MONACAの作曲家・田中秀和さんにCHORD Hugo2についてインタビュー!
だいせんせいです。
今回はF丸さん(株式会社アユートの名物営業マンの一人)にお越し頂いております。

aiutoのF丸さん
お世話になります。
今回はこちらの『Hugo2』のインタビュー記事を企画しております。
価格にして27万円弱、超弩級のポータブルヘッドホンアンプですね……。
かなりの見識がある方に使って頂かないと、なかなかその魅力をお届けしきれないかもしれません。
そうなんです。
なので、例えば作曲家の方であったりとか、音に携わるプロの方にお試し頂くのがいいのではないかと思いまして……。
では、MONACAの田中秀和さんはいかがでしょうか?
!?
MONACAの田中秀和さんはいかがでしょうか!??!?
(2回言った!)
e☆イヤホンweb本店スタッフでMONACAの大ファンのマークさん!?
いつの間に!
こんばんWUG。
いかがでしょうか。
確かに田中さんであれば、実際にHugo2をお使い頂いている方ですし、ピッタリかもしれませんね。
でしょ? 僕、電話しておきますんで!
いや、ちょっ……。
スッ……
バッ
Start It Up,
スッ……
なんだったの?
後日 MONACAスタジオ
そんなわけで、やって来たるは憧れのMONACA本社!
めちゃくちゃな勢いのインタビュー依頼に快く応じてくれたのは……。
MONACA所属の作編曲家……
田中秀和さんです!!
田中秀和 Hidekazu Tanaka
作曲家・編曲家
大阪府出身。
神戸大学発達科学部人間表現学科卒業。
神前暁のアシスタント募集をきっかけに、2010年春よりモナカへ参加。
この度はご快諾ありがとうございます。
よろしくお願いいたします!
こちらこそ、よろしくお願いいたします。
僕も田中さんの楽曲のファンなんですが、何より弊社のマークが極めつけの大ファンなんです。
ね、マークさん?
……え! あっ、そりゃもう!
めちゃめちゃ緊張している……。
緊張と興奮のインタビューの始まりです。
田中さんと作曲について
MONACAで作編曲家として活動されている田中さんへのインタビューということで、まずはその『作曲』という部分から聞いていきたいと思います。
田中さんが作曲を始めたきっかけというのは、どういったものだったのでしょうか?
確か、小学校に入るか入らないか、くらいの時だったんですけど。
自分には2つ上の姉がいて、その姉がピアノを習い始めたんですね。
それを見て「僕もピアノをやりたい」と親に言ったらしくて。
それが多分、一番最初に音楽に興味を持ったきっかけだと思います。
で、まあ、ピアノのレッスンって「来週までにこの曲を練習してきなさい」みたいな形が多いと思うんですけど、そういう練習が僕は凄く嫌いで(笑)。
それよりも、家にあった練習用の電子キーボードの録音機能で遊ぶのが好きだったんです。自分の好きなように弾いて、録音したものを後で聴いて、「ここをもっとこうしよう」みたいな試行錯誤を繰り返す、っていうことを遊びとしてやっていて。
それが一番最初の「音楽を作る」という原体験でしたね。
そんなに小さな頃から!
そうですね。
そして、中学に入ったくらいでゆずさんに憧れて、アコギを始めて。
その時も、ゆずさんのコピーをしながら「自分で曲を作りたい、ゆずみたいな曲を作りたい」って思って、ノートに歌詞を書いて、コードを打って、みたいなことをしたり。
あと、いわゆるDTM。打ち込みを始めたのも、ちょうど同じくらいの時期ですね。
昔、『らくらく作曲名人』っていうソフトがありまして。ヤマハさんが出してたソフトなんですけど。
例えば鼻歌を歌ったら、それを認識してMIDIに落とし込んでくれて、なんなら、ちょっとしたコード進行を付けてくれるような機能もあって。
そんなソフトがテレビで紹介されているのを見て、凄く欲しくなって、お年玉とかを貯めて買いました。それから打ち込みを続けてきた、って感じです。
じゃあ、根本的に、作曲する側に関心があったんですね。
そうかもしれないですね。
ゆずさんの楽曲とかも、聴くのと同時に「彼らはどんな気持ちでどんな風に作ったんだろう」って、そっちの方に凄く興味がありましたから。
なるほど。
最初からめちゃめちゃクリエイターの精神ですね……。
田中さんとポータブルオーディオ
田中さんが作曲を始めた頃にはもう、『ポータブルオーディオ』というものがある程度周りにあったかと思います。
加えて、最近はスマートフォンの普及なども手伝って、今まで以上に手軽に音楽が聴ける時代が来ていますよね。
作曲の段階でポータブルオーディオを意識することはありますか?
もちろん、考えます!
僕が中学生や高校生くらいの時には、まだスマートフォンとかは無かったけど、『iPod』がちょうど出てきた時くらいなのかな。
MDプレイヤーとか、すっごい使ってました。毎日のように通学で聴いたりとか。
だから、僕が十代の頃、音楽的な感性を一番培った時期にどういう形で音楽を聴いてきたかっていうと、やっぱりポータブルの形なんですよね。
なので「自分が作った音楽を若い子たちがどうやって聴くんだろう」って考えた時に、今だったらスマートフォンとか、オーディオプレイヤーとかがあるわけで。
聴き手の人がどういう環境でこの音楽をチョイスするか、みたいなことは、やっぱり考えざるを得ないところです。
ただ、作曲の段階でそれを考えるかっていわれると、面白い観点だなって思いますね。
と、いいますと?
編曲やミックスの段階で自分の曲をポータブルプレイヤーに入れて聴いてみて「あ、こんな感じに聴こえるんだ」って確認して、また作業に落とし込むようなことはよくあるんですけど。
作曲っていう、もっと根本的なところからそれを考えるっていうのは、結構面白いというか、あんまり考えたことがなくて。
ただそれは、意識的に考えていないだけなのかもしれません。
では、無意識的に楽曲に刷り込まれているとか?
そうなんです。
たとえば「こういうメロディやコード進行って、誰もいない夜の海で聴いたら凄く気持ちいいだろうな」って思った時に、そういう情景を浮かべながら作曲をするとして。
それってやっぱり、ポータブルのプレイヤーがあるからこそ叶えうるリスニングの形だったりするわけですよね。
なるほど!
ポータブルオーディオによって、ロケーションが広がったってことですよね。
まさしくそう思います。
だから、そういうことを無意識に考え「られる」というか。
面白いですね……!
「ご自身のプレイヤーに入れてポータブル環境で確認してみる」と仰っていましたが、普段からポータブルオーディオを使われることはありますか?
あ、全然使ってます!(笑)
では、普段からポータブルで音楽を聴いたり、ということも多いのでしょうか。
この仕事は基本的に自宅作業というか、外に出ることがあんまり無い職種なので。
学校があった頃みたいに、毎日外に出て音楽を聴くっていう習慣は減りがちなんです。
もちろん仕事中は、絶対に自分の曲以外の音楽って聴けませんし。
曲を流しながら、曲は作れないですもんね。
そうなんです。
そういうのもあって、特に最近は意識的に音楽を聴く時間を取ろう、って思っているんですけど。
どうしても分析的な聴き方をしてしまうというか、仕事モードに入っちゃうというか。それだとちょっと意味がないな、と思うんですよね。
音楽の聴き方として、もっと開かれた感じの聴き方で、「心がどう動くか」みたいなところを音楽の経験として得るためには、あんまり仕事的じゃない耳で聴きたいというか。
バックグラウンドな感じで、流れているような。
そのへんが、難しい所なんですけど。
どうしても「ここ、コードがこうなってんな」とか、考えちゃうんですよね。
ポータブル以外だと、どういった環境で聴かれていることが多いですか?
作業用のマシンで、ちょっと気持ちを切り替えて聴くこともあります。その時はHD800とかをそのまま使って聴いています。
あとはリビングにスピーカーを置いてあるので、iPhoneからApple Musicとかを飛ばして聴いたり、あとは車で聴くこともあります。
幅広い聴き方をされていますね……!
普段はどんなジャンルの音楽を聴いていますか?
自分でも本当に、節操なく聴くタイプだな、と思うんですけど(笑)。
実は僕、アニソンってあんまり聴かないんですよ。
アニソンを聴いていると本当に仕事っぽくなっちゃうから、研究用に聴くこともあんまりしたことがなくて。
もっと、自分が音楽的に求めるものを聴いたほうが、結果として自分のアウトプットが良くなると信じてる、というか。
最近だとブラジルの音楽が好きです。
ブラジルのミナス地方っていうところのアントニオ・ロウレイロっていうアーティストがいるんですけど、彼の音楽は凄く好きで、よく聴いていますね。
ミナスの音楽は、どういった特徴があるのでしょうか?
ジャンルとしてはブラジルの音楽になるので、和声の進行やリズムの扱いとかも面白くて、豊かな表現を持っています。
特にアントニオ・ロウレイロは、曲も作るし、プレイも色んな楽器を全部自分で担当するみたいな、全部一人でやっちゃうタイプなんです。
そういうタイプのアーティストでいうと、ブラジル音楽は関係無くなっちゃいますけど、ジェイコブ・コリアーとかも凄く好きですね。
田中さんの場合、単純にアニメの主題歌などだけじゃなく、劇伴とかも作られるでしょうし。
例えばアイドルゲームとかで、サンバがモチーフのイベントの楽曲を作るとしたら、ブラジル的なモチーフも入れていかなければならないでしょうし。
そういう部分でやっぱり、引き出しは多く持っていないといけない部分もあるのでしょうか。
そういった曲でいうと、最近は「いとしーさー♥」を作られてますよね。
あ、よくご存知で! ありがとうございます(笑)。
職業作家に関していうと、そうかもしれないですね。
そういう意味では、自分は好きな音楽を聴きがちなので、全然引き出しが多い方ではないと思っています。
やっぱり研究的に聴くっていうのが必要で、自分がきちんと作ったことがない音楽を作る時は、勉強のためにそのジャンルの音楽をたくさん聴いたりはします。
なので、まだまだって感じですね、そこは(笑)。
田中さんと愛機
ポータブルオーディオでも音楽を聴かれることがあるということですが、その場合に使っている、いわば『愛機』のようなイヤホンやヘッドホンはありますか?
AK320で聴く時は、JH AudioのAngieを。

JH Audio Angie
iPhoneだと、最近はAirpodsを使うことが多くなりましたね。
なんでAirpodsを使っているかっていうと、「みんなそれで聴いてるから」っていう部分があって。
いわゆる、リファレンスのような。
そうですね。
体験として使っている部分はあります。
普段、イヤホンやヘッドホンを選ぶ基準などはありますか?
音質もそうですけど、自分の身体にフィットするかどうか、というのも重要かもしれません。
以前使っていたヘッドホンが、音は凄く好きなんですけど、着けていると頭が痛くなってしまうような形状だったんですね。
それでやっぱり、「これ音は好きなんだけどな……」っていう、引っかかる部分がずっとあって。長時間作業できないというか。
そういう意味で、音だけじゃなくて、自分の身体にフィットするかどうかっていうのは凄く重要だなと思っています。
あとは、ポータブルで使うとなると、取り回しの良さですね。
ケーブルの扱いやすさとか、見た目も意外と重要視してます。モノとして愛せるかどうかみたいな部分。
それでは、このテーブルに並んでいる機種は、そんな基準を踏まえてもお気に入りの機種ということでしょうか。

(奥から)HD800、Hugo2、AK320、Angie
そうですね!
ただ、どれもお気に入りで、音は凄く好きなんですけど、まだまだ探っている部分もあります。
本当に「いいな!」って思ったイヤホンでも、一年、二年って聴いて、初めて気付く魅力みたいなものが急に出てきたりすることもありますよね。
今でも、最初に聴いた時の印象と凄く変わっているところもあるかも。
物理的なエージングも進んでいくでしょうし。
そういうところでまだまだ良い部分というのが、見つけられるのかもしれません。
実際にHugo2を使ってみて
さて、ようやくですが、Hugo2の話をさせて頂ければと(笑)。
田中さんは既にHugo2をお使いということですけども、そもそも手にするきっかけとなったのは、どのようなものだったのでしょうか?
実は以前から、いわゆるポータブルアンプというものに興味があって。
「何か良いのないかなあ」って、ずっと考えていた時期があったんです。
その時、一番興味を惹かれたのは『Mojo』でした。
まあ、一番最初に惹かれたポイントは見た目だったんですけど(笑)。
個性的なデザインですよね!
でも、結局買うまでには至らなくて。
そんな時にaiutoのSさんからオススメ頂いたのが、同じCHORDの『Hugo2』だったんです。
僕は普段MacProで作業をしているんですけど、ポータブル環境(MacBookPro)で作業をする時には、イヤホンジャックにヘッドホンを直挿しで作業をしていたんですね。
それは、結構割り切った選択でした。音のために色んな機器を付け足していくと、結局自分自身のポータブル感が失われてしまうので。
色々持っていって、結局かさばってしまったら本末転倒だと。
そうなんです。なので、そこの割り切りの部分で、直挿しっていう選択を取っていたんですけど。
でも、絶対にキチンとしたDACをかませた方が良いと思っていて。
そういうところでオススメして頂いたのが、最初のきっかけでしたね。
「じゃあ、使ってみようか」と。
実際にHugo2を使ってみた感想はいかがでしたか?
まず、このサイズ感から出てるとは思えない音にビックリしたんですよ(笑)。
普段MacProで使っているのが、BURSON AUDIOのConductor V2+なんですけど。
HD800を鳴らした時のパワー感でいうと、なんら遜色ないというか。
なんなら、曲のソースによってはHugo2で聴くほうが全然気持ちいいなって思うものもあって。
全然キャラクターが違うとはいえ、まずそれにビックリしましたね。
実際、何か良い物がないかっていうところで、オススメされたということですけど。
多分ポタアンとしてはトップクラスというか、コレ以上のものはそうそう無いという製品ですよね。
間違いないですね。
あとは、AK320で普通にAngieで音楽を聴いていた時でも、普通にめっちゃクリアで良い音だって、思ってたんですけど。
Hugo2をかませた時、まず……中低域が凄く気持ちよく響いてくる感じ、と言うんですかね。
AK320とAngieの組み合わせで、ちょっと不満があったのがそこだったので。綺麗に補われて、凄く気持ちよく聴けたんだという部分ですね。
ヘッドホンにしてもそうですけど、やはり底力の余裕が感じられる響き方として、下の方がしっかり鳴っているというのは大きいと思います。
他に、Hugo2で「特にこういうポイントが好き」というような要素はありますか?
音質でいうと、「音の立ち上がりが良いな」って思ったんですよね。
音色を作っている時でも、立ち上がりって意識するんですよ。立ち上がりと、どれだけサスティン(持続)させて、どういう形で音が消えていくのか、という部分。
音がどういう立ち上がり方をするかによって、人がどんな印象で音を認識するかに関わってきて、凄く重要だと思うんですけども。
凄く良い立ち上がりをするな、そういう音楽体験が出来てるな、って感じたのが、このHugo2だったんですよね。
結果としてどういう風に聴こえてくるかっていうと、音が凄く明るく聴こえてくるっていうか。
キックにしてもスネアにしても、凄く気持ちよく鳴ってくれる感じがあるし。
生録した曲のそれぞれの楽器の、音の立ち上がりの部分でのニュアンス付け……ピッキングの感じだったりとか、指で爪弾く感じだったりとか。気持ちよく音が減衰して消えていく感じが凄く気持ちいいなと思ったのが、まず、一番好きなポイントだと思います。
あとは、本体のボタンの感触が凄く好きですね(笑)。
そこ、コダワリですよね(笑)。
ここ、めっちゃ好きです。
リモコンも便利なんですけど、どうしてもボタンを回したくなる時があるっていう(笑)。
色が変わるのもいいですし。その辺りを設計した人が、凄く面白いポイントをこだわっているなって、なんとなく共感した部分もありました。
自分が音楽を作るときも、「これ、いいでしょ?」って思ったものをプロダクトに対して入れている感じがありますから、それがちゃんと受け手に伝わっているというか。
そういうところが凄く良いなあと思いました。
こういう細かい部分のコダワリって、なんだかんだで総合的な印象に結びついてくる部分もありますよね。
モノとしての魅力というか。デザインも含めて、面白いですね。
ちなみに、田中さんがTwitterで「Hugo2を今度制作でも使ってみようかな」という旨のツイートをされているのを拝見したんですけども。
CHORD Hugo2とHD800の組み合わせを試してみたのですが(試聴音源は未公表の「いとしーさー♥」96kHz/32bit Final Mix)、ポータブルサイズのアンプとは思えないパワフルな出音とシャープな定位感・解像度にびっくり!三線の絃の震えをしっかりと感じられました。今度制作にも使ってみよう。 pic.twitter.com/eCEMgt1VtF
— 田中秀和/Hidekazu Tanaka (@MONACA_tanaka) 2018年8月19日
その後、実際に使われたことはありましたか?
使いました!
先ほど話した通り、前まではMacBookProに直挿しでやっていたところに、Hugo2をかませただけで全然、もう……。
「早く使っておけばよかった」って思いました(笑)。
じゃあ、もう、本当に実用性に足ると。
そうですね!
僕らはやっぱり、専門店のスタッフといえども、感覚としては基本的にコンシューマー側になってしまいますので。
実際にクリエイターの方に使って頂いても、制作に使えるということですよね。
全然、良いですね。
自分が曲を作っている時のそれぞれの音色とか音の気持ちよさが、自分が音楽作る時のモチベーションにも直結するというか。当たり前の話だと思うんですけども。
そこをどうしても、これまでのポータブルの制作環境だと切り捨ててきた部分がありましたから。
それがHugo2なら、充分に聴けるレベルだと。
もう、『充分に聴けるレベル』なんてもんじゃないかも(笑)。
僕は制作において、HD800を凄く信頼しているんです。ミックスチェックの時にも、絶対に持っていきますし。
スタジオのスピーカーでも、もちろん聴くんですけど。HD800でも聴いて、自分の中で最終確認をする。
で、そんなHD800をしっかり鳴らし切ってくれるのがHugo2だと思っていて。
それをこのサイズで、MacBookProと持ち歩いて作業に使えるっていうのが信じられないというか。
……確かに、そう考えてみたら、Hugo2って小さいのかもしれませんね。
ぜんっぜん小さいと思いますよ!(笑)
MacBookProとHugo2があるだけで、ここまでの音を再生出来るんですから。

「Hugo2は小さい」!
作曲段階では、それぞれの音色感とかはある程度ないがしろにして、スピード感とか、取り回しの良さとか、そういうのを重視していたんですけども。
やっぱりそこを補えると、自分の曲を作る時の気持ちをより高めてくれる部分は凄く大きいですね。
ちなみに、ご自身の作曲の音の気持ちよさ……というところでいうと、先程のツイートで『いとしーさー♥』のFinalのMixのものを聴いていらっしゃいましたよね。
アレも……まあ、非常に羨ましいなと思ったんですけども(笑)。
ご自身の作曲された曲で、『この曲は特にHugo2と合ってて気持ちよく聴けたな』という楽曲はございますか?
Hugo 2で、自分の曲も色々聴いてみたんですけど。
やっぱり『いとしーさー♥』が凄く合っていたな、というのはありますね。……あの、決して宣伝したいからというわけではなくて(笑)。
元々がハイレゾで落としているからというのもあるかもしれないですけど、音楽の作りとしても、生楽器を多く録った楽曲で。
特に三線とかって、西洋の楽器とは違って、音響的にトリートメントしきってない魅力があるというか。
正しいピッチを正しく鳴らすような、整いきった良さというのも、もちろんあるんですけど。
三線ってそうじゃなくて。弦を爪弾いた時に凄くゆらぎがあって、胴鳴りの、こう、雰囲気があるわけですよね。上手く言えないんですけど、枯れた雰囲気というか。
そういうオリエンタルな良さ、というのが、西洋楽器の進化とはまた別にあるということですね。
良い意味での、こう……大らかさというか、味わいというか。
そうなんですよ。
あの音の良さをキチンと伝えてくれるというか。その爪弾いている感じ、弦が竿の上で震えている感じをキチンと伝えてくれるな、というのが印象としてあったんですね。
三線以外にも生楽器は結構録っていて。ドラム、ベース、ピアノ、ギターも録ってるし、もちろんボーカルもたくさん重ねているし。
ミックスも素晴らしいので。余裕のあるミックスというか、天井の高い感じのミックスだから、凄く気持ちよく聴けましたね。
ちなみに、他の楽曲では何かありますか?
そういう話の流れでいうと、『スキノスキル』っていう、Wake Up, Girls!に提……。
うああっ……!!
『スキノスキル』ッ……!!
……あの、提供させて頂いた楽曲があって(笑)。
この曲は割とポップス的には作ってあるんですけど、下敷きにはケルト音楽というか、アイリッシュな雰囲気のニュアンスを入れています。
例えば、ブズーキっていう楽器を入れてたり。これも民族楽器の……三線ほど癖があるわけではないけれども、ルーツ的には凄く古い楽器で、他の楽器では得難いニュアンスがあります。
あと、この曲はめっちゃ音を重ねているんですね。
ボーカルにもコーラスをたくさん重ねていたりとか。
(無言で力強く頷く)
2番が終わって、Dメロ、Eメロみたいに盛り上がっていく箇所があるんですけども。
リバーブやディレイを広げて、ボーカルの処理としては凄くウェッティにしていて。
更にそこにコーラスも凄く重なって、生楽器もガンッと入れてるんですよ。フィドル、カホン、ピアノ、ドラム、ベース、ギターも録ったかな。
凄くモリモリに入れてるんですけど、そこの盛り上がりをめっちゃ気持ちよく聴かせてくれるんですよね!
Hugo2で聴いたからこそ改めて気付けた、という部分も、きっとありますよね。
めちゃくちゃありますね、それは!
『スキノスキル』にしても、「こんなに良い感じに仕上がってたんだ」って自分でもビックリしたくらい気持ちよく聴けて。これは最高だな、と思って(笑)。
自分だけが凄いんじゃなくて、ミックスエンジニアさんも凄いと思ったし、WUGのメンバーやミュージシャンも素晴らしい歌唱・演奏をしてくれているなと、改めて実感しました。
マークさん、今度『スキノスキル』聴かせて下さいね。Hugo2で。
ぜひとも。
終わりに
それでは、最後にこの記事をご覧の皆さんにメッセージをお願いします!
音楽をやる人って、音楽を聴くっていう体験に対して、昔みたいに何も考えずに楽しく聴けてた時代に戻れなくなることもあるのではないかと思います。
特にプロとして音楽をやり始めると、昔のような純粋な気持ちで、音楽を聴けなくなってしまうというか。それは先程お話した通り、最近の自分のテーマでもあります。
じゃあ、どんな環境を整えてあげれば、自分にとってよりよい音楽体験を生み出せるのか……って考えた時に、色んな選択肢があると思うんですよね。
例えば凄くカジュアルに、ちゃっちいスピーカーで聴くことが、もしかしたらその人にとって音楽的な凄く良い体験をもたらしてくれることがあるかもしれない。
ただ、そんな選択肢のひとつとして、こうやって素晴らしい音で音楽を聴くということを、選ぶことも出来るわけで。
圧倒的な素晴らしい音を聴いた時にもたらしてくれる感動が、心と耳をオープンにしてくれるというか。開かれた心と耳で、音楽を聴ける状態にしてくれるというか。その選択肢としては、他には無いんじゃないかな、と思っていて。
そう考えると、好きなところに行って音楽を聴こうってなった時に、この音を持ち出せるってハンパじゃないと思うんですよね。
これまでにない音楽体験を自分にもたらすことによって、どうしても「最近音楽を楽しく聴けないな」って思っていたなら、凄く良い選択肢になるんじゃないかな、と思います。
ありがとうございました!
田中秀和さん、ありがとうございました。
田中さんもご愛用中の『Hugo2』は、e☆イヤホンにて好評発売中です。
10/1〜10/30の期間中には、購入者にもれなくケーブルをプレゼントするキャンペーンも実施中!
各店舗にて試聴することも出来ますので、この記事を読んで気になった方はぜひ、チェックしてみて下さい!
また、今回のインタビューを記念してサインを頂きました!

今回のインタビューが行われた、最高すぎるテーブル
お相手はだいせんせいことクドウでした。それではまた次回。
【制作協力】
株式会社アユート
有限会社モナカ
※記事中の商品価格・情報は掲載当時の物です。