今日は日本が誇るイヤホンブランド「final」の発表会にお邪魔しています!
finalの森さんが進行で、発表会が始まりました。
finalとDITA確たる世界観を持つ2社のコラボレーションが実現した背景
finalとDITAがコラボした理由は、非常に良好な関係があること。
finalもDITAもどちらもイヤホンブランドで、ライバルにもあたる企業同士ですが、共通点が多くあったそうです。
市場にない新しいものづくりへのチャレンジ
市場のトレンドを組み合わせて製品をつくることもできますが、finalとDITAは市場にはまだ無い新しいものをつくるということにチャレンジをするブランドです。そのため、製品細部まで妥協すること無く、一切の白紙から自社で研究開発をすることを前提に製品を作るので、設計の自由度の高いダイナミックドライバーを多くのモデルで採用しています。
例えば、final D8000は自社で開発したAFDSという新しい機構を搭載した平面磁界型ドライバーを搭載したヘッドホンですし、DITA Dreamは、当時20万円を超えるハイエンドイヤホンの先駆けでした。
「面白い」かどうかを大事にしていること
「面白い」かどうかというところが、かなりモノづくりのベースになっています。
素材にこだわり加工技術までも開発してしまうこと
finalとDITAは、イヤホンをオーディオ機器としてだけでなく、モノとして道具として、所有したときや手にしたときに満たされる感覚もとても大切にしています。そのため、素材やそのデザインを実現するための加工方法も研究開発をするという共通点もあります。
例えばfinalのLAB2は3Dプリンタによる非常に複雑なチタン筐体を製造、Project71は真鍮とマカッサルエボニーという木材を交互に組み合わせたデザイン、DreamXLSはチタンの切削・磨きはもちろん、高級時計にも使用されるサファイアガラスをイヤホン本体に使用しています。BシリーズはMIM(メタルインジェクションモールディング)という技術を使用して、硬いステンレスでありながら、外形・内部ともに複雑な成形が可能です。
信頼関係とものづくりに対する共通した考え方
このように両社に信頼関係と共通点があったので、今回のような奇跡的ともいえるコラボ製品が生まれました。
やはり一番は「正直な関係」あとは「面白いことが好き」というところが、今回のコラボに結びついた要因だそう。
2015年からfinalの東アジアの代理店としてDITAを紹介してもらいました。その頃から、理念が非常に近いので、話がとても合い、すぐに仲良くなったそうです。このあたりから、どうも細尾社長とDanny社長さんとの間で、なにか作りたいねって話はあったようです。ただ、お互い自社製品の開発で忙しく、なかなかタイミングが合いませんでした。
2019年の頭に、両社のフラッグシップの試作機が同じタイミングで出てきました。細尾社長とDanny社長は嬉しそうに、互いに自信作を相手に送って、交換していたそうです。そして、この互いのフラッグシップ機を交換した結果、どちらもとても気に入り、これがSHICHIKU.KANGENの始まりに繋がっていったそうです。
SHICHIKU.KANGEN -糸竹管弦-
SHICHIKU.KANGEN -糸竹管弦-
製品名の由来
糸・弦 糸や弦に刺激を与え、弦の振動を利用して音を出す楽器類
竹・管 竹や管の中の空気の振動を利用して音を出す楽器類
糸竹管弦 音楽や楽器の総称として用いられた古語
伝統技術「沈金」とは
・中国で生まれ日本で培われた伝統技法
・漆器の表面などに模様を彫り、漆を摺り込み、金箔や金粉を塗り重ねる装飾技法
・金が漆に沈んでいくことで、美しい模様が浮かび上がるため、「沈金」と呼ばれる
・手作業で行なわれるので、一つ一つの製品の表情は異なる
最新のテクノロジーと融合した新しい「沈金」
・筐体は硬度の高いステンレス
・溝幅が0.1mmと細く、ドリルによる切削は不可能
・溶剤で溶かすエッチングという技術があるが、立体物の表面に対して均等に施すことは非常に難しい
・特殊な加工技術を新しく開発
新しいドライバーの開発
・トゥルーベリリウム振動板を採用
・ボイスコイルからの引き出し線と振動板との接着方法を新たに開発
・創業より複雑な樹脂成形や加工を得意としていたDITAのノウハウを生かし、接着方法も新開発
・ボイスコイルの線材や内部配線は、標準ケーブルであるOSLOケーブル Gen.SKに最適なものを新たに選定
新しいケーブルの開発
・製品の性能を最大限に引き出す専用設計
・芯の太さ、芯線の数、芯線の編み方、被膜の厚みなど数十パターンの様々な組み合わせを試作
SHICHIKU.KANGEN -糸竹管弦-のサウンド
楽器の胴が鳴るような柔らかく深い低域と
目の前でボーカルが歌うような鮮やかに響く
中高域が特長のサウンド。
スタッフと試聴してみました。
手に持った時の高級感が非常に高く、見るからに手が込んでいるのを感じます。A8000同様に、本体に重量感がありますが、装着感が良いのであまり重量感は気になりませんでした。
DITAのAWESOME PLUGで、3.5mm、2.5mm、4.4mmのプラグ交換が可能なのも良いですね。SP2000CPで試聴しましたが、A8000のナチュラルさはそのままに、音の余韻がより印象的で、響きをとても重視して作られている様に感じました。特にストリングスとの相性は特筆すべきものがあります。低域の量感はA8000同様に、ここ最近のイヤホンと比較すると控えめな印象です。また、A8000よりも音の輪郭がはっきりしている様に感じました。A8000はオールマイティーにポテンシャルの高いイヤホンですが、SHICHIKU.KANGEN-糸竹管弦-は、より個性を持たせたイヤホンの様に思いました。とにかく聴いていて気持ちが良く、気が付けばずっと聴いているような、感性に響く魅力的なイヤホンでした!
スペック
筐体:ステンレス
仕上げ:呂色鏡面仕上/沈金麻の葉文様
ドライバー:ダイナミック型(トウルーベリリウムドライバーGen.SK)
ケーブル:OSLOケーブル Gen.SK
コネクター:MMCX 感度: 99dB/mw
インピーダンス:16Q
重量 :47g
コード長 :1.2m
販売予定価格:298,000円(税込)
発売日:2021年2月下旬予定
限定数量:500台
以上、たっくんでした!
PS.糸竹管弦ほしい…
イヤホン・ヘッドホン専門店「e☆イヤホン」社長のたっくんこと岡田卓也です。
元々イヤホンが趣味で、e☆イヤホンのお客の一人でしたが、2010年にe☆イヤホンにアルバイト入社し、早いもので十数年。気が付いたら社長として働くことに。
社長になる前は、TBS『マツコの知らない世界』に3回出演するなど、主に広報などPR関連の仕事をしていました。
カスタムIEM「VISIONEARS ELYSIUM」と、モニターヘッドホン「AUDEZE LCD-XC 2021」がお気に入りです。