大先生です。

 

皆さんは『LOLA』というイヤホンをご存知ですか?

 

 

JH Audioから発売されているIEMで、その特徴は何と言っても『中音域にダイナミックドライバをあてがわれている』点。

そのため中音域の表現力が著しく高く、歌モノなどを聴くと感涙必至の完成度になっています。

4.9mm径のダイナミックドライバーを2基連結させることで9.8mm径相当のサウンドを実現するというセガサターン的発想により、省スペースながら大型ドライバー並のダイナミックサウンドを実現したというわけですね。

 

 

低音域はBA2基と、全8基構成であることを考えると比較的すっきりしていますが、それもJH特有の低音調節機構によりカバーされており、力強い低音も思いのまま。

BA4基を用いた高音域もシャッキリと細かく、奇抜な構成の割には意外とバランスの良いサウンドになっているのは流石のJHと言わざるを得ません。

 

 

 

さて、そんな中音域が得意なLOLA。声の表現をするには持ってこいのイヤホンなわけです。

『声の表現』……。であれば、試聴して然るべきなのは『声のプロ』。

というわけで、今回の企画はこちら!!

 

 

ワショーイ!!

 

思わず2000年代初頭の喜び方をしてしまいましたが、とにかくこのような企画です。

中音域に優れた『LOLA』を用いて、声優さん達の素敵な楽曲達をレッツ試聴といきましょう!!

 

 

 


 

 

試聴にはAK KANNを使用しました。

 

 

まずは楽曲毎の試聴に先立って、LOLAの簡単なレビューを。

 

上述の通り、特殊なドライバー構成ながら全体を通しての完成度は高く、どの帯域も雑に鳴らす部分はありません。

8ドラも積んでいるにも関わらず、非常にナチュラルな音のつながりはJHならでは。特に中低音域の質感と迫力は鮮やか。高音域も巧緻で一際細かく、解像感に富んでいます。

全体的な傾向としてはややハードタッチな感触ながら、楽器の硬質な響きボーカルの柔らかな表現が同居出来るような懐の深い鳴らし方が出来るイヤホンで、この圧の強さが好きな方であれば、堅実に手広く再生してくれるでしょう。

ただ、低出力のアンプだと高域が刺さりやすいところがあるので、余裕をもって鳴らせるパワフルなアンプを搭載したDAPか、ポータブルアンプを併用することをオススメ致します。

 

 

 

花澤香菜『こきゅうとす』

 

1曲目はe☆イヤホンTVでもなぜか取り上げられることが多い花澤香菜さんで、アルバム「Blue Avenue」より『こきゅうとす』をセレクト。

やくしまるえつこさんによってトータル・プロデュースされている本楽曲は、彼女ならではの独自の世界観と、花澤さんの透き通るような声が見事に調和しています。

 

再生を始めてすぐに、曲の頭に入っている印象的なブレスが生々しく届きます。歌声の表現力も高く、花澤さんの声が持つ繊細さ、ある種の儚さもしっかりと再現されており(生歌を聴いたことはないけど)、『LOLA』は比較的アタック感の強いサウンドなのですが、それにも関わらず楽曲のふわふわとした浮遊感のある柔らかさをきちんと踏まえているのが不思議。

 

それでいて、背景の印象的なリズムパターン、ハットのチキッとした粒立ちも高い解像度で再生されていて、音楽的な満足度は非常に高いと思います。

 

 

 

沼倉愛美『叫べ』

 

どんどん行きましょう。2曲目は沼倉愛美さんのデビュー・シングルでもある楽曲『叫べ』。

THE IDOLM@STER我那覇響役などでも存在感を見せつけていた彼女が、自身も参加するTVアニメ『魔法少女育成計画』のOPを飾る形で満を持してデビュー。

 

沼倉さんならではの伸びやかで芯のある歌声がマッチするロック・ナンバーで、彼女の高い歌唱力が遺憾なく発揮されています。

頭のサビの力強さ、そしてAメロで一転してつぶやくような歌声の切り替え、距離感が秀逸で、楽曲の明暗を見事に描き分けています。

 

特徴的な張りのある声や、発声直前の力の入った掠れまで明確に伝わってきて、特に終盤の『叫べ』が連続するサビの疾走感は圧巻です。

 

 

 

三森すずこ『WONDER FLIGHT』

 

3曲目は三森すずこさんの楽曲『WONDER FLIGHT』。

ダンス・ポップ調の、『』と『未来』、そしてかつての『君』をテーマにした明るい曲で、テンポの良いメロディと三森さんのさわやかな歌い方が軽妙にマッチしています。

 

とにかく背景の音数が多く、テーマパークのような華やかさが魅力的な一曲ですが、楽曲自体はやや硬質めに粒立ちの良い鳴らし方をしてくれるにも関わらず、三森さんの声のホッと落ち着く感じというか、やさしい響きをちゃんと分けて表現しているのが素晴らしいところ。

 

もちろん三森さん自身の声の良さにも起因する部分ですが、非常に彼女の声が印象的に心に残るので、つい何度も聴いてしまいます。LOLA自体が『打ち込み系の楽曲+女性ボーカル』という組み合わせに相性が良いのかもしれません。

 

 

 

安野希世乃『ねぇ、話をしよう』

 

4曲目は安野希世乃さんの楽曲で『ねぇ、話をしよう』。

マクロスΔ』や『アイドルマスターシンデレラガールズ』への参加で、着実にその歌唱力が認知されていた安野さんの待望のデビューアルバムよりチョイスしたこの楽曲は、アニメ作品のエンディングテーマを思わせるようなしっとりとした曲調。

 

安野さんが上記作品で携わった楽曲といえば『一度だけの恋なら』や『Jet to the Future』など、スピード感のある力強い歌のイメージが強いですが、本楽曲では囁きかけるような甘い歌声がオルゴールなどの音色と調和し、なんともやわらかな世界観を構築しています。

 

その実、歌詞としては意図的にも感じるような曖昧な要素を含んでおり、歌っている相手がどういった存在なのかと考えてしまう奥深さも秘めています。そんな絶妙な感情のゆらぎを余すこと無く表現しているのは、LOLAの中音域の素直さというか、ダイレクトな鳴り方が良い意味で作用しているんじゃないかな、と思います。

 

 

 


 

以上、『LOLAで声優さんの楽曲を聴いてみた』でした。

ごちゃごちゃと長く語ってしまいましたが、簡潔に感想を述べると『最高』ということです。

LOLAが持つ中音域の生々しさ、そして見通しの良さのおかげで、声優さんたちの素晴らしいお声の魅力を思う存分堪能出来たのではないかなと思っております。

 

今回は企画タイトル上、声優さんの個人名義の楽曲を使用しましたが、もちろんキャラクターソングなどにもしっかりマッチしました。

 

 

先述の『WONDER FLIGHT』とは180度違う楽曲ながら、『打ち込み系+三森すずこさんのボーカル』という意味では一致している『ファッとして桃源郷』や……

 

 

うたの☆プリンスさまっ♪』より『Still Still Still』など、男性ボーカル曲とも相性が良い結果となりました。

 

 

 

もちろん声優さんの楽曲に限らず、ボーカルの入った楽曲を聴く方すべてにオススメしたい『LOLA』。

お気に入りの楽曲をプレイヤーに入れて、ぜひお試し下さいませ!

 

ちなみに大先生のオススメは、低音調整75%くらい。

 

お相手は大先生ことクドウでした。それではまた次回。