広く使って頂けるようなヘッドホンだけに、そのあたりのコダワリは大変な苦労があるんですね……。
では、私の方から音質面について。
この『1AM2』は、先ほども申し上げたように、技術の進化と職人技の進化が最大限に掛け合わさっているモデルといえます。
例えば10年ほど前の開発であればシミュレーション技術が現在ほど発達しておらず、ある意味職人技だけでやっていたところもあったかと思います。
それに対して現在は、シミュレーション技術、職人技それぞれが進化しています。
ただ、それを両立して、最大限に高めるというところが、やはり一番大変になってくるんです。
シミュレーションだけでパパッとやってしまうようなことも出来ないし、従来のように中身を開けて音をちょっといじるだけでもいけない。
掛け算のように組み合わさってくるので、やる作業としては非常に膨大になってきていて。そこが作業量としては特に大変でした。
形状なども、シミュレーションをして最初の取っ掛かりを作ります。
しかし、もちろんそれだけじゃ駄目なんです。シミュレーションや測定だけでは、音の良し悪しというのは完全には把握できませんから。
何よりも大事なのは、やはり人間がちゃんと聴いて評価することなんですね。
なので、シミュレーションで導き出された答えだけでなく、従来の経験と自分の調整技を組み合わせていく、というのを何度も回していくのが、作業量としてはかなり大変でした。
やはりどちらも並々ならぬ努力がかけられているのですね……。
MDR-1AM2をどのようなユーザーに届けたいか
そういった研究の末に生まれた『MDR-1AM2』。
ソニーのセンターに位置するヘッドホンということで、あえてシビアにターゲットを絞ることもないのだとは思いますが。
特に『こんなユーザーさんに届けたい』というような想いがあれば教えてください。
誰にでも幅広く使って頂けるモデルなので、やはりより多くの方々に使って頂きたいというのが、第一です(笑)。
非常に軽量かつコンパクトになったので、家の中に限らず、外に持ち出して、色んな場所で使ってもらえるといいかなと思います。
私は、あえていうなら、ヘッドホン選びに迷った人。
最近はこの価格帯のヘッドホンも少なくなく、特にe☆イヤホンさんなんてラインナップが凄いじゃないですか。
ズラッと並んでいるのを見て『ううん、どれを買ったら良いんだろう……?』なんて。
ありがとうございます(笑)。
そんな中で、何も言わなくても『これはオススメできますよ』というヘッドホンだと思うので。
『とりあえずトライしてみて』と、提案したいモデルです。
王道なヘッドホンに仕上がったというのが、担当の想いです。
ぜひ一度、お手に取って頂きたいですね。
おわりに
では、最後に。
実は僕も近いうちに、MDR-1AM2を購入しようと考えているんです。
ありがとうございます。
でも、ブラックとシルバー、どっちにしようか迷っておりまして。
ズバリ、お二人が好きなお色はどちらですか?
あー……!
最後にそれは、良い質問ですね(笑)。
いかがでしょう?
うーん……あえていうなら……。
僕は、個人的な好みで言えば、シルバーかな。
なるほど、なるほど。
では、桑原さんは?
私は、どっちも。
どっちも!
私の中では、本当にピッタリ10点&10点なんです。
あぁ〜! そう来ましたか……!
どちらが優れているでは、ないと。
ないですね。
どっちを着けても、等しく良い。
それ、アリなんだ(笑)。
じゃあ、どっちも、ということで……。け、検討させて頂きます!(笑)
本日はありがとうございました!
以上、SONY『MDR-1AM2』の開発者インタビューでした。
ソニーヘッドホンのセンターたる『MDR-1シリーズ』。
MDR-1AM2はその伝統に最新の技術を以て全力で応えたモデルであることが、おわかり頂けたのではないでしょうか。
改めましてこちらの両機種は、本日3月10日発売です。
この記事を読んで気になった方はぜひぜひ、チェックしてみてくださいね!
最後に、インタビューを記念して読者プレゼントを用意致しました!
今回はなんと……。
本日発売のMDR-1AM2をご用意!!
当選した方には、ブラックかシルバー、お好きなカラーのMDR-1AM2を1台プレゼント致します!
応募方法は以下の通りとなっております。
応募方法
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【開発者インタビュー公開記念】
SONYの新作ヘッドホン『MDR-1AM2』が当たる! RTプレゼント企画の詳細は記事にて!【SONY】生まれ変わった『The Headphone』。 MDR-1AM2開発者・桑原英二氏&横山智優氏インタビュー! – https://t.co/XgyujUvTw9
締切:3/20 pic.twitter.com/2jNBtypt5M— イヤホン・ヘッドホン専門店e☆イヤホン (@e_earphone) 2018年3月10日
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※第三者へ賞品を転売または譲渡する行為は、理由・目的を問わず一切禁止致します。
募集締め切り:2018年3月20日
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お相手はだいせんせいことクドウでした。それではまた次回。
取材協力:ソニーマーケティング株式会社
※記事中の商品価格・情報は掲載当時の物です。