コラボDAP&イヤホン発売記念! MAGES.の皆さんにインタビューしました。

 


 

 

だいせんせいです。

 

先日発表された、オンキヨー&パイオニアと『STEINS;GATE』のコラボモデルはもうご覧になりましたか?

 

【6/29まで予約受付延長!】オンキヨーパイオニアより『STEINS;GATE』のコラボDAP&イヤホンが発売決定!

 

ONKYOのコンパクトDAP『DP-S1A』、Pioneerのハイレゾ対応イヤホン『SE-CH9T』が、名作ADV『STEINS;GATE』とまさかのコラボレーション

外装デザインからUIに至るまでこだわって作られたコラボモデルに、皆様も注目されていることと思います。

 

今回はそんなコラボモデルのお話を聞くべく、『STEINS;GATE』の開発・販売元である株式会社MAGES.より、代表取締役会長の志倉千代丸氏、プロデューサーの松原達也氏、コンポーザーの阿保剛氏の3名にインタビューをさせて頂きました。

 

 

 

 

 


 

――本日はよろしくお願いいたします。まずは、皆様から簡単な自己紹介を頂いてもよろしいでしょうか。

 

 

阿保 MAGES.の阿保と申します。主にゲームのBGM、効果音等を担当しております。

 

 

松原 MAGES.の松原です。『STEINS;GATE』を始めとする『科学アドベンチャーシリーズ』のプロデューサーをやっています。最近はこういったコラボモデルのデザイン等もやらせて頂いています。

 

 

志倉 こうやってね、松原は『色んなことやってる感』をアピールするんです。エンドクレジットで同じ名前があちこちに出てきたりして。肩書きは、一個にまとめろと!

 

 

松原 いやいやいや、そこはアピールしてかないと(笑)。

 

 

志倉 ええと、こういうすぐ調子に乗るスタッフをパトロールするかたわらで物語の原作となる0〜1のプロット……いや、最近は0〜3くらいまではやってるかな? という事で原作者の志倉千代丸です。

 

 

――ありがとうございます(笑)。

 

 

 

コラボモデルに触れて

 

――今回は『STEINS;GATE』のコラボDAP(音楽プレイヤー)とイヤホンが発売される記念ということで、皆様にお話をお聞きしていきたいと思います。早速ですが、このコラボモデルの第一印象はいかがでしたか?

 

 

松原 実はハイレゾ対応プレイヤーという物を初めて触ったんですが、(従来の音楽プレイヤーと)全然違いますね。同じ曲を聴いても「こんな音鳴ってた?」って感じるほど、聴こえなかったパートが明確に聴こえたりとか。

 

 

阿保 私は最初、3.5mmのステレオミニの方で聴いていたんです。でも、しばらく聴いたあとに2.5mmのバランス接続端子の方に切り替えてみると、遥かにこっちのほうが聴きやすくて。『最初からこっちにしておけばよかったな』と思ってしまうほど、違いを感じましたね。

 

 

志倉 スペックの話でいうと、MQA(ハイレゾ音源の形式のひとつ。独自の可逆圧縮技術により、ファイルサイズが小さいのが特徴)をいち早く取り入れているのが良いですね。

ハイレゾであってデータ量が小さいっていうのは、これからのハイレゾシーンに大きく関わってくる要素なので。MQA非対応の製品が多い中で、ガジェットとしてのアドバンテージは大きいと思います。

……ちょっと長くなりますけど、この『ハイレゾ』について深く話しても良いですか?

 

 

――ぜひ、お願いします!

 

 

志倉 ハイレゾ音源って、セッションが始まった段階で何kHzだったかっていうことと、ミックスダウンした時に何kHzにしたのかっていうことが重要で。

スタートから完成までの間で一瞬でもサンプリングレートを落としていたら、それはもうアウト。「一回落としたけど、そのあとハイサンプリングしたからセーフ!」っていう問題ではないんですね。

そういう嘘は絶対にダメで、そこで嘘をつき続けちゃうと、ハイレゾの面白さが無くなっていくだろうと思っているんですよ。

 

 

――最終的にハイレゾのクオリティになってればOK、というわけにはいかないと。

 

 

志倉 一回どこかで(レートが)落ちたらもうおしまいなので、どこの経路も、どのプラグインも、96kHzのセッションだったら96kHzに対応させないとダメ。

そうしないと本当の意味でのハイレゾじゃないというか、せっかくハイサンプリングされたものが途中で半分になっちゃったりすると、そのあと上げたところで意味がないですから。

 

実際に96kHzで生音……例えばボーカルとか、ノイジーな歪んでるギターとかを録ったりするんですよ。

96kHzのセッションで録るってことは、それらが全て96kHzとして進行していくわけです。

最後に、ハイレゾ音源ならハイレゾのまま、CDの場合は16bitの44.1kHzで、っていうふうにコンバートするわけですけど。

 

 

そうして聴き比べてみると、CDとハイレゾは全く別物なんですね。特にスタジオの環境で聴くと、またぜんぜん違うし。

そのスタジオの環境で聴いたのが、ほぼそのままコンシューマーで再現されるっていうのが、僕たちがずっとやりたかったことで。

スタジオで聴いてて『もう、このままの音を届けたいのに!』みたいな。なんなら『MP3って……』ってガッカリするくらい、凄い落差があったんです。

 

そういうところも含めて、スタジオで意図していた音をそのままお届け出来るっていう時代がやっと来たんだな、と感じます。

『時代が追いついた感』は、このガジェットで強く感じましたね。

 

 

――ハイレゾプレイヤー自体が盛り上がってきたのが2012年くらいからですが、それからもう6年が経過して、業界も変わってきています。このDP-S1Aという機種も、比較的お手頃な価格でお手にとって頂けるプレイヤーになっていますが、それでもここまでのスペックを実現できる時代になったというのも、大きいポイントですね。

 

 

志倉 その流れでいくと、デジタルの性能は今後もどんどん進化が続くと思います。

ビット深度も、人間の可聴範囲で考えたら、現状の24bitですでに充分な領域に来ているんです。

あとはもう、サンプリングレートに関しても、すべてが192kHzの世界になるのはもうすぐそこなんですね。

 

志倉千代丸 氏

 

いざそうなった時に、ガジェットは進化するんですけど、僕ら人間は進化出来ませんから。

それ以上の進化があっても、僕らプロですら聴き分けることが出来ない世界になってくるので。もう、人間に追いついちゃったんです。

そういう時代に突入しているんですよね。あとはもう、人間を進化させるしかないと(笑)。

 

 

――なるほど(笑)。それほどに、スペックとしても進化してきているDP-S1Aですが、ひとつの端末としても使い勝手に優れていると思います。実際に手に持ってみた印象としてはいかがでしょうか?

 

 

志倉 使い勝手は、めちゃめちゃいいですよ。マニュアルを見なくても使い方がわかる。パッと見で触れるわかりやすさが良いですね。

 

 

阿保 ちょっと重さはあるんですけど、カバンに入れておいたらそんなに気にならない大きさなので、普通の音楽プレイヤーと同じ感じで使えますね。

イヤホンに関して言うと、コードが擦れる音があんまり無いのが良いですね。じっくり聴きたい派なので、こういうわずかなノイズが無いのは聴きやすいです。

 

阿保剛 氏

 

 

松原 プレイヤーとしての操作感は非常に軽くて、結構使いやすいです。ただ、確かに阿保の言う通り、ちょっと重い感じはあります。未来ガジェット感はありますけどね(笑)。バンパーとかが金属製なのも、ガッシリしていて良いですね。

あと、microSDカードスロットが2つあるのがさり気なく便利だと思いました。

 

 

 

プリインストールのライブ音源について

 

――今回のコラボモデルには『科学アドベンチャーライブ2018』のライブ音源がハイレゾでプリインストールされています。まずはこちらのイベントについてお伺いしてもよろしいでしょうか。

 

 

松原 科学アドベンチャーシリーズを中心とした関連アーティストが出演するイベントです。

今までは『Live5pb.』という科学アドベンチャーシリーズ以外も含めた総合的なライブをやっていたんですが、シリーズの楽曲が増えてきたというのもあって、シリーズオンリーのライブイベントをやろうというお話になりまして。おかげさまで今年で2回目ということになります。

 

 

――ハイレゾ音源が最初から収録されており、しかも人気イベントのライブ音源となると、ファンの皆様の期待も高まっているのではないでしょうか。

 

 

志倉 現場がどういうふうにハイレゾで収録したのか、気になりますね。

ライブ音源って、いわゆるマイクかぶりがあるんですよ。歌い手のマイクが、後ろのバンドの音を拾っちゃう。

なので、ボーカルだけピッチを直そうとすると、後ろでかぶっている部分にまで影響があるので、そんなに自在に修正することは出来ないんです。

 

ただ、いとうかなこやZweiなど科学シリーズを代表する歌い手に関しては、ステージ上で歌っていてもピッチはそれほど揺れないんですね。

ピッチもリズムも、凄く良いんです。

 

 

――修正を加える必要が殆ど無いということですね……!

 

 

志倉 ライブ音源ですから、会場の音も背景に入ってきているはずです。そういう臨場感も含めてライブ音源ならではのポイントになってくるので、そのままの空気感というのは重要ですね。

あと何より、ライブ音源は生音率が高いんですよ。バンドサウンドなので、ドラムやギター、ベースあたりにもプラスの影響があるわけです。

だから全体として、こういうライブ音源におけるハイレゾの意味って大きいだろうな、という気はします。

 

 

 

『STEINS;GATE』と音楽

 

――志倉さんは各作品のシナリオやディレクションを手がける一方で、主題歌などの多くの楽曲で作詞・作曲も手がけておられ、そちらも大変高い人気を博しています。STEINS;GATEにおける『音楽』は、どのような側面があるのでしょうか。

 

 

志倉 STEINS;GATEって基本的には、いわゆる『音楽をテーマにした作品』ではないんですよ。

タイムトラベルやタイムリープといった要素に加えて、今までのタイムトラベルモノに無かった『Dメール』というものも出てきて、要するに『全部入り』なんです。

その全部入りの要素のひとつひとつは、『時間を変える』『世界線を変える』ということを含めて、基本的には同じロジックで出来ています。

 

 

そういったシュタゲ内の設定の中で一番大きな物って、実は脳科学の分野で、『脳のデータ化』なんです。これが無かったら、シュタゲ内で語られるDメールやタイムリープというのは、そもそも存在しなかった。

だから、一見すると『タイムリープ物でしょ?』『タイムトラベル物でしょ?』って思われがちなんですけど、実は人間由来の脳科学が重要で。牧瀬紅莉栖の設定がまさにそうなんですけど、そこに焦点を当てているということが、シュタゲにおいては一番大きいんです。

 

でもその一方で、僕は作家としてある意味、STEINS;GATEはひとつの『音楽をテーマにした作品』でもあると思っているんですね。

 

 

――ちょっと、意外ですね。僕も正直、『タイムリープ物』というようなイメージが強いです。

 

 

志倉 これがなぜかというと、僕が作っている科学アドベンチャーシリーズって音楽の中に伏線のワードを入れることが多くて、志倉千代丸楽曲は『ネタバレソング』って言われがちなんですけど。

しかし、その伏線の回収は本編をやらないと絶対に回収が出来ないから。むしろ「音楽だけ聴いてネタバレ? 出来るもんならやってみて!」って感じなんですよ。まぁそれくらい絶対に無理なんです。

そういう意味で、音楽と作品がひとつになっている、という見方をしてもらえるとすごく喜びます。作品とスタッフと僕が(笑)。

 

なので科学アドベンチャー全般がそうなんですけど、とにかく音楽との親和性を高めたいという気持ちは常に持っています。

音楽を聴いた時に、その音楽の先にキャラクターが見えてきたり、シーンが見えてきたり、それがJ-POPとは違う、アニソンやゲームソングだけが持つ強みだと思うので。

だからその意味で、僕の中では『音楽をテーマにした作品』とも捉えていますね。特に、『STEINS;GATE』に関しては。

 

 

 

おわりに

 

――それでは、この記事をご覧の方々へメッセージをお願い致します。

 

 

阿保 ちょうど今、『STEINS;GATE 0』のアニメが放送しています。『0』から入った人の中には、初代の方はまだ知らないという方もいらっしゃると思いますが、今回のコラボモデルはそんな皆さんにも注目されていると思います。

新作アニメから興味を持たれた方も、原作から知っている方も、今回のコラボでハイレゾの世界を知るという方が少なくないと思いますので。ハイレゾの世界を楽しんで頂ける入り口になれたら嬉しいですね。

e-onkyoさんの方でも関連楽曲が色々配信されているので、それらもご購入頂けたらパーフェクトだと思います(笑)。

 

 

松原 僕は最初にも話しました通り、ハイレゾがほぼ未体験だったんですね。阿保さんのスタジオに行って、一回ハイレゾ盤をスピーカーで聴かせてもらったことがある程度。

そういう僕も、今回のモデルをしばらくいじってたんですけど、Wi-Fiとかの便利な機能も付いていて、e-onkyoさんのサイトから直接ハイレゾ音源がダウンロード出来たりとか、もう至れり尽くせりになっていて。

今はこんな感じなのかと、とても感心したんです。

 

松原達也 氏

 

実は、ハイレゾ以前のオーディオプレイヤーは結構買っていたんですよ。でも、そんなに音も聴き分けられないかと思って、最近はスマホにイヤホンを挿して満足していたんですけど。今回このガジェットをお借りして聴いてみたら、やっぱりぜんぜん違うわ、と。

これを『STEINS;GATE』で実現させて頂いたというのも嬉しくて。ファンの方も、シュタゲきっかけでこの良さを知って頂けると嬉しいですし。

今後の『0』の楽曲はCDとハイレゾが同時に配信されたりとか、うちも積極的にハイレゾをバンバン行くと思いますので。この機械を使って楽しんで頂けると、僕らも嬉しいです。

 

 

志倉 先程も言いましたけど、24bitの恩恵って、物凄い大きいんですよ。

16bitだとダイナミックレンジが6万段階くらいなのが、24bitで行ったら1677万段階くらい。もう、その上になってくるともっと凄いし。サンプリングレートにしても、192kHzとかになってきたら、「もうお前にはわからないぞ」っていう世界のはず。

でも実際に聴いてみると、どこかに違いが出てくるんですよね。そのへんは本当にこう、自分という人間を試す意味でも楽しんでもらいたいし、自分の探求というような意味でもハイレゾってめちゃめちゃ面白いんです。もう、「今まで聴いてたものってなんだったんだ?」というくらいのインパクトがあるので。

 

ぜひ、ファンの皆さんもこのフューチャーガジェットを手に取って、そんな『未来』を楽しんで頂ければと思います。

 

 

――ありがとうございました。

 

 

 


 

MAGES.の皆さん、ありがとうございました。

 

今回ご紹介した『DP-S1A S;G』『SE-CH9T S;G』は、e☆イヤホンにて好評予約受付中です。

 

 

予約受付は6月25日(月)20:00までと迫っております!

ご好評につき、予約受付が6月29日(金)20:00まで延長となりました!

ご予約を検討されている方は、お買い逃しのないようお願いいたします!

 

 

 

お相手はだいせんせいことクドウでした。それではまた次回。


 

【取材協力】

株式会社MAGES.

オンキヨー株式会社

 

※記事中の商品価格・情報は掲載当時の物です。