皆さんおはこんばんちは。
e☆イヤホンのりょう太です!
個人的に高級開放型ヘッドホンの筆頭格だと思っているbeyerdynamic T1 2nd Generation。
の、Astell&Kernコラボバージョンが登場しました。
beyerdynamicとAstell&Kernのコラボはこれが第4弾。
第1弾がA200p(日本未発売)、第2弾がAK T5p、第3弾がAK T8iE、そして今回がAK T1pです。
〜beyerdynamic T1とは〜
beyerdynamic T1は磁束密度1テスラ(10,000ガウス)以上を誇る”テスラテクノロジー”を小さなトランスデューサーに搭載し、従来のヘッドホンの倍以上の能率を誇る高性能ヘッドホンとして2009年に誕生しました。
広いダイナミックレンジと低い歪みで、最高のヘッドホンの一角として名を馳せました。
時は経ち2015年、T1は第二世代が登場。より進化した力強い低音の実現や高周波帯の共鳴抑制やケーブルの品質向上と着脱構造の採用、大幅に改善がされた「進化したT1」として人気を博しています。
T1はドイツのbeyerdynamic本社でハンドメイドで製造されており、その卓越した製造技術で生み出される品質も製品の大きな価値となっています。
〜AK T1pのT1 2ndと違うところ〜
・ポータブルオーディオ用に低インピーダンス化(600Ω→32Ω)
・ケーブルにショートタイプを採用(3m→1.5m)
・3.5mmプラグケーブルに加え2.5mmバランスプラグケーブルも付属
・デザインがちょっとだけ違う
では外観を見ていきましょう。
デザインはT1 2ndに比べ細部が異なっています。ひとつはハウジング中央のAKロゴ。
T1 2ndのケーブルが3mあるのに対して、AK T1pでは1.5mになっています。
初代T1は据え置き機器に接続することを前提とし、プラグが6.3mmの標準プラグでしたが、T1 2ndでは3.5mmミニプラグとなり、標準変換プラグが付属となりました。
AK T1pのプラグについては別途後述しますが、ポータブル機器との接続も容易となりましたので、画像のように手持ちで使いたくなった場合ケーブルの長さの違いはこのようになります。
身長約164cm程度のわたくしが手持ちのプレイヤーにそれぞれ接続した場合、3mだと地面まで垂れてしまいますが、1.5mであればケーブルの折り返しは膝上あたり。
AK T1pの「p」はポータブルを意味するようなので、インピーダンスの低下&ケーブル長の短縮は携帯性を考慮したものとなっています。
自宅でもポータブルプレイヤーで音楽を聴いている方が最近では多いと思いますから、意外と屋内用ヘッドホンでも1.5m前後のケーブル長が使いやすいという需要はあるのではないでしょうか。
個人的にも3mという長さが必要になる場面はあまり思い浮かびませんでした。
もしデスクトップで使う場合、こんな風に卓上にヘッドホンを置くこともあるでしょう。接続しているプレイヤーが卓上の手前側にある場合、3mケーブルだと地面にどっさり折り重なるように接地。大は小を兼ねるとは言うものの、椅子のキャスターや自分の足で踏みそうになったり踏んでしまったりでちょっと気を使わないといけなくなります。
しかし、1.5mだとケーブルは宙に浮いたまま。
ケーブルの長さについては携帯する、外で使う、デスクトップで使う場合は総じて1.5mの方が都合がよく、屋内メインで少し離れた場所の機器(ラックに収めたAVアンプ等)に接続する場合は3mの方がいいかな?と個人的には思いました。
長さが足りない!余り過ぎ!はどちらも使用上ストレスの元になりますので購入時の選択基準にしてもいいかもしれませんね。
AK T1pにはプラグの異なる2本のケーブルが付属しています。
1本は3.5mmステレオミニプラグを備えたもの。T1 2ndに付属しているケーブルをそのまま半分の長さにしたもので、付属の標準変換プラグを使えば標準ジャックを備えた据え置きアンプなどにも接続が可能。
もう1本はAstell&Kernのプレイヤーなどに搭載されている2.5mmバランスプラグを備えたもの。このケーブルはT1 2ndには付属しておらず別売も今の所されていないため実質AK T1p専用ということになります。
ケーブル長はどちらも1.5m。
接続対象により端子を選択できるという付加価値をケーブル着脱式になった構造を生かし獲得しています。
ヘッドホン本体、ケーブルもまとめて収納できる専用ケースが付属。
基本的にはT1 2ndに付属しているものと同じですが、プレートの文字がbeyerdynamicからAstell&Kernに変更されています。
T1は折りたたみなどができないヘッドホンなので、持ち運びの際もこのケースが活躍します。
〜AK T1pとT1 2ndの音の違いは?〜
もろもろ仕様の異なる2機種、音質面での違いでまずは気になる「AK T1pは意図的にAKシグネチャーサウンドにリチューニングしているか」については「チューニングは変えていない」とのことでした。
とは言えインピーダンスがオリジナルは600Ω、AK T1pは32Ωと結構な差があります。それぞれを同じ機器に接続すれば音量のとれ方が違うわけですから、ボリュームの設定やゲインの調整が必要になります。インピーダンス違いによる体感上の音質差はこういうところからも生まれます。
しかし大事なのは、インピーダンスは想定される仕様環境に合わせて設定されるものであるはずなので、従来のT1 2ndは高出力な据え置き機器に、AK T1pについてはポータブル機器に接続することを想定してインピーダンスの設定がされているので、それが音質の変更を目的としているものでないことは理解しておかなければいけません。もし、「T1がほしい」と思った場合は、単純に「どんな環境で使用するか」を想定して選定するのが正解です。
例えば自宅でUSB-DACやヘッドホンアンプ、AVアンプなどに接続してゆったりと聴き込みたい方はT1 2ndを。
ポータブルプレイヤーやスマホ、Astell&Kernのプレイヤーやポタアンを屋内外問わず使っている方、流石に電車や雑踏では難しいですがたまには公園など屋外で高音質な開放型ヘッドホンを使用するのも粋なものだ、そんな風にお思いの方にはAK T1pがおすすめです。
個人的には後者。しかも第一世代T1の頃から「これは最高にクールなヘッドホンだ」と評してきた自分としては、AK T1pの存在は正に天啓の如し。心がグラグラ。
〜AK T1pとT1 2ndの価格差〜
価格差については現状(2015年12月現在)ポイントなども加味するとAK T1pの方がT1 2ndに対して約15,000円プラスといった価格差になっています。これを大きいと思うか小さいと思うかは人それぞれですが、AK T1pにはケーブルが二本付属していることを加味すると価格差が埋まって感じられます。
特に2.5mmバランス端子を搭載したAKプレイヤー/アンプ等を持っている方であればすぐにバランス化できることを考えるとその価格差はバランスケーブルの価値で埋めて余りあるものだと思います。
選択はあくまでも適材適所。前述の通りどのように使用するかによりますので、適宜ご自身の仕様環境にあわせてお選びください。
〜AK T1pの音質〜
AK380+AK380AMPのセット(記事冒頭の画像)で聴いてみました。
32Ωに音圧感度102dBなのでけっこう音量がとりやすいため、380AMPのゲイン設定はローゲインにしました。ちなみにハイゲインにすると音量を上げた際に高音が歪む印象があったため、380AMPでAK T1pを聴く場合はローゲインがオススメです。
聴くととにかく心躍る、多幸感が生まれるサウンドです。これはもともと自分がT1の音が好きだということもありますが、「音楽をいい音で聴くのってやっぱり幸せだー!」って、頭の中にそんなイメージが広がっていきました。
完全な開放型とも、完全な密閉型とも異なる半密閉型ならではのいいとこ取りなバランス。音の抜けと迫力のバランスが絶妙です。新旧T1を聴くたび「贅沢な音だなぁ」とため息混じりで口にしてしまいます。
頭の左右から前方に向かってサウンドステージが非常に広く、響き方もナチュラル。
高音は少し華美で艶っぽい表現をしますが、作り物っぽさはあまりなく、本来の音の生々しさを表現する能力が極めて高いと感じさせます。
ボーカルの生々しさもゾクゾクするほど。声だけでなく、音源に含まれるボーカリストが発する様々な音的情報が再現されてしまいます。リアルすぎる…と楽曲の世界観にどっぷり浸かれます。
低音は半開放とは言えバラけすぎたり滲んでしまわないのがポイント。半開放型にしてはタイトでキレの良い鳴り方。ドラムスやパーカッションのアタックから響きに至るまでリアルで隙のない表現。なんでしょう、自分の中で理想的すぎる鳴り方です。
最初、380AMPのハイゲインでずっと聴いていたため、度々高音域の歪みを感じていたのですが、ローゲインにしてからは見違える、いや聴き違えるほど隙のないサウンドになりました。
これはどんなイヤホン・ヘッドホンを選ぶ時にも言えることですが、やはり前述の通り「適切な環境」で使うのが吉です。
ここまで高価なヘッドホンを試聴、購入する方ならば、どこまでも音質を追求するのももちろんのこと、スマホ直、DAP直といったややカジュアルな使い方でも想像以上の音質を発揮してくれるのがAK T1pの良い所。
良い音は聴きたいけど、今あるDAPやポータブルのシステムを徹底的に使い倒したい方にぴったりなヘッドホンではないでしょうか。